琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

1%か2%か。それが問題だ。

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    日銀があれほど上げたがっていた物価はなかなか上がらないのに青天井で上がっているものがある。防衛費だ。2019年度予算の概算要求では防衛費は5兆2986億円。防衛省の言い値ベースというものの5年連続で過去最大(概算時)。背景には自民党が防衛費拡大を後押ししていることがあるが、悩ましいのはお金をかけたからといって日本の防衛力があがるわけではないということだ。イージス艦はその典型。米国の言い値で買わされ、しかも100%日本を守る保証はない。それでもなぜ日本は兵器を買う。


●防衛力増強「歯止め」から「目標」へ
1%――。かつてはそれが問題だった。国内総生産(GDP)に比べた防衛費の比率は1%が「歯止め」とされた。ところが今は2%。しかもそれが「歯止め」ではなく「目標」になっているという。恐ろしい豹変(ひょうへん)ぶりではないか。日本は大東亜共栄圏を標榜し近隣諸国を軍靴で踏みにじっていったあの悲しい歴史を2度と繰り返さないために、防衛費を慎重に絞り込んできた。それが今は反対に拡大に舵を切っている。いったいどうしたというのだ。
後押ししているのは安倍政権に他ならない。「安全保障環境の悪化」を理由に、防衛予算の膨張に旗を振る。5月にまとめた中期防見直しに向けた提言では、北大西洋条約機構NATO)がGDP比2%を目標としていることを引き合いに出し、日本もそれを参考にしながら、十分な予算を確保すべきだという。戦争放棄の日本国はいったいどこにいったのだ。
だいたい「安全保障環境の悪化」とは何なのだ。仮にそれが北朝鮮情勢なのだとしたら、責任は日本にある。対話を求める北朝鮮を袖にして、ただただ「圧力」と連呼する。そこには外交努力の片りんもない。あえて北朝鮮を追い込んでおきながら、「関係が悪くなったから武器を増やし防衛力を強化する」というなら、まるで子供だ。


●地上イージスは必要か
しかも、問題なのはそうやってお金を使って武器を輸入しても日本の防衛力がそのまま高まることにならないことだ。地上イージスとて当初の2倍の4000億円もの予算を投じてとしても、打ち込まれたミサイルを完全に打ち落とせるのか、保証の限りではない。だいたいいつ配備してもらえるか分からないものを言い値で買って、どうする。今、ミサイルを打ち込まれたら、それはどうなるのか。
考えてみて欲しい。日本にミサイルが撃ち込まれたなら、もうそれで外交は敗北なのだ。考えるべきは撃ち込まれたミサイルをどう迎撃するかではないのだ。ミサイルが撃ち込まれないようにすることこそ永世中立国を標榜する日本の生き様なのだ。
いつからその基本路線が変わったのだ。安倍政権は勇ましく力んでみせるばかりだが、「万が一」の事態が発生した場合、どんな責任がとれるのだ。
確かに貿易不均衡でトランプが騒ぎ、関税障壁をかさ上げされれば、自動車を始めとする日本の輸出産業がひとたまりもないのは分かる。しかし、それを避けるために不必要な兵器を国民の血税で購入し、その揚げ句に近隣諸国との緊張感をいたずらに高めてしまうのは愚の骨頂だといえる。 (了)f:id:mitsu369:20180908070912p:image