琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ジャパンファーストとなぜ言えぬ(4)~人の石垣が崩れる~

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人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり――。「人こそ城であり堀である、人を大切にしない国はやがて滅ぶ」という武田信玄の戒めの言葉だとされる。実際に信玄がそう言ったのか真偽は定かではないが、もし信玄が今の日本を見たら何というだろうか。きっとこう言うだろう。「人がこれほど貧しく捨て置かれた国は滅ぶ」と。

 

●労働者の取り分が減っている
 今、日本の企業はどこも過去最高益、株価もバブル崩壊後の最高値を更新中だ。なのに庶民の節約志向に歯止めがかからず、消費の「巣ごもり」は続く。こんなに景気はいいのに、節約だなんて、日本人はよっぽどケチな民族なのだろうか。
 その答えは「労働分配率」にある。これは企業が儲けたお金のうちの従業員の取り分の割合といった意味。今のように企業が儲かっているなら、当然、従業員の取り分、つまり労働分配率も上がっていなければならない。
 ところが、実態は違う。会社は儲かっているのに従業員の取り分は増えていない。それどころか減っているのだ。直近でデータのある2015年の労働分配率をみると74%。これは1994年以降で最低の水準だ。2000年と比べても9ポイントも低下している。会社はお金でジャブジャブになっているのに、それを実際に稼いでいる従業員には全く報いていない。庶民には使うお金が回ってきていないのだ。


●先進国でも最低水準
 では、企業はお金を従業員に還元しないでどうしているのだろうか――。ため込んでいるのである。日本企業の付加価値のうち最終的に企業に残る比率(内部留保率)は2015年のデータでなんと11%。米国は4%、ドイツも7%なのに日本はそれよりも大幅に多い2桁の水準だ。事実、日本の上場企業の現預金を積み上げてみると100兆円にも達する。
 企業を経営する側にとってみれば言い分はあるのだろう。いざとなった時の頼りはお金だと。2000年のころの小泉政権の時を思い出してほしい。あの時は政府の方針で金融機関が融資を縮小、財務状況の悪い企業からはどんどんお金をはがしていった。いつあの時代が舞い戻ってくるかもしれない。それに備えるのは分からないわけではない。
 だが、実態は違う。「アメリカンファースト」の米トランプ氏にどんどん持って行かれているではないか。ツイッターで一喝され、あわてて米国に投資し人も雇用しているではないか。日本のためになっていない。
 ならば日本人に還元すべきだ。給料として支払ってやるべきだ。
 今、日本の国民は貧しい。大企業につとめる人ですらだ。年収1000万円、共働きの4人世帯の場合、手取り収入は2011年から2017年にかけて38万円も減った。2019年に消費税があがれば、さらにまたさらに減る。「アッパー・サラリーマン」ですら苦しいのだ。
 安倍政権はその苦しさを本当に分かってくれているのだろうか。来日したトランプ氏とゴルフ三昧、その揚げ句に米国が演出した朝鮮半島危機にあおられ、天文学的な価格の武器を買わされている日本。そんな金があるなら、庶民に回して頂きたい。
 安倍さん、国を守るなら武器よりもまず人。このままでは石垣は崩れ、堀は埋まり、国は滅びますぞよ。(了)

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