琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ロシアのウクライナ侵攻 原因はNATO側にもある

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物事には裏と表がある。ロシアのウクライナ侵攻もまたそうだ。暴挙だ、狂気だ――。そう騒ぎ立てる前に、ロシアがなぜそう行動したのか、考える必要がある。ロシアにはロシアの正義がある。それを理解することこそ日本の役割であり国際的な立場なのだ。

 「原因をつくった側にも責任がある」。3月13日、参議院議員である鈴木宗男氏が札幌市での講演でこう発言した。ロシアのウクライナ侵攻に関して力による主権侵害や領土拡張は断じて認められないとしながら、ロシアにはロシアの言い分があるというのだ。
 そうだ。問題はここなのだ。ロシアには侵攻せざるを得ない理由がある。原因がある。だからウクライナに侵攻したのだ。そこを理解せず「戦争反対」とまるでロシアが好戦的な国のような報道を繰り返す日本のマスメディアは完全に偏向していると言われても仕方がない。ロシアとて「戦争」には「反対」なのだ。

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●「東方不拡大」の約束を破った
 それにもかかわらずロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったのはNATO側が約束違反をする可能性が強まってきたからだ。もともとロシアとNATO北大西洋条約機構)との間では「東方不拡大」との約束があった。冷戦が終結して東西に分かれていたドイツを統一する際、東西陣営間で「NATOは東方に拡大しない」という約束があったのだ。この約束を破った場合、断固たる措置をとる、ロシアはそう警告してきた。2021年12月、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相もボスニア・ヘルツェゴビナ紙のインタビューで、NATOの東方拡大が欧州での紛争につながるリスクがあると明確に指摘している。
 もっともだ。ウクライナNATOに加盟し、NATOのミサイル攻撃システムがロシア国境に近いウクライナ領内に配置されることはロシアの安全保障上受け入れられない。国家としてロシアがきわめて大きなリスクにさらされることになる。


●ゼレンスキー、もとはコメディアン
 ところが、NATOウクライナの大統領ゼレンスキーを籠絡し、NATO加盟に誘導しようとした。再三の警告にもかかわらず。ゼレンスキーもその誘惑に乗った。もともとテレビ俳優、コメディアンという出自もあって、ゼレンスキーは西側文化とつながりが深い。西側資本との関係も強くNATO寄りの人物であることは間違いない。NATO加盟は大統領として公約に掲げていることもあり、時間の問題だった。
 ただ、ここで日本は慎重に行動するべきだ。この問題に積極的に関わるべきではない。先の鈴木氏も「日本には国益の問題として北方領土や平和条約交渉の問題がある。米英と立ち位置が違う」と指摘する。求められもしないのに軽々に欧米に足並みをそろえ、ロシアを挑発する必要はない。背伸びして大国ぶってみてもみっともないだけだ。
 求められるのは一流国としての歴史認識の深さと、真の国際的なバランス感覚だ。NATOともロシアともそれぞれ適切な距離を持ち、節度をもって関わっていく。それが中立国日本としての正しい振る舞い方と言える。(了)

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