琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

暗礁に乗り上げたロシアとの平和条約交渉 欧米追従の大きすぎる代償  

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 不良仲間に入れてもらいたくて、弱い者いじめに一生懸命に加担している――。今の日本の姿はそんなふうに映る。岸田文雄首相は4月8日、「国際社会と歩調を合わせる」としてロシアに対する追加の制裁措置を発表したが、日本がこれに加わったからとて大勢に影響がないものばかり。ところが、日本が失う国益は計り知れない。大国ぶっているうちに日本の国益はどんどん失われていく。

 まずは岸田首相が示した追加制裁を中身を見てみよう。柱は5つ。①ロシアからの石炭の輸入の禁止②機械類や一部の木材、ウォッカなどの輸入禁止③ロシアへの新規投資の禁止④ロシア最大の金融機関「ズベルバンク」や国内4位で民間最大の金融機関である「アルファバンク」の資産凍結⑤プーチン大統領らに行っている資産凍結の対象にロシア軍関係者や議員など400人近くと、国有企業を含むおよそ20の軍事関連団体を新たに加える。

 この5つのなかで日本と関係が深いものはどれか。ゼロだ。例えば「ズベルバンク」「アルファバンク」。日常の生活の中で名前を聞いたことがある日本人はほとんどいないだろう。欧米諸国が実施している追加制裁にわざわざ日本が無理に加わっても、ロシアへの制裁の効果は上がらない。にもかかわらず勢い込んで制裁に加わり、その見返りとして日本が払った代償はあまりにも大きい。

 その代償とは何か。「平和条約交渉の打ち切り」だ。ロシア外務省は3月21日、欧米に無節操に同調していく日本に対し「日本との平和条約締結に関する交渉を継続するつもりはない」との声明を発表していたが、今回の追加的経済制裁でロシアとの亀裂は決定的なものとなった。ウクライナ戦争終結後、ロシアとの関係を修復するには膨大な時間と資金が必要になるだろう。

 このことの意味は大きい。日本が世界で飛躍していくためにはロシアを中核とする東側諸国との関係強化がどうしても必要になる。窓口となるロシアとの平和条約は絶対的に結ばざるをえない。

 そのロシアとの平和条約の締結は領土問題の解決を前提としていた。北方領土問題の解決だが、ロシアもそのことは理解していて領土問題を議論すること自体は完全には否定していなかった。

 ただその際、日本に返還した北方領土に「米軍の基地を置かない」ということを保証してほしいというのがロシアの要求だった。これに日本が応えられるのか、応えられないのか。日本の力量が問われていたが、今回のウクライナ騒動でただ欧米に追従するだけの日本の態度をみて「これでは無理だ」との判断をロシアは下した。同盟関係にある米国が「基地を置く」と要求してきた際、これを突っぱねられない、と見たのだった。

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 憲法9条を持つ日本の立場は絶対的な中立でなければならない。つまり全方位外交だ。これが日本の生きる道であるし飛躍の鍵を握る。欧米にもロシアにも加担しない。

 今回のウクライナの戦争も歴史的な経緯を踏まえれば、どちらが正義か、簡単には決められない。にもかかわらず、またも日本は欧米の尻馬に乗り、ロシアとのパイプを閉ざされた。この状態を一刻も早く脱却するべきだ。

 今、日本がとるべき戦略はロシアのプーチン氏との関係を利用して仲介役を買ってでること。成功すれば世界平和に貢献することができる。ロシアとの関係も一段と強化できる。それは近い将来、日本の力になる。(了)

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