琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

老後の面倒は外国人にみてもらおう

   ついにやった。これだけのことを。政府は単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定したのだ。来年4月の制度創設を待って続々と単純労働者が日本に流入してくる。経済成長もインバウンド(訪日外国人)、それを御世話するのも外国人。なぜ、そんなに外国人に頼るのだ。

f:id:mitsu369:20181110060958p:image
●これは移民政策だ
政府が今回、決めたのは一定の技能を持つ人を対象に新たな在留資格「特定技能」を創設すること。「経済界の要望に応じた」とはいうが、これは単にニーズに応えたという程度の軽い問題ではない。これまで決して認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切ったのだ。日本の入国管理政策の時代的な大きな転換と言っていい。
 政府は「移民政策ではない」とするが、どう言いつくろっても立派な移民政策だ。山下貴司法相も「人手不足が深刻で、今回の法改正は重要かつ急務だ」と弁明、「成立に向け丁寧にご説明したい」と述べたが、どう丁寧に説明してもらっても納得はできない。
 今のところ入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける計画。まず「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与え、最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。
 そしてもう1つ、高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人には「特定技能2号」の資格を与える。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はなく、配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。10年の滞在で永住権の取得要件の一つを満たし、将来の永住にも道が開ける。
 この決定は極めて重い。単純労働者として日本に入国、時間をかけて一定程度の技能を持てば在留資格を取得できるわけだ。労働力を日本に提供する代わりに、日本から行政サービスを受けられる。単純労働の外国人でも保険にも入ることができ日本の高度な医療を受けられる。

f:id:mitsu369:20181110060339p:image

●日本人こそ活用すべし 
政府はこのバランスをどう考えるのだろうか。外国人が提供する単純労働とその見返りに日本が差し出す高度で品質の高い行政サービスや医療サービス。どちらのコストが大きいのか。簡単だ。日本の負担の方が断然、重い。
 しかも、単純労働で人手不足を解消、稼ぐ力を底上げできメリットが得られるのは企業に限られるのに、そうした外国人へのサービスにかかるお金は国民全体の税金で賄う。全く不公平。これもまた極論すれば企業の金もうけのために、庶民が犠牲になる構図だ。
 いったい今の政治、どうなっているのだろう。「決められない政治」から「決める政治」へ。それはいい。けれど国を危うく導く政策を決めるのはお断りだ。
 今、必要なのは外国人を入れることではない。良質な労働力を確保すること。それはまず日本人を有効に活用することだ。特に高齢者。元気で働く意欲のある高齢者はまだまだ多い。そんな人たちにもっともっと活躍してもらえばいいではないか。IT技術が不足しているなら、研修で補足すればいい。補助金など外国人も含めた皆保険制度の維持に比べれば安いものだ。言語の面でハンディがある外国人を無理に使うより、よっぽど生産的だ。日本の税金は日本人のために使うのが当たり前だろう。
 政治家も経済界もまったくどうかしている。君、国を売りたまうことなかれ。(了)