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琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ソロスが間違えた

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 天才投資家ジョージ・ソロスアジア通貨危機を演出し、イングランド銀行を打ち負かしたその男が読み間違えた。米大統領選でだ。もちろん読み間違えたのはソロスだけではない。世界が間違えた。100%クリントン――。その予想が外れた瞬間は「富裕層富裕層による富裕層のための政治」に小さいが歴史的な穴があいた瞬間でもある。

 

ウォール街が負けた


一国の中央銀行との戦いにすら負けなかった投資家ソロス。249億円(約2兆5900億円)もの個人資産を持ち「ソロスがどこにはるか」で株価は乱高下し、世界のマネーの流れは決まった。そんな伝説の投資家が米大統領選で「はった」のがクリントンだ。今回の大統領選でもクリントン絡みのスーパーPACに700万ドル(約7億2900万円)を献金を行っていた。
 ウオール街や富裕層との蜜月ぶりをクリントンも隠すことはなかった。ソロスと同じ巨大ファンドを操る投資家であるウォーレン・バフェットは2015年12月、ネブラスカ州オマハで行われた集会でクリントン支持を表明、フェイスブックシェリル・サンドバーグCOOも「ヒラリー・クリントンが大統領になってほしい」と語った。大物シンガー、レディーガガも応援集会に駆けつけた。
 米国のトップ層の誰もがヒラリーを応援し、勝利を疑わなかった。あからさまにヒラリー側につき、そして負けた。これまで政治の舞台からこぼれ落ちてきた大衆が、特権階級の資本主義に「ノー」を突きつけたのだ。大衆が勝利した。これは英国のEU離脱に次ぐ「革命」と言っていい。
 さて、日本。トランプ勝利を受け、円が高騰、日本の市場(マーケット)は暴落し一時、1000円以上値を下げた。今後の世界経済が一気に不透明感を増したとの見方が日本を覆った。

 

●危機は「ヒラリ」とかわされた


 しかし、日本は救われた。トランプ勝利で危機はヒラリとかわされた。ウオール街のしたたかな世界戦略の魔の手はこれでいったん動きを封じられた。そのことを日本人は知るべきである。
 トランプは確かに保護主義であり米国の利益の露骨な代弁者である。そこに「世界の警察官」の品格はない。それでいい。それが現在の等身大の米国なのだ。「もっと金を出さないなら米軍を日本から撤退させる」。大いに結構。そこから日本はどうするか考えればいい。核の傘をちらつかされながら、ODAへの支出や米国債の購入など巧妙に形を変えて巨額のマネーをかすめ取られるよりずっといい。

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●日本よ、ここで変われ


 トランプ勝利は日本にとっては願ってもない僥倖(ぎょうこう)だ。ここで日本の立ち位置を考える。世界でどう振る舞うのか、もう一度白紙に戻して考えるチャンスを得たのだ。そこを見誤ると日本もソロスのように読み違える。 (了)