琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

高級寿司店よりも怖い、陸上イージス

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 銀座の寿司屋の暖簾をくぐり「さて、何を握ってもらおうか」とメニューを見ると「時価」。これで尻込みしない庶民はいないだろう。しかし、日本は平気だという。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(陸上イージス)を実質「時価」で米国から買い入れる方針なのだ。こんな不思議な借金大国、あるだろうか。
 日本が配備を計画している陸上イージスとは1000㌔超の範囲内に入ったミサイルを探知、打ち落とすミサイルシステム。小野寺五典防衛相は、配備により「我が国の弾道ミサイル防衛能力は飛躍的に向上する」という。確かにそうだ。無いよりはあった方がいい。
 しかし、費用対効果を考えて欲しい。現在、配備候補地となっているのは秋田市山口市だが、この2カ所に配備するだけで4664億円だという。高すぎはしないか。
 陸上イージスの導入を決めたのは昨年の12月。ほんの半年あまり前だが、この時点と比べて1・7倍に膨らんだ。値段が膨らんだ理由は、レーダーが高性能化したからだというが、いくら米国の軍事技術が優れているからといってもたった半年で、1・7倍もの価格の高騰を許容するほどの技術革新が進むはずがない。
 仮に真実ならそれはそれで大変な事態だ。陸上イージスの運用開始が予定されているのは2023年度以降。実際には2025年度にまでずれ込むというから今、2018年度だとして半年で1・7倍、維持運営を含めて計算するとさらに後半年で……。青天井だ。要は銀座のぼったくり寿司と同じなのである。
 いったい日本は何を買ったのだろうか。購入を決めた半年前といえば北朝鮮の核攻撃の現実味が増していた時期。その脅威を理由に性能や価格の詳細な検討を後回しにして導入方針を閣議決定してしまった。衝動買いだ。そもそも北朝鮮を刺激し、核攻戦争が現実味を帯びるほどまでに追い込んだのは米国ではなかったか。その米国を儲けさせる商談をどさくさ紛れで成立させてしまうとは安倍政権も無責任きわまりない。

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 とはいえ問題の本質は実は別のところにある。結局は米国が怖いのだ。トランプ政権に貿易赤字の解消を正面切って突きつけられるのが怖いのである。「日本は経済大国、米国に関税障壁でも設けられればたまったものではない。それなら陸上イージスを高値買いしてご機嫌をとっておくか」というのが本音なのだ。要はトヨタ自動車はじめ日本の大企業が米国市場で稼ぎまくった分を、陸上イージスで穴埋めしているに過ぎない。
 しかし、それでいいのか。陸上イージスの購入は庶民の血税なのだ。日本の外交が機能不全に陥っているのも、安倍氏がお金抜きでは米国と渡り合えないのも、日本の領域に飛来したミサイル1つ、自国の力で打ち落とせないのも、本来は国を担う者たちの責任だろう。自分たちの怠慢や無策を、庶民の血税であがなう。それはもはや許されない。
 庶民はいつまでも黙ってはいない。国の統治者たちは国民を守るふりをしながら実は強いものの利益を守り、自分たちを守っている。そして庶民はそれを見抜いている。それを自覚しなければならない。(了)

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