琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

停戦せよ 市民の命、いつからゼレンスキーのものになった

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 市民の命はいつから為政者のものになったのか。ウクライナのゼレンスキー大統領は南東部の港湾都市マリウポリを巡るロシアとの攻防戦で「最後まで戦う」と宣言した。徹底抗戦の姿勢崩さない大統領の声明に背中を押される形で人々は次々と戦場に駆り立てられていくが、いったいこの戦いに何の意味があるのか。すでに勝負はついている。ゼレンスキーが選択すべきは市民の命を盾にした消耗戦ではなく、停戦だ。


 問題のマリウポリは人口約40万人。ロシア軍は3月初めから包囲を開始、砲撃を加えて4月16日には市街地を「完全に解放した」。製鉄所には民間人1000人と負傷兵500人がいるとみられるが、製鉄所にあった2~3週間分の食料は、既に包囲が始まってから約8週間が経過していることから考えると、食料は尽きかけている。製鉄所内の人々の命は日々、刻々と削られている。
 ウクライナはもう戦いをやめる時だ。十分に戦った。マリウポリが「全滅」すればロシアとの停戦協議を打ち切るとウクライナは主張しているが、「全滅」などさせてはならない。1国のトップが、軽々にそんな絶望的な状況を提示すべきではない。最悪の事態に至らないうちに、停戦すればいい。それが大統領の仕事ではないか。


 日本ですら太平洋戦争時、本土決戦は回避した。国民は守られた。ゼレンスキーはいったい何を守ろうとしているのか。ロシアはウクライナの東部と南部を完全に制圧することを目標として表明しており、ウクライナが停戦を申し出なければ、ロシアが善か悪は別として戦いは続く。ならばいったん戦争は打ち切るべきだ。いかにNATOが後ろ盾だとしてもNATOがこの戦争に全面的に入ってくることがなければ、ウクライナがロシアに勝利することはない。時間が経過する分だけ、市民の犠牲が増える。


 開戦以降、プーチンの精神状態が問題視されてきた。しかし、ゼレンスキーはどうだ。正常と言えるのか。自国の都市の全滅が目前に迫るなかで、かたくなに戦いつづける。それはやはり異常だ。
 盾は市民。か弱き子供、女性、老人も……。理屈も正義もプライドも捨てよ。まずは停戦、国民の命が先なのだ。(了)

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