琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

バングラデシュ事件が暴いたJICAの闇


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 バングラデシュの首都ダッカでのテロ事件から1カ月がたとうとしている。外務省は国際協力機構(JICA)などと共同で、政府開発援助(ODA)事業に関する安全対策会議を開き、日本の海外援助を行う上での安全強化策を検討していくという。だが、どうもこの動き、腑に落ちない。表層的な動きのように思えてならない。まるでバングラデシュ事件を手じまう口実づくりのようだ。そう、JICAは外務省が隠してしまいたい巨大な闇を抱えていたのだ。
 

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●JICAの裏で金が動く


バングラデシュの飲食店襲撃事件で犠牲になった日本人は7人。すべて国際協力機構(JICA)が支援する交通インフラ事業に従事していた。バングラデシュの発展にために尽くそうとしていたにもかかわらず問答無用で惨殺するテロの非道さには改めて憤りを感じるが、ここで我々が学ばなければならないのは、「なぜ、犠牲者が国際協力機構(JICA)の関係者だったか」ということだ。よくよく突き詰めると、これは偶然ではない。日本の誤ったODAが引き起こした必然的な結末だったのだ。どういうことか見ていこう。
 テロ事件が勃発したのは7月1日。実はこの直前の6月29日に国際協力機構(JICA)はバングラデシュ政府との間である契約を結んでいる。それは日本の国際協力機構(JICA)がバングラデシュに対しての巨額の円借款を貸し付けるというものだ。金額にして1735億3800万円。円借款の規模としては過去最大で、この巨額の資金を借り受けたバングラデシュ政府は、自国の都市の交通網の整備などインフラ投資に振り向ける計画だという。
 確かにバングラデシュは南アジアと東南アジアの結節点に位置する地政学的には極めて重要な国であることは間違いない。「世界の繊維工場」とも呼ばれ、繊維産業を中心に経済活動も活発になりつつあり、都市部の交通渋滞は激しさを増している。それを解消するために巨額の資金が必要で経済大国である日本が支援するということは自然なことのように思える。にもかかわらず「発展しつつある国を支援していた人を犠牲にするなんてテロはなんて卑劣なんだ」と言えば、片は付く。「テロに負けずに安全に気をつけ世界を助けよう」と言えば聞こえもいい。

●7人の奇妙な共通点


 しかし、それで終わってしまえば本質を見逃してしまう。さらに検証を重ねてみよう。
まず、精査しなければならないのが、今回、テロ事件に巻き込まれた7人がどういう人たちだったかということだ。いずれも交通インフラ事業の支援に従事していたことは先に述べた通りだが、実はこの7人には共通点がある。全員が建設会社の社員であるということだ。オリエンタルコンサルタンツグローバル(東京・渋谷=3人)、アルメックVPI(東京・新宿=3人)、そして片平エンジニアリング・インターナショナル(東京・中央=1人)で、3社はJV(共同事業体)を組み、共同で「ダッカの交通渋滞を解消する」という名目で、交通システム改善事業の実現可能性調査をしていたのだ。
 日本人の美徳として死者にむち打つことはしない。このため今回の事件でも「途上国の発展のためにだダッカに入った。なのに……」という美談仕立ての報道ばかりだった。その影響で一般国民はあたかも7人が無償で、途上国発展のために尽力していたかのような印象を受けたかもしれないが、実はそうではない。全員が社員として現地に入り、それぞれの会社のビジネスを担ったところで事件に巻き込まれたのだ。

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●ODAは誰のため


 さらに重要なのはこれからだ。そのビジネスの正体とは何なのかということだ。結局は日本のODA絡みの仕事なのである。6月末に日本がバングラデシュ政府に対し巨額の円借款契約を結んだがこれも狙いの一つ。こうしたODA絡みの契約が形になりバングラデシュ政府を経由し、交通インフラ整備事業として落ちてきたところをすくう仕事だったのだ。要はODAに群がる建設会社の先兵としてバングラデシュに派遣され、そこで犠牲になったというわけだ。
例えば3人の犠牲者を出したオリエンタルコンサルタンツグローバル(東京・渋谷)という会社を見てみよう。
このオリエンタルコンサルタンツグローバルという舌を噛みそうな長い名前の会社はいったいどういった会社なのか。実はこの会社、2014年10月1日に創業したばかりの建設コンサルタント会社に過ぎない。ただ、もともとは同じく東京・渋谷に本社を置くオリエンタルコンサルタンツという建設コンサルタント会社の海外部門で、こちらは歴史のある会社だ。これを切り離し、別動隊の会社の形態としたのが、異常なのはこの2年間の成長ぶりである。決算公告を拾ってみると2014年9月末時点での資産合計は4億8285万円。これが1年後には85億6818万円にまで急拡大している。この急成長の原動力が、国際協力機構(JICA)を軸としたODA案件だということは想像に難くない。これを見逃してはならない。

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バングラデシュはお腹いっぱい


ODAは経済大国、日本の責務として続けられ、武力を持たない日本の外交の要を担ってきた。しかし、そのお金の使われ方は極めてグレーで、行き先も合理性を欠く。
バングラデシュなども日本の国土の4割程度のところに、1億6000万人もの人が住む。わざわざ、日本がでていかなくても人的資源は事欠かない。それでも日本はこれまで1168人もの人を派遣し、経済協力を進めてきた。その数はフィリピン、マレーシアに次ぐ第3位の規模で、いったいなぜ、人的資源が潤沢なバングラデシュにこれほど日本人を派遣しなければならないのか、説明はつきにくい。
さらにそこにお金を注ぎ込み、バングラデシュ政府を経由する形で、無名の企業が甘い汁を吸ってきていたとするなら、どうだろう。美名に隠れた悪事はたちが悪い。今回のバングラデシュ事件が意味するところを日本人はもう一度、考え直すことが必要だ。(了)