琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

コロナより怖い自給率37%

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新型コロナウイルスの感染拡大が日本の「食」を揺るがそうとしている。世界最大の小麦の輸出国であるロシアが4~6月の穀物輸出量に制限を設定、セルビアベトナムなども食糧の輸出に歯止めをかけ始めた。自動車や電気製品の輸出のため自国の農業を犠牲にし続けてきた日本だが、そのツケが最大の国難の今、回ってくることになった。
 ロシアの2019年4~6月の穀物の輸出量の実績は720万トン。しかし、今年はこれを700万トンに制限する。本来、ロシアの場合、穀物に輸出制限を設けていなかったが、自国の食糧事情に配慮、輸出を制限するという。

 セルビアもひまわり油やイーストの輸出を一時停止、世界3位の米輸出国のベトナムも米輸出の新たな契約を一時、停止した。専門家によると今後、食糧事情が悪化していくなら、こうした動きは他国にも広がる可能性が高いという。さあ、日本はどうなる。

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●平時の常識、非常事態の常識
ここで問題なのは各国の輸出制限の動きにほとんど批判が出てないことだ。「自由貿易の拡大こそ正義」という流れにあったコロナ前なら身勝手な行為とされたかもしれない。

 しかし、ことここに至ってでは、各国政府が自国の国民の食糧を優先することに対して批判らしい批判は沸き起こってはいない。
当然だろう。国の責任者が自国の国民を守る。当然の行為だ。非常事態とはそういうことだ。自国の国民の命が危険にさらされている時に、他国への配慮や他国の利益を優先させる為政者などいない。
 さて、日本はどうだろう。この事態を想定しただろうか。想定はしていただろが、現実のものになるとは思ってはいなかっただろう。自動車や電気製品を海外で売るために、自国の農業を傷め続けてきた。農業にこだわることはまるで田舎者のエゴイズムのようにみてきた。国の経済成長にばかり目を奪われ、命の保障をお座なりにしてきた。
 その結果の自給率40%割れ。農林水産省の発表によれば、2018年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)と過去最低を記録した。明日から食糧の輸入がストップされればいったいこの国は持つのか。半分にも満たない自給率で、国は維持できない。無節操な経済最優先のツケが、今、国民に回されている。コロナと同時に今、ここにあるリスクである。(了) 

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