琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ジャパンファーストとなぜ言えぬ(3)〜企業なりて国民枯る〜

 

一将功成りて万骨枯る(いっしょうこうなりてばんこつかる)――。一人の将軍の輝かしい功名の陰には、戦場に命を捨てた多くの兵士があるというのがその意味。成功者・指導者ばかりが功名を得るのを嘆く言葉だが、今の日本の企業と国民の関係はこれに極めて似ている。円安を背景に海外マーケット(市場)を開拓し利益を貯め込む企業とは裏腹に、国民は貧しく生活は苦しさを増す。世界で戦う日本企業の「功」は成り潤うが、その陰で日本国民はやせ細る。それはまるで土地の滋養を一身に集め吸い尽くし、地を枯らす高麗人参のようだ。

 

●旦那様はだれだ
 「株主等分配率」という、ややいかめしい言葉がある。企業が生み出した付加価値、つまりお金を株主にどれだけ還元したか、その割合を示す指標だ。日本企業は2005年度からこの株主等分配率が急激に上昇している。2000年は2%だったのに、2015年は8%にまで急上昇している。儲ける力を増した企業が、その成果物である「お金」を株主により手厚く配分するようになっているのだ。
  それがどうしたと思われるかもしれない。確かに、企業が儲かっているんだから、その儲けを株主に還元するのは当然だ。しかし、問題は株主の正体だ。この正体こそ注意しなければならない。
お分かりだろう。外国人なのだ。例えばシャープ。2016年3月時点で、外国人の保有比率は72・6%。つまり、もはや実態は日本の企業ではない。シャープは外国人の旦那(だんな)様の持ち物なのだ。この旦那様のためにシャープは様々な支援を日本政府や日本の金融機関から受けながら、鞭(むち)を入れられ、必死で金を稼ぎ、その稼ぎを旦那様に戻しているわけだ。
 もちろんこのシャープは特殊な事例だが、ほかにも並み居る大企業のかなりの株主が外国人にすり替わっている。そして日本の企業はせっせとこの外国人の旦那様のためにお金を稼ぎ、分配しているのだ。

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※シャープ買収契約調印後に会見に臨んだ、鴻海副総裁(シャープ現社長)の戴正呉(左)、鴻海(ホンハイ)董事長の郭台銘(中央)、シャープ前社長の高橋興三(右)の各氏


●大企業の社員もまた貧しい
 安倍政権は「まず企業が元気にならないと国民が元気にならない」という。税制面で企業を優遇し、金融面で助け、円安誘導で輸出を後押しする。にもかかわらず、そうやって稼いだお金をせっせと外国の旦那に貢いでいるのだ。バカバカしいではないか。
 もし、日本国の宰相がトランプだったら、どうだろう。この状態を放っておくだろうか。そんなはずはない。「国が稼がせてやっているのに、外国の旦那に貢ぐとはなんだ。ジャパンファーストだろう」。そう怒るだろう。
 そもそも企業だけが潤う今の態勢はおかしい。ため込んだ現預金は上場企業に限定したとしても100兆円。しかも内部留保として抱え込むだけで、社員に還元するわけでもない。大企業は豊かでもそこで働く社員もまた貧しいのだ。
 結局、よくみればここでもまた日本のお金は外国にだだ流れになっている。悲しいことである。(了)

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