琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

「共同開発」の罠にまた日本がはまる

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   どこまで日本は米国にかしづくのか。日本は米国と共同で弾道ミサイル防衛を担うイージス艦向けの次世代レーダーを共同開発するという。しかも現在の2倍以上の半径1000キロ超の探知能力を持つ高性能なレーダーをだ。それを日本が持つ世界最高水準の半導体技術を使って開発するというのだ。「俺のものは俺のもの。お前のものは俺のもの」。日本の技術がまたまんまと米国に横取りされる。
 この話、発端は米国側だ。次世代レーダー開発を探る米側から「さらに高性能なレーダーを共同で開発したい」との打診が6月に開いた日米防衛当局の次官級協議であったのだ。高性能レーダー開発の鍵を握るのが「ガリウムナイトライド(窒化ガリウム)」と呼ばれる半導体素子を使った技術。実はこれは三菱電機が持つ世界最高水準の技術で、従来の「ガリウムヒ素半導体に比べ出力が大幅に高まり、より広範囲の探索が可能になる。いわば日本の虎の子の技術を「レーダーの共同開発するから」という理由で米国側に流せという。
 レーダーは北朝鮮や軍備を増強する中国を念頭に置いたミサイル防衛網の根幹で、迎撃システムの肝となる。日本の安全保障が日米安保を基本に成り立っている以上、「日本の安全を守るレーダーの精度を上げる」と米国から言われれば断ることは難しい。米国はそこを見透かしてきた。
 しかも、安倍政権は2014年、武器輸出三原則を緩和し「防衛装備移転三原則」を定めている。これまで個別に例外的に技術の流出を認めてきたのだが、この新三原則ができて以降は「共同開発」という名目がたち、日本の安全保障に役立つなどの条件を満たせば、原則日本の最高技術を使った武器の開発が可能になった。米国側はどんどん「共同」という名目をかざしながら、実質的な技術供与を迫ることができるようになったわけだ。

 それにしても日本はここまで米国依存でいいのか。単に米国にむしり取られているだけではないか。システムの核心ともいえるレーダーに日本が関わるのは米国との安全保障協力の深化を意味し、「米国から信頼されている証」との見方もあるというが、仮に本気で言っているのだとしたら何とおめでたいことか。
 何も米国とケンカをしろと言っているのではない。狡猾さに気づけと言っているだけだ。国民を守る外交はまずそこから。単に米国になびいてるだけなら、誰でもできる。(了)