琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

辺野古移設反対で進まぬ海兵隊撤収

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国益」か「県益」か――。それが問題なのである。米軍普天間基地辺野古移設は反対派の運動もあって遅々として進まないが、これは国益を大きく損なう問題だと言っていい。なぜなら辺野古の基地建設が遅れれば遅れるほど、米海兵隊のグアム移転が遅れてしまうからだ。海兵隊が撤収すれば基地産業は縮小、沖縄県は一時的に経済的ダメージを受けるかもしれない。しかし、日本国全体を考えて欲しい。ここは速やかに米軍撤退を優先、まずは早々にお引き取り願う方が賢明なのだ。
 いったい沖縄県玉城デニー知事は本当に意味が分かっているのだろうか。辺野古移設反対で知事選に勝利した玉城氏は「基地の7割をしめる沖縄県の苦しみを知れ」という。そうだ。その通りだ。日本の基地の7割が沖縄に集中する現実は問題である。その苦しみを本土の人間は知らなければならない。そこは否定できない。
 だからこそ沖縄の基地負担を軽減するというなら沖縄の基地は縮小しなければならない。当然だ。その際、気をつけなければならないのは「辺野古での基地建設は何にも沖縄に基地を増やそうとしているわけではない」ということだ。一見、辺野古移設反対は米国に反旗を翻しているように見えるが違う。実態は逆だ。反対運動を盛り上げ、移設が遅れれば、米軍撤収のタイミングもその分、遅くなる。

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・「海兵隊撤収と辺野古移設はセット」

 思い出さなければならないのは2012年4月だ。この時、日本と米国の両政府は沖縄にいる海兵隊約1万9千人のうち約9000人をグアムやワハイなどに移転させることで合意した。これがどれだけ画期的なことだったのか。戦後、長らく居座り続け少女への暴行事件など不祥事を繰り返してきた米軍が半分近い兵力を日本から引き上げることで合意したのだ。もろ手をあげて「どうぞ、どうぞ」といったところだ。
 問題は米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が、海兵隊の撤退とセットになっていることだ。海兵隊の撤収と辺野古移設は2012年に日米両政府が修正合意した米軍再編計画にセットになって一緒に盛り込まれている。つまり辺野古移設が進まないと米海兵隊の撤収も進まない構造になっているということだ。このことを玉城知事は理解しているのだろうか。反対するほど沖縄県民を苦しめてきた基地は沖縄に居座り続ける。
 玉城知事は、沖縄県中頭郡与那城村(現・うるま市)で生まれた玉城知事は沖縄米軍基地に駐留していた米兵を父に持ち、伊江島出身のアメラジアンを母に持つ。若い頃は「俳優」だったというが、調べてみてもこれといった作品に華々しく登場した形跡はない。政治家としてもその手腕は未知数だ。
 玉城氏始め沖縄県民が考えなければならないのは米軍基地の縮小とともに、その米軍撤退後の沖縄をどうするかということだ。今では米軍基地関連の経済規模は小さくなったとはいえ5%台。まずこの穴をどう埋めるか考えることが重要だ。
 そして国。米軍撤退で低下するような防衛力なら極めて問題だ。中国や北朝鮮に脅かされるというなら、毅然として自衛できる力を身に付けるべきだ。米軍という虎の威を借りなければ国を守ることはできないという考え方は決してリアリズムなどではない。ただの幻想だ。米軍は日本を決して助けない。
 米軍など必要ない。反対運動は米軍に居座る理由を与えているだけ。そんな単純な図式も分からないようでは情けないし、もし分かって反対しているなら恐ろしい。  (了)