琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ジャパンファーストとなぜ言えぬ(1)〜強い通貨の国が強い〜

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スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席した米トランプ大統領。米国の現職大統領の出席は18年ぶりというだけあって、発言に世界の注目が集まったが「期待通り」、その言葉は世界を揺るがせた。テレビのインタビューに対しトランプ大統領は「最終的には私は強いドルを望む」と発言したのだ。通貨の強さは国の強さに通ず――。さすがアメリカンファーストを標榜する米大統領らしい発言だがそれにしても、なぜ日本はトランプ大統領の真似(まね)ができないのか。

 

●大切なのは企業よりも国民
トランプ大統領の発言の効果は覿面(てきめん)だった。「強いドル発言」はたちまち世界を駆け巡り対円で1円20銭近く急上昇した。前日の1月25日、ムニューシン財務長官が「ドル安」を容認する発言をしていただけに、マーケット(市場)は機敏に反応、ドル高に一気に切り返した。
トランプ大統領は「ドル高」、ムニューシン財務長官は「ドル安」――。1国の政府要人の発言が真っ二つに割れるのは実に珍しいが、日本にとっては示唆に富む「事件」だ。少し考えてみよう。
まずムニューシン財務長官の発言の真意は「ドル安」に為替を誘導、企業が製品を輸出しやすい環境を整えることで、米国の貿易赤字を解消したいということにある。だから「弱いドルは貿易面では好ましい」となる。日本と同じだ。
一方、トランプ大統領は違う。ドルが弱くなると米国が発行する国債を世界の国々が買ってくれなくなるので米国にお金が集まらなくなる。今後10年間で1兆7000億ドルのインフラ投資を打ち出しているが、これが出来なく可能性がある。ドル安は望ましくないというわけだ。
さて、ドル高とドル安、つまり自国通貨が強い場合と弱い場合、どちらが国を富ますだろうか。


●強い通貨で国を富ます
確かに日本のように自国通貨が弱くなると、モノを海外に売りやすくなる。企業の輸出は伸びる。企業は儲かり、豊かになる。しかし、国や国民は豊かになるだろうか。少なくとも米大統領であるトランプは企業が富んでも国は富まないと判断している。自国通貨を強くすることで、世界中からお金を集め、道路や鉄道、病院や学校をつくろうという考えなのだ。
日本もこのトランプ氏を少し見習ったらどうか。国民の税金を投入し、円安に誘導、トヨタ自動車の車を世界で売りまくれるようにしても、儲かるのはトヨタ自動車とその社員くらいで、庶民は豊かにはならない。そればかりか、個人のお金を、「ドル買い(つまり円安)」に使われればその分、富は少なくなる。車は売れるが庶民はやせ細っていくばかりなのだ。
身勝手な振る舞いの象徴のように取り扱われる「アメリカンファースト」だが、視点を変えてみれば、これほど国や国民のことを考えている言葉はない。日本にも「ジャパンファースト」を唱える政治家がでてきてもいいのだが。大和魂はどこにある。   (了)

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