琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

さよならアベノミクス

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2018年最後の取引となった12月28日の東京株式市場の日経平均株価が下落に転じた。年間の株価が下落するのは7年ぶりのこととで、安倍晋三政権が発足して以来6年間続いた上昇記録が途絶えた。このことの意味は決して小さくない。なぜなら株価高こそ安倍晋三政権が存続する意味だったからだ。その意味が揺らいでいるのだ。金看板の「儲かる内閣」が「儲からなくなった」となれば、もはやお払い箱と言いたいところだが「ちょっと待った」。湯水のように株に突っ込んだ国民のお金、どうしてくれる。
 28日の日経平均株価は前日比62円85銭(0・31%)安の2万0014円77銭。17年末比で2750円(12%)も低くひけた。米中貿易摩戦争などで世界経済の先行きに懸念が広がるなか日本経済に対しても不安が広がり、海外投資家などが売りに動き、これが株価の押し下げ要因となった。
 ただ、そのこと自体は問題ではない。経済は生き物だ。株価だって上がりもすれば下がりもする。株価下落の責任を政権に押しつける気はない。しかし、国や庶民のお金の問題はどうする。株価が上がる前提で株式市場に突っ込んできた国や庶民のお金の目減りはどうするのだ。

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●株式市場に6兆5000億円
ETF(上場投資信託)はその典型だ。ETFは複数の大企業の株式を組み合わせ、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価に連動する商品が代表的だが、日銀は金融緩和の一環としてこのETFの買い入れを積極的に行ってきた。株価が下がればその分、日銀が「買い」を入れ株価をテコ入れしてきたが、その買い入れ額が2018年は合計6兆5040億円。過去最高だ。政府は年間の買い入れ額のメドを6兆円としていたのに、それを大きく上回ってしまった。
結局は国や庶民のお金で株を買いまくっていたのだ。アベノミクスに伴いETFの買い入れを積極化した5年前の2013年はせいぜい1兆円超。これが6倍以上に達しているのがその証拠。事情通によれば午前中に株価が0・5%前後下がれば午後に日銀が自動的に買うというのだから随分、無茶な話だが、安倍政権はその無茶を6年もまかり通してきた。アベノミクスだ、何だと言ってみても何の中身もない。ただ自分で株を買っていただけのこと。
とはいえ、これから大変だ。ETFで6兆5000億円もの大金を投じながらそれでも株価が上がらないのだ。年明け以降、市場は大荒れに荒れる。どうする。安倍政権。上がるまで国民のお金で株を買い増していくなど、悪い冗談ですぞ。(了)