琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

五輪どころじゃない 聖火リレーの裏で核爆発の危機

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 東京五輪聖火リレーが3月25日、スタートを切った。

 大会は4カ月後。約1万人がトーチをつなぐ。しかしこの日、もう1つの大きな事件が発生した。福島第1原発の「核燃料デブリ」の取り出し開始時期を「1年程度の先送りする」と東京電力が発表したのだ。「復興五輪」開催に向け大きく動き出したその同じ日、廃炉プランは大きく後退した。安倍政権が繰り返し世界に発信した「原発は完全にアンダーコントロール」という言葉は全くの噓だったのだ。

 その事実が奇しくも聖火リレースタートの日に白日の下にさらされることになった。


東日本大震災の危機再び
 被曝(ひばく)の可能性がある国でオリンピック――。

 最初から無理だったのである。「完全にアンダーコントロール」などと力んでみても日本は「核燃料デブリ」に触ることすら、実質的にはできない。そんな状態の国で、そもそもオリンピックができるはずはない。

 新型コロナウイルスのおかげで、海外からの観戦客受け入れ断念に追い込まれたのは、世界に迷惑をかけなくて済む分、むしろ日本にとって幸運だったのかもしれない。
 実は福島原発東日本大震災後も度々、ひやりとする危機に見舞われている。その最たるものが2021年2月13日の大型地震だ。この日、23時08分、福島県沖の深さ55キロメートルのところを震源マグニチュード7.3の地震が発生、宮城県福島県震度6強の揺れに見舞われた。そしてその直後、再び日本崩壊を連想させる深刻な事故が発生したのだ。

 その事故とは水位の低下だ。福島第1原発で1号機と3号機の格納容器の水位が数10センチ下がったのだという。マスコミは沈黙する。しかし、これは見過ごすことができない極めて重要な出来事だ。原子力規制委員会は「注水は継続していて安全上の問題は現状ない」との見解を発表したが本当か。噓だ。福島第1原発が極めて深刻な状態にあるのだ。
 簡単なことだ。水位が下がったということの意味は入る水の量よりも出て行く水の量が多いということ。つまり13日の地震で格納容器にもともと入っていた亀裂が広がったということは間違いない。たまたまそれは対処できる範囲だったが、次ぎもそうなるか、保証の限りではない。

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福島原発プラント、日々劣化
10年前の東日本大震災福島原発は決定的なダメージを受けた。いつ崩壊してもおかしくない状態にある。その後も地震の揺れが加わり、建物を揺さぶり続ける。劣化は進む。しかし、保守・メンテナンスは全くない。そんな状態で、仮にまた震度6クラスの地震が来たら……。亀裂はまた広がる。今度はそれだけで済まない可能性は高い。デブリの取り出しはまだ着手すらしていない。東電が発表した通り本当に1年後にスタートさせられるのか、極めて怪しい。
 そうこうしているうちに広がった亀裂から残ったデブリが溶け落ち、再臨界、そして爆発。日本は壊滅する。そんなシナリオだってありうる。その瞬間は明日かもしれない。オリンピック期間中にそれが起こらないと誰が言えよう。
 日本は危ない。オリンピックどころではないのである。(了)

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