琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

NATOの尻馬に乗るだけのマスコミはもういらない

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  ロシアは世界の「悪者」――。ロシアのウクライナ侵攻を巡りこうした論調がマスコミを席巻している。「北京五輪が終わるのを見計らったウクライナへの全面侵攻は蛮行という他はなく、国際道義上許されるものではない」。紋切り型のこの論調だが、それは果たして本当か。「世界」って何?「悪者」って誰?

●ロシアは悪者?
 あまりに皮相的ではないか。「北大西洋条約機構NATO)は正義の味方」、「ロシアは悪者」といった論調があまりに多い。しかも一流と呼ばれる日本のメディアにだ。例えば2月28日の日本経済新聞の記事はこうだ。「中国はロシアがウクライナに全面侵攻し、世界の『悪者』になると知っていたら、習氏はロシアとの連帯をここまで格上げしなかったはずだ」。
 記事の内容は、ロシアがウクライナに侵攻し「世界の『悪者』」となったことで、ロシアと仲良くしていた中国にそのつけが回ってくる(はず)、というもの。中国はロシアがウクライナに侵攻することを予想できなかった。そこには「油断」があったというわけだ。
 これほど一方的で幼稚な記事があるものだろうか。ロシアにはウクライナに侵攻せざるを得ない理由があることを理解せず、単に「侵攻」「悪者」と決めつる。しかも、それを中国が「うっかり油断」して見過ごした、などということがあるだろうか。あるはずがない。
 中国は数年後には米国を抜き、世界でナンバーワンの経済大国に躍り出ることを正式に表明している国だ。つぶさに世界の情勢を見続け、冷徹に分析している。甘くはない。油断してロシアのウクライナ侵攻を見落としたなどというバカな話はない。ロシアがウクライナに侵攻しても自国にはデメリットがないと判断したから静観しているだけなのだ。米紙ニューヨーク・タイムズが報道するように、米政権は過去約3カ月にわたり、中国側と6回接触して、ロシアの侵攻準備を示す極秘情報を伝えた。それでも動かなかったのは、動かないほうが得策だとの判断があるからだ。
 日本のメディアの場合、海外の情報はほぼ通信社任せ。AP、ロイター……すべて欧米メディアだ。そういったメディアが湯水のように流してくる「横」書きの文章を「縦」書きにリライトするだけ。要はNATO側の言い分を垂れ流しているだけだ。

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●ロシアには侵攻せざるを得ない事情がある
 今回のロシアのウクライナ侵攻にしても、ロシアがウクライナに侵攻せざるを得ない理由がある。地政学上、どうしても譲れないのだ。そもそもここをNATO側は編入しようとしたために、プーチンは動いた。東ドイツをはじめポーランドルーマニアなど冷戦時代に東側、つまりロシア側だった国々を引きはがしてNATO編入させてきた経緯がある。ロシアとしてはこれ以上、譲れないのだ。
 ロシアにはロシアの事情がある。動くだけの理由がある。そこに追い込んだNATO側の非もあるのだ。
 そこを見もせずにヒステリックにNATOの尻馬に乗り※騒ぎ立てる日本のマスコミ。あまりにも恥ずかしい。もう少し幅広い視野と深い洞察力がなければ言論機関とは呼べない。(了)

※【尻馬(しりうま)に乗る】…分別もなく他人の言動に同調して、軽はずみなことをする。人のあとについて、調子に乗ってそのまねをする。〈goo辞書より〉

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