琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

日中ガス田、日本はこうやって掘れ

 緊迫感を増す日中ガス田共同開発問題に解決の糸口はあるのか。答えは「イエス」だ。「共同開発」することである。中国が話し合いのテーブルにつきもしないのにどうやって共同で開発するのか、との疑念をお持ちの方も多いだろう。しかし、できるのである。日中双方の海岸線から等距離の地点を結んだ日中中間線から日本側に1・5キロメートル入ったところで掘削し、これを「共同開発」と主張すればよいのだ。

日本経済新聞2015/7/23より』※

●中間線から1・5キロに「解」あり

ポイントはこの1・5キロメートルという距離だ。この距離は中国が日本との取り決めを無視し、掘削作業を進めている春暁(白樺)と日中中間線の距離。この同じ距離だけ日中中間線から日本側に入り込んだところで日本側も掘れば良いのだ。

中国側は日中中間線をはみ出してきているわけではない。「その点では決して日本を完全に無視はしていない」。同程度の配慮を日本も中国にしたうえで、日本側の領海で日本も中国同様に掘削すれば、全くのイーブンであり、中国側も抗議のしようがない。

仮に抗議があっても2008年6月の日中ガス田合意に基づき「共同開発しているだけ」とすれば、中国もそれ以上は文句のつけようがない。なぜなら中国自身がその理屈で「共同開発」しているからだ。

中国側は日本と共同開発で合意した白樺ガス田を単独開発進めていることについて「中国は白樺(中国名、春暁)ガス田の完全な主権と管轄権と持っており、中国側の白樺(中国名、春暁)での活動は完全に道理にかない合法だ」と主張している。日本はその中国の理屈を逆手にとれば良いのだ。
日本は中国に抜かれたとは言え、国内総生産(GDP)で世界3位の経済大国。しかも、1979年から中国に対して3兆円ものODAを実施している。その中国に対し、この程度の主張を通せなければ、日本の外交力はないに等しい。

もちろん摩擦はあろう。しかし、ある程度の摩擦は覚悟する必要がある。2008年6月の日中ガス田合意によると、白樺プロジェクトなどは日本法人が中国の開発企業に出資、出資比率に応じて日本が利益を配分してもらうことになっている。開発の主体は中国に任せ、稼ぎの一部を「お裾分け」してもらう取り決めは、スタートからして弱腰だが、それすら完全に無視されている現状にあっては、もはや黙認しているわけにはいかない。今、この瞬間にも中国は石油を掘っているのである。

日本は謙譲の美徳を重んじる国柄だ。しかし、ここは譲る局面ではない。譲ればあまりに巨額の国富が消失してしまう。

尖閣諸島周辺にイラク級の油田

その国富の巨大さを示す1つの証拠がある。1969年5月に国連・アジア極東経済委員会(ECAFE)の報告書だ。ここで1968年10月から11月末での間に東シナ海海底の調査を行った際の報告書で、「台湾と日本との間に横たわる浅海底は将来、世界的な産油地域となるであろうと期待される」と指摘しているのだ。報告書にある「浅海底」は尖閣諸島周辺の海のこと。ほぼ現在、中国が石油を掘削している日中中間線周辺エリアとつながっていると見ていい。日本側の調査によると尖閣諸島周辺海域の原油埋蔵量は1095億円バレルに達するといい、世界第2位の産油国であるイラクに匹敵する規模の油田が、ここに眠っているわけだ。

いずれ尖閣諸島周辺の油田開発は日本国の重要課題となるのは当然のことだが、尖閣諸島の巨大油田を守るためにも、今の白樺など日中共同ガス田開発で譲ってはならない。譲れば、「日本は弱腰」とみた中国側がさらにつけ込み、巨大油田のある尖閣諸島の「本丸」まで一気になだれこむ。中国への防波堤を築く意味でも、この共同ガス田開発で競り負けてはならない。
ただ、重要なことは米国をアテにできないということだ。米国が本当に日本の権益を守る気があるなら、すでに守っている。なにしろ、米国は大量破壊兵器を理由に「自衛」と称してイラクを先制攻撃、10万人を超える市民を犠牲にする国である。仮に本気なら中国が日本との「共同開発」の協定を破り16基もの石油掘削拠点を設けるのを黙ってみているはずはない。中国が日本の領海を侵犯、石油を盗み取るのを黙認しているとみるのが国際常識だろう。

●INPEXが新潟で油田開発

いずれにしても今、日本がこの閉塞感を打ち破るには、エネルギー問題に腰を据えて取り組む必要がある。それには「日本は無資源国」という古い常識を疑ってみることだ。

例えば今年4月、国際石油開発帝石(INPEX)が新潟県新潟市秋葉区で油田開発に成功している。これは単なる偶然か。地方都市とはいえ、市街地のなかから1日あたり300~380バレルの原油が産出される国が世界中のどこにあろうか。2017年度からは生産量をこの3倍の1日900~1140バレルにまで引き上げる計画だといい、東シナ海の日中ガス田共同開発にすがらなくても、エネルギー大国日本への道はすぐ足元にある。日本は決して無資源国ではないのだ。

それを証拠にこの国際石油開発帝石が油田を発見した「新潟県新潟市秋葉区」では2013年4月、住民の敷地内から石油とガスが噴出するという事件が起きている。石油は2015年9月の現在も住民の家の敷地内から石油は少なくなってきたものの天然ガスは噴出し続けており、この地域一帯に石油を含んだ層が広がっている可能性は高い。

今、政府では再来年の消費税引き上げ議論が佳境に入りつつある。消費が冷え込まないよう生活必需品の増税分についてはマイナンバーを使って還付するなどの案も浮上しているが、その額数千円と聞いて何だか興ざめである。そんな、ささやかなお金の還付問題を延々議論している暇があれば、石油を掘ってみればどうか。石油のお金で財政は再建、「消費税はゼロで結構」となるはずだ。(了)

※【参考:「中国、ガス田開発着々 日本は中止求める 」2015/7/23 日本経済新聞より】
http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXZZO76056900T20C14A8000048&uah=DF_MATOME_____