琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ただほど高いものはない。自分の国は自分で守れ 

 日本が戦後、経済成長を遂げられたのは戦争を放棄し、防衛面ですべて米国に依存することができたから。日本の経済人は決まってそういう。それは本当なのだろうか。例えば在日米軍の駐留経費を見てみると日本の負担割合はほぼほぼ9割。決して安くはない。このお金を本当に日本に必要な防衛のために振り向けることができたなら日本はもっと毅然とした独立国家になるはずだ。

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●言葉だけ綺麗な思いやり 
思いやり予算」という言葉を聞いたことのある人も多いだろう。米軍が日本に駐留してくれている、その御礼として①基地従業員の給与や手当②光熱費③施設整備費などのほか、米軍関係者の福利費までも日本が「思いやり」として負担しているのだ。米国から武器を購入する費用とは全く別に、単に在日米軍基地を日本に置くために必要なランニングコストを日本が負担しているわけだ。
 思いやりといえば言葉は綺麗だ。しかし実態は異なる。負担が始まったのは1978年度分からだが、当時、米国の財政が悪化していたこともあり、日本に「安保ただ乗りは許さない」と圧力をかけながら米国側から押しつけてきたものだ。最後は当時の防衛庁長官だった金丸信氏が米国への「思いやりがあってもいい」と発言、日本側から負担を申し出た形にはしたものの実態は全く違う。
 だいたい「思いやり」というにしては度が過ぎている。防衛省が公表した2015年度の日本の負担割合は86%。総額が2210億円だったから、このうちの1910億円を日本が負担しているのだ。日本を守ってもらっている代償とはいうものの、米軍の給与、光熱費、福利厚生費の9割方を日本が持っているのだ。2004年に米国防総省が発表した国別の負担割合によると日本が74.5%、韓国は40%、ドイツが32.6%だったことからしても日本の負担は度が過ぎている。

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尖閣諸島海域での中国の行動、米国は黙認
 それでも本当に米軍が日本の主権を最後まで守ってくれる気があればいい。その気がないのが問題なのだ。在日米軍は日本を守るために駐留しているわけではない。そこを理解しなければならない。国際政治は冷徹だ。米国は自国にとって有益だから日本に在日米軍を置いているに過ぎない。米国からみて極東エリアの防波堤、とりわけ中国に対する牽制のため日本に米軍を駐留させておく必要があるから、置いているだけの話である。日本がありがたがって「思いやり」と言いながらお金を払い続ける必要など本当はどこにもない。
 米国が日本を本気で守る気がないのは尖閣諸島での中国の振る舞いを野放しにしていることでも分かる。中国海警局の船は沖縄県尖閣諸島の接続水域や領海内の航海内で繰り返し、2021年6月4日時点で過去最長の112日連続で、進入してきた。もし米国が日本の主権を守る気なら行動を起こしているはずだが、何のアクションもない。
日本も米国が動かない以上、動くわけにもいない。「遺憾の意」を表明するだけ。こうなると中国はやりたい放題だ。中国は「自国の領海をパトロールしているのだから当然」という立場だから日本が具体的な行動を起こさない以上、「日本は実質的に黙認している」と理解する。当然だ。
お金も出している。米国はなんとかしてくれるはず。それはもはや日本の思い込みと希望にしか過ぎない。何も動いてはくれない米国にこれ以上、貴重なお金を巻き上げ続けられるのはもうご免だ。戦後は終わった。本当に終わった。日本は1国。ただ一人、戦争は放棄しつつ、守るべき主権は自分で守る――。誰にも依存せず立ち上がるべき時なのだ。(了)

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