琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

最後のサミット

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「日本はケチなソロバンをはじき、小細工をした」。5月27日、閉幕した伊勢志摩サミットに対する中国外務省の公式評論である。威信をかけたサミットで日本が「小細工」をしたとは「なんたる非礼」と言いたいところ。しかし、さにあらず。確かに小細工なのである。 
 
●首脳宣言で中国非難
 
中国が問題にしているのはサミットで首脳宣言だ。今回のサミットの首脳宣言の骨子は6つあったが、その骨子の1つに「中国の東シナ海南シナ海での行動を懸念する」との文言が盛り込まれたのだ。この「懸念」を盛り込むよう強力に働きかけたのが実は議長国である日本。これを中国は「小細工」と非難しているというわけだ。
 G7のような国際的なトップ会議で正式に批判されたとなれば中国とて面白くない。G7を「本来、経済政策を議論する場」としたうえで、それを日本が利用して中国を避難したのは「ケチなソロバン」であり「小細工」であると断じたのだ。
中国がいう通り、そもそもサミットの発端は世界経済への対応だった。1973年の第1次石油危機による世界経済の落ち込みを議論したのが始まりで当時、経常黒字国だった日本とドイツが、危機脱出のけん引役として期待され、その是非が議論された。
 
G7の場を私的流用
 
しかし、そのG7の場を今回、日本は私的な目的で利用した。中国にプレッシャーをかける場に流用したのだ。
それだけではない。今の世界経済が「リーマン・ショックの前に状況に似ている」と言う認識をG7共通のものにする場にも利用しようとした。これは消費税導入の延長の理由を探していたためだ。自民党が秘密裏に進めた調査によると、このまま消費税導入を強行すると夏の参院選挙での敗北は避けられず、そうなれば安倍政権の悲願である憲法改正も遠のく。正々堂々、消費税導入を先送りできる理由が必要で、その理由探しの場として国際的に権威のあるサミットを選び、米国もそれを黙認した。
こうなればサミットの価値は下がる。実のある議論がなくなってきた分だけ、価値はない。少なくとも中国が参加しないG7の意味は薄らぎつつある。
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G7のGDPは世界の5割未満に
 
実際、日米、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダのG7国内総生産(GDP)の合計は1980年代には世界全体の7割を占めていたが、今は5割を切る。影響力は日増しに弱まるばかり。一方、G7と異なり中国が加わったG20のGDPは世界全体の実に8割を占め、中国が主張する通り「G20はG7に代わるプライマリー(第1)のフォーラム」になりつつある。
 このG7からG20への軸の移動をG7各国の首脳は敏感に感じ取っている。だから影響力の弱まったG7は、その場を日本が私的に利用することを許したのだ。「あくまでも本番は中国が参加するG20。中国抜きで何をしても茶番」というわけだ。
 つまり結局は中国なのである。G7の首脳も中国しか見ていない。中国抜きのG7で何をやろうと、何を決めようと現実味は薄い。G7などあてにはならないのだ。
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東シナ海、自分で掘れ
 
日本も東シナ海の問題を解決したいなら、G7の権威にすがるのはやめ、自ら動くことだ。東シナ海のガス田を自ら掘るしか、解決策はないのだ。
 実際。中国は東シナ海でのガス田開発を中断するどころか、開発のスピードを日増しにあげている。日本は中国に対し排他的経済水域EEZ)でのガス田開発を一方的に進めないよう警告しているが、中国がこれに耳を傾ける気配はない。日本政府は2015年7月に東シナ海における中国によるガス田開発の現状を示す写真を公表したが、それから1年弱の間に、把握できた16基の構造物のうち7基で開発が進んでしまっている。
 これを避難している暇があったら、自分でさっさと掘ることだ。中国からすれば「何もしないから悪いのはそっちだ」ということになる。誰も助けてはくれない。その現実を日本は『最後のサミット』から学ばなければならない。(了)f:id:mitsu369:20160607094008j:image
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