琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

なぜ友好国と戦争をしにいくのか

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 日本政府が10月19日、中東への自衛隊派遣に向けて具体的な検討に入った。「米国の要請に応える」というのがその理由で、日本は米国が唱える船舶の安全航行のための応分の負担をするのだという。具体的な派遣の期日などは未定だというが、いずれ日本の自衛隊オマーン、イエメンの周辺海域で偵察活動に入ることになる。しかし、ここで一言、言っておきたい。「いったい、何だそれ」

●海自のカレーライス
 19日、中国新聞速報版にこんな記事が掲載された。「全国の海自カレー 呉に終結」。内容は要約するとこうだ。「海上自衛隊呉基地でカレーフェスタが開かれた。広島県内外から7000人が集まり、海自の基地がある横須賀、舞鶴、大湊のカレーも振る舞われた。家族とやってきた9歳の少年が『味が違うカレーがいろいろ食べられておいしかった。また来たい』と声を弾ませた」。
 まだ駆け出しの記者だろう。ただのカレーフェアの「ノリ」で書いている。いわゆる暇ネタ。休日で事件もないし、ちょこっと記事を書いて写真をつければ、ちょうどいい埋グサになるとでも思ったか……。
この記事を書いた記者は何も考えていない。この9歳の少年があと10年もしないうちに海上自衛隊の戦艦に乗る可能性があることを。その時、甲板上の少年を狙っているのは記者のカメラではない。米国と戦争をしている第三国の大砲なのだ。今、「声を弾ませ」ている少年の声は震えに変わる。泣き叫びに変わる。その事実を分かってこの記者は記事を書いているのか。

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●「応分の負担」を蹴っ飛ばせ
米国が求める「応分の負担」に応えること、それはすなわち米国がしかけた戦争に日本が加担することだ。そのために無邪気にカレーを食べている我が子を、戦闘員として差し出さねばならない。憲法を変えるということは、すなわちそういう可能性を日本人が招来することを意味する。その自覚が日本人にあるのか。覚悟はあるのか。そして何よりその必要性はあのか。
 今回の中東への自衛隊の派遣もそうだ。日本とイランは友好国ではないか。イランが日本の船舶を狙うはずはない。その証拠に日本船主協会も「自衛隊による防護が即座に必要な状況とは受け止めていない」と公式に表明しているではないか。
 イランが日本の、しかも民間の船舶を狙うとするならば、イランの敵国である米国の手先として日本が立ち回る時だ。米国が引き起こそうとしている戦争に日本がわざわざ巻き込まれにいく必要はない。「応分の負担」要求? なぜ日本は蹴飛ばせない。   (了)

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