琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

安倍首相はビスマルク

    この国は大丈夫か。先日の大手新聞にこんな記事が掲載された。「ビスマルク流」の安倍外交――。1971年生まれの慶応大学の教授が書いた記事で、安倍首相はドイツの、「鉄血宰相(独: Eiserner Kanzler)」ビスマルクだと賞賛しているのだ。ドイツ統一を成し遂げたヨーロッパを代表する政治家ビスマルクと、米国への従属外交一辺倒の安倍首相と、いったどこが似ているというのか。

 

●プライド捨てた知識人
 この大学教授の論旨はこうだ。「今、米国は自国第1主義に傾きつつある。このため世界での影響力は後退、アジアでは不安定性が増しつつある。そして、この空白を埋めようと秩序を形成しようとしているのが、日本の安倍首相だ。安倍首相は、いわば21世紀のビスマルクだ」。読んでいるだけで気恥ずかしくなる。赤面する。いったい知識人のプライドはどこにいったのか。
 氏によるとビスマルクの外交戦略には常に勢力均衡の観点があり、「世界が5大国の不安な均衡によって統御されている以上、3国のうちの1つになること」、これがビスマルクの外交戦略だったと結論づけている。いわば複数の馬のなかから「勝ち馬」を見分け、常にその勝ち馬に乗り、体制側につくことこそビスマルクの外交だったと分析している。
 今、安倍首相にそのような5つの国を複合的に見る力などない。ロシアが、北朝鮮が、そして中国が何を考え、どう動くか、それを予想し、考える力などない。ただ、ただ、米国の機嫌を伺っているだけだ。

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●「ビスマルク」がトランプの運転手
 考えてみて欲しい。いくら歓迎するといってもゴルフ場で米国大統領のカートの運転手までつとめて、接待する一国の宰相がどこにいる。ビスマルクが聞いてあきれる。
 そしてもっとあきれるのは、そんな腑抜けの宰相を「鉄血宰相」と持ち上げる大学教授、そしてその論文を載せる新聞社の見識の低さだ。しかもどうどう1面に。かつて新聞は太平洋戦争をあおり、終戦を迎えるその日まで日本は勝つといい、玉砕を賛美し続けた。その罪を忘れたか。あきれるというよりは、ややそら恐ろしさを感じる。「あの時」と似てきたのではないか……。 (了)

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ビスマルクWikipediaより)