琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

イージス計画が停止、日本独自の迎撃システム構築の時

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 安倍政権の暴走にまた1つ修正が入った。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画のことだ。政府は6月16日、「費用、期間を考えれば配備が合理的ではない」として米国からシステムを購入、これを配備する計画を停止すると発表したのだ。米国の顔色を気にして、必要性はさておき「まずはとにかく何か武器を米国から買う」ことから決まったこの計画は、すんでのところで「待った」がかかった。日本は自らの国は自らで守ることを考えなければならない。


●米国の顔色伺い導入決定
 ことの発端は2017年11月の安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談。ここでトランプ大統領は「非常に重要なのは首相が(米国から)膨大な量の兵器を買うことだ」と日本側に要求、安倍首相も「米国からさらに購入していく」と応じたのだ。米国の言いなりの安倍首相の対応に、さすがに首をかしげる政府関係者も多かったが、当時、勢いに乗っていた安倍政権は翌月の12月には「イージス・アショア」の導入が閣議決定してしまった。
 「とにかく買え」と言われて、買ったイージス・アショア。いったいどういうシステムなのか。まず製造は米ロッキード・マーチン社だ。イージス艦と同じレーダーやミサイルを使い、地上から飛んできたミサイルを迎撃するのだという。1基あたり700億円から800億円と巨額だが、これを2基導入し日本全域をカバーする計画だった。
 これだけの買い物をよく吟味もせず即決するとは実に乱暴な話だが、米国の機嫌をとりたい安倍政権にとって追い風だったのが北朝鮮だった。2017年夏、北朝鮮弾道ミサイルの発射を繰り返していて「防衛力を高めなければ」という機運が日本のなかで全体的に高まっていた。これが味方した。
 ただ、決めてはみたものの実に不備が多い。それが河野防衛相の洗い直しの指示で発覚した。とりわけ安全性には問題が多くこのままでは「極めて危険」があることが明かになった。ブースター問題だ。

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●ブースターが民家に落下
 イージス・アショアは迎撃ミサイルを使って向かってくる弾道ミサイルを大気圏外(宇宙空間)で撃ち落とすのだが、ミサイルを空高く打ち上げる時に使う「ブースター」を途中で切り離す。ところが現状のままでは、このブースターを完璧にコントロールしきれないために、場合によっては切り離したブースターが集落に落下してしまう可能性があるのだという。
 国民を守るための迎撃システムが逆に国民を襲う。まるでブラックジョークだが、現状のままでその可能性をゼロにできない。これを解消するためには2000億円規模の追加費用がかかるという。「それならば導入は停止」、ということになったのだ。
 あえて「白紙」または「中止」とせず、「停止」という言葉を使うのは「またいつかスタートさせたい」という意図なのだろうが、実にナンセンスだ。日本はここでも米国依存を改めなければならない。日本を襲う弾道ミサイルが仮にあったとするなら、自らのシステムでこれを撃ち落とせる態勢を整えておくべきだ。日本のレーザービームの技術を使えば、それは可能だ。米国に払うお金があるくらいなら、それを研究開発に振り向ければいい。
 米国に守ってもらう。そのためにお金を使う。そんな負け犬根性では世界は日本を尊敬しない。そこを考えなければならない。(了)

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河野防衛相(右)の「イージス・アショア」配備計画停止の判断を、安倍首相は了承した(共同)