琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

中国の食糧ストック、世界の半分超 何が始まるのか

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 中国が世界の食糧を買い占め始めている。主要穀物の世界の在庫量のうち中国が買い占めた分は半分以上。中国の人口は世界全体の2割だが、その2割の人口の国が世界中の穀物を買い占め、ストックしている。いったい何が始まろうとしているのか。「一粒の米に泣く」――。時代は緊迫してきた。

 急性食料不安という言葉がある。紛争や異常気象などの理由から命や生活を守るため、食料の緊急支援を必要とする状態に陥ったことを指す言葉だが、この急性食料不安に直面している人の数が急増している。「食料危機対策グローバルネットワーク」の報告書によると2020年に急性食料不安に陥った人々の数はコロナ禍も加わり、少なくとも1億5500万人。過去最大の規模だ。

◎中国の在庫量、過去10年で20ポイント上昇

 こうした食料に困る状況は今後、益々深刻になる。そう中国は見ている。米農務省の推計データによると、2022年前半(穀物年度、期末)の世界の在庫量に占める中国の割合はトウモロコシが69%、コメは60%、小麦は51%に達する見通しだ。いずれも過去10年間で20ポイント程度の上昇で、中国が急激に穀物を買い占めてきたことは明かだ。

 いったいこのことは何を意味するのか。中国の国家主席である習近平は常々、「食糧安全は国家の重要事項だ」と強調してきた。つまり食糧を国の安全保障上の重要事項と捉えているわけだ。その守りを固めているということは国の守りを固めていることであり、台湾問題などを含め明確に有事を想定していると判断していい。

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◎日本の自給率37%

 中国の動きに対して日本はあまりに無防備だ。TPP(環太平洋パートナーシップ)だ、グローバル化だと無節操に国を開き、農業をないがしろにしてきた日本の自給率は先進国のなかでも屈指の低さ。農林水産省の発表によれば2020年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)で63%を輸入に頼っているのが現実だ。過去最低を記録した2018年と同水準で仮に有事となった場合、太刀打ちできない。

 中国は台湾を本気で取りに来ている。尖閣諸島も同様だ。一方で日本は依然として米国頼み。いざ有事となった場合、どうなるのか。国民の食いぶちさえ確保できていない日本の現状を考えれば勝負はもうついている。国が危うい。(了)