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琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

ローマは休日で滅んだ

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働き方改革が社会的な流れになりつつある。「1日の労働時間を8時間」と定める現行の労働基準法の順守を促すもので、大企業を中心に「休むことはいいことだ」といわんばかりに半ば強制的に社員を早く帰す会社が急増している。余暇を楽しみ、明日への英気をきちんと養う。もちろんいいことだ。しかし、思い出して欲しい。ローマは休日で滅んだ。休日は毒にも薬にも、そして劇薬にもなる。

 

長時間労働こそ美徳?
 財務省が大蔵省と呼ばれていたころ、深夜になると中庭にバスが停車するのが慣例になっていた。午前1時便、2時便、3時便……。終電を逃した役人たちを宿舎にまで運ぶバスで、バスの中で出発を待つ役人たちは座席に座ったまま眠り込んでいた。疲れ切りぐったりと首をうなだれながらも、国を動かす醍醐味と、仕事をやり切った達成感に満たされているようでもあった。
 ただ、役人の世界は陰険であり残酷でもある。中央官庁の採用には上級職とそれ以外に大きくわかれる。いわゆる「キャリア」と「ノンキャリ(キャリアにあらず)」という言葉に集約されるように1年ごとに出世していくキャリアに対して、ノンキャリはどんなに優秀でも課長より上にはなれない。ノンキャリは責任を持たされていないためにテレビ局や新聞社の取材に答えることすら許されない。コピーをとるだけ。しかも扱えるのは「極秘」ではない公開文書だ。
 ノンキャリをうまく働かし、その成果で出世が決まるキャリアは時としてすさまじい手をつかう。「背広かけ」。夕方6時にもなるとキャリアは宴席に出かけるが、その際、さりげなく背広を椅子にかけておく。そして何もいわずに消える。下にいるノンキャリたちは上司が帰宅したのか、中座しているだけなのか判断がつかない。ただ、背広がある以上は「また、帰ってくる」という意思表示だ。ノンキャリたちは家に帰れず、椅子にかかった背広を恨めしそうに眺めながら仕事を続けることになる。
 中央官庁の課長や課長補佐クラスになると省令1つで業界を動かす。例えば金融庁の課長であればまだ30歳代でも床の間を背負い、監督する銀行の頭取クラスと銀座の高級料亭で連日宴席というケースも少なくない。もちろん悪いわけではない。貴重な情報交換の場なのだから、まるっきり「悪」とも決めつけられない。意見を戦わせた末、優秀な頭脳を駆使し日本を健全な方向に導く省令や法律を作りあげてくれればそれで結構だ。宴席は法令に違反しない範囲でどんどんやってもらえればいい。
 災難なのはキャリアが宴席でくつろいでいる間、仕事をし続けるノンキャリたちだ。キャリアは宴席が終わるとまた銀行が用意した運転手付のハイヤーで送ってもらい役所に帰ってくることもしばしば。帰るに帰れないノンキャリを一瞥し、椅子にかけた背広を着て今度は役所からタクシーで本当に家に帰る。これで、ようやくノンキャリも帰れる。
 こんな悲惨なノンキャリの仕事はなくした方がいい。帰らないために見つけてやる仕事など、仕事とはいえない。キャリアがどこで何をしてようが、ノンキャリはノンキャリ。さっさと帰って英気を養ったほうがいい。働き方改革はどんどん進めるべきだ。

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●問われる労働の実質性
 ただ、すべてがそうかといえばそうも言えない。時間に拘束されてはならない仕事もある。寝食を忘れて没頭する仕事ぶりがあってこそ生まれる技術革新もあり、日の目を見る新商品開発もある。そこをお座なりにしての働き方改革なら、進めるのは危険だ。労働はその実質性こそ重要なのだ。時間ではない。
 「日本人は働き者で休まない。少し日本人も休んだほうがいい」。そう考えている方に衝撃的な事実をご紹介しよう。実は日本人の生産性は世界的に見て極めて低い。
 先進34カ国で構成されるOECD経済協力開発機構)加盟国の2012年の労働生産性を見ると日本の労働生産性は7万1619㌦で、OECD加盟国34カ国中で21位。GDP(国内総生産)では米国、中国について3位なのに、1人当たりの生産性となるとがくんと落ちてしまう。さらに就業1時間あたりで見た日本の労働生産性は40・1㌦(4250円)とOECD加盟34カ国中で第20位だ。
 「生産性が低いなら長時間労働で補うしかない」というつもりはない。ただ、労働時間を短縮するなら、この生産性の問題にメスをきちんと入れなければならない。そこを放置しながら、休みだけ増やしてしまえば経済大国ニッポンは1夜にして滅ぶ。「日本人は勤勉で優秀」はデータの上ではすでに幻想だ。その幻想を信じ、慢心しているといずれ日本人は手痛いしっぺ返しを食らう。いったん低下した競争力を取り戻すことは並大抵ではない。国の力を「働き方改革」のブームにのって弱めてしまってはならない。ここは思案のしどころなのである。
(了)

 

 

ゴルフプレー代 51兆円なり

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日本の安倍晋三首相がトランプ米大統領フロリダ州パームビーチで約5時間、ゴルフに興じた。ホワイトハウスで会談後、大統領の専用機でトランプ氏の別荘に移動、常の1・5倍の27ホールを回る盛り上がりぶりに政府関係者や経済界は「日米の絆が一段と深まった」と手放しの喜びようだが、このゴルフのプレーフィーが4500億㌦(約51兆円)だったとしたらどうだろう。しかも、それが年金など日本の国民のお金を横流ししたのだとしたら……。

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●トランプ「日本国民の感謝」
「首相と日本国民に、米軍を受け入れてくれていることに感謝を伝えたい」。日米首脳会談の共同記者会見でトランプ氏はこう述べた。しかも笑顔を交えながら。いったいこの豹変ぶりはどういうことだろう。選挙中は「米国はただで日本を守っている」「お金を払わないなら米軍は撤退すべきだ」とあれほど息巻いていたではないか。一転「米軍を受け入れてくれて感謝」とはあまりの変わりようだ。しかも、日米共同宣言では「沖縄県尖閣諸島日米安全保障条約の第5条が適用される」とも言及、日本のアキレス腱だった領土・領海問題に十分すぎる配慮を示した。政府高官が「安倍首相は100点以上のでき」と胸をなで下ろしたくなる気持ちは分からないでもない。
 しかし、なぜ、トランプ氏はここまで豹変したのか。「米軍の駐留経費を8割近く負担している日本の実態を安倍首相がきちんと説明でき、それを理解してくれたから」なのだろうか。「繰り返される暴言で孤立するトランプ氏が、日本という味方の心強さに気がついたから」か。いかに世界を知らない日本人でもさすがにこの説明には首をかしげるだろう。そしてこう思うだろう。「もし、そんなこと位で変わるトランプなら、とっくの昔に変わっていたはずだ」。

 

●「米国に51兆円」を約束
 今回の記者会見で注意しなければならないのは、トランプ氏がメモを見ながらしゃべっていた点だ。欧米のトップの場合、メモを見ながらしゃべるケースはそれほど多くない。特にトランプ氏がメモに頼る割合は少ない。なのに今回の首脳会談でメモを多用したということは、それほど慎重にならざるを得ない状況にあったということだ。つまり決して逃してはならない魚をトランプ米国は手中におさめ、慎重に抱え込んだということなのだ。
 その魚こそ、日本のマネーだ。日本はトランプ政権の発足で震え上がり、暴言に翻弄され、「先んずれば敵を制す」と言わんばかりに、いの一番でありったけのお金を差し出してしまったのだ。トランプ米国はちゃっかり握りしめ、ご満悦だった。「首相と日本人に感謝」となるのも当然だといえる。
 では、その日本のマネーの正体とは……。タネをあかそう。それは「日米成長雇用イニシアチブ」なる経済協力のことだ。経済協力とは言葉だけのこと。要は霞が関の官僚が日米首脳会談を前に用意したトランプ氏への手土産で、トランプ氏はいたくこれが気に入った。
なにせ総額4500億㌦(約51兆円)である。10年間かけて高速鉄道や新規発電所に17兆円、ロボットと人工知能(AI)に6兆円、サイバー・宇宙開発などに6兆円など5分野に総額51兆円を投じるというのだ。しかもそのお金の出所は日本。わざわざ「日本のファイナンス(資金)力を最大限活用」すると明言している。「日米連携」「共同」と言葉は踊るが、結局は日本が用意する巨額のマネーを米国に流し込むだけのことだ。その成果は70万人の雇用創出につながるという。

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●お金の出所は国民の年金
 ここまできくと「おいおい」。というのが日本国民の本音だろう。いったいそんなお金がどこあるというのだ。国の借金は1000兆円超。財政破綻の危機に直面しているギリシャとならぶ借金大国、日本である。51兆円ものお金をどこから調達するのか。耳を疑いたくなるというのが本音だろう。
 しかし、お金は日本がつくるのだという。出所は………。驚くことなかれ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、つまりお年寄りの年金なのである。政府系金融機関の融資や外国為替資金特別会計など日本国民のために使途がきまっているお金と合わせて米国に投じ、米国の雇用を底上げするというのだ。
 お金には2種類ある。使っていいお金と決して手をつけてはいけないお金。日本は今、後者、つまり決して手をつけてはいけないお金を取り崩そうとしている。しかも、日本のために、ではない。まるで米国のために。トランプという「ジャイアン」にいじめられないため、親の金にも手をつける「のび太」のようではないか。あまりにも悲しすぎる。意気地がなさ過ぎるではないか。大丈夫か、日本。大和魂はどこへ行った。(了)
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陰にいるのはコイツらだ(下)

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●カジノの裏に孫正義がいた

「シンゾウ」――。トランプ米大統領は安倍晋三首相のことをこうは呼ばない。先進国のトップの中で日本がいち早く米国詣(もう)でを果たし、日米の友好関係の大切さをいくら説いてもだ。しかし、ソフトバンクグループの孫正義社長のことはこう呼ぶ。「マサ」と。
 
●孫氏の米国で5兆円
ソフトバンクの株価が急騰している。27日には2014年1月10日以来、約3年ぶりに9000円台に乗せた。理由はトランプ大統領。トランプ政権の保護主義的政策は、トヨタ自動車など日本を代表する企業への激しい「逆風」となっているのに、ことソフトバンクにいたっては違う向きの風になっている。「追い風」だ。
 安倍首相がトランプ大統領との会談で「一番くじ」を引かせてもらう代わりに「IR整備推進法(カジノ法)」を手土産に携えた話は前回、指摘した通り。しかし、孫氏の手土産の場合、ちょっと安倍氏とはスケールが違う。昨年12月6日にトランプ氏と会談した際、孫氏が約束したのは「米国で500億ドル(5兆円強)の投資と5万人の雇用」。トランプ大統領も「マサ(正義)は素晴らしい男だ。感謝している」と手放しの褒(ほ)めようだ。
 もちろん孫氏ほどのビジネスマンがトランプ氏から賞賛を得るためだけに、これだけの投資と雇用を約束するはずはない。当然、その何倍もの見返りがあると判断したからこその5兆円投資であり、5万人雇用であることは間違いない。

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ソフトバンク代表の孫正義氏(左)とSprint代表のDaniel R. Hesse氏(右)

●狙いはスプリント救済
ではその見返りとは何か。端緒を捉えるため時計の針を2013年に戻してみよう。実はこの年、ソフトバンクが米携帯電話会社大手の「スプリント」と「TモバイルUS」を買収している。米国の通信大手2社をほぼ同時に傘下に収めるというソフトバンクの買収劇は当時、大型買収が相次ぐ米通信業界のなかでも大きな注目を浴びた。ソフトバンクの進行が米通信業界でも始まる、と世界は固唾を飲んだ。しかし、そうはいかなかった。
ソフトバンクが買収したスプリントは大手とはいえ業界で3位。もう1つのTモバイルUSは4位だ。そのうえにはベライゾン・コミュニケーションズとAT&Tという世界企業が君臨する。この上位2強に頭を押さえられ、ソフトバンクの2社の経営は次第に追い詰められてしまった。
 そこで孫氏が打ち出した巻き返し策が3位のスプリントと4位のTモバイルUSを合併させるというウルトラC。2社の力をひとまとめにして経営資源を集中し、ベライゾンとAT&Tを追い落とす作戦にでたのだ。
 
●米連邦通信委員委員長に再編派
ところが、この作戦も封じられる。オバマ政権下で米国の通信・放送行政をつかさどる米連邦通信委員会(FCC)の委員長であるトム・ウィラー氏(民主党)が待ったをかけたのだ。「大手4社による市場競争が大切」としてスプリントとTモバイルUSの合併を認めなかった。この裁定により孫氏の逆転劇はもろくも阻止されてしまった。
 しかし、舞台は回った。オバマ氏は去り、トランプ氏という異端が米国のトップについた。孫氏はこのチャンスを逃さなかった。すかさずトランプ氏に食い込み貢ぎ物を贈ったのだ。それが5兆円の投資と5万人の雇用というわけだ。そしてその結果が1月23日のFCCの人事だった。トランプ氏はFCCのトップにアジット・パイ氏を選んだ。
 この人事こそトランプ氏から孫氏への「返礼」の意味を持つ。何しろ、アジット・パイ氏は筋金入りの市場競争主義者なのだ。共和党側の代表として5年間、FCC委員を務めたが、ここでも自由競争が必要だとの論陣を張り、トム・ウィラー氏と対立した。そのアジット・パイ氏がFCC委員長に就任したのだから、トム・ウィラー氏とは反対の裁定を下す可能性は高い。
 そうなればトム・ウィラー氏のFCC委員長時代に却下されたスプリントとTモバイルUSの合併話はおそらく前に動き出す。少なくともマーケット(市場)はそう判断した。だからこそ、ソフトバンクの株価が異常に高騰しているのだ。

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●孫氏という男
 それにしても孫氏というビジネスマンは何としたたかな男なのだろう。身銭を切る5兆円投資でまずトランプ氏から通信ビジネスでの実利をとったうえで、トランプ氏を安倍首相を引き合わせる。安倍氏にはトランプ氏が最も欲しいものの1つであるカジノ法を手土産にもってこさせる。返す刀で安倍首相には「トランプ氏との会談をセットする」という恩を着せる。さすがとしかいいようがない。
 ただ、気をつけて欲しい。孫氏の米国での通信事業拡大のために、日本はカジノ誘致という代償を支払った。やがて日本はカジノから腐り始める。しかも、いくらソフトバンクのビジネスが米国で順調に進んでも、その見返りである税金は日本には落ちない。
 日本国は売られた。1ビジネスマンの「利」のために国が売られた。この事実は重い。そしてその片棒をかつぐ政治家の責任は重く、さらにそれを見逃す庶民の罪もまた限りなく重い。(了)

陰にいるのはコイツらだ(上)

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 米国の第45代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏(70)が20日正午(日本時間21日午前2時)、就任した。「米国第1主義」を掲げ、これまでの世界の潮流を完全否定するトランプ氏。それにしてもいったい就任前にこれほど注目された大統領はいただろうか。その真意を確かめようとすっ飛んで行ったのが日本の安倍晋三首相だが、なぜあれほど早く会談が成立したのか。理由がある。カジノだ。

 

●解せない強行採決

実に不思議だった。誰も望んでいないカジノをなぜ日本につくらなければならなかったのか。日本経済新聞社が昨年末に実施した世論調査によると、カジノ解禁に対するは「反対」は63%なのに対して「賛成」はたったの26%。にもかかわらず日本でのカジノ運営を認める統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法案)は昨年、強行採決された。
あまりにも強引、しかも稚拙である。安倍政権の本丸はあくまでも憲法改正であるはず。何も国民の6割もが反対するカジノ法案でリスクをとる必要はない。今後の政権運営を考えれば、ここで無理をせず安全策をとってもよかった。にもかかわらずカジノ法案は強行採決された。そう。強行採決せざるを得なかったのだ。
糸を引いたのがソフトバンク孫正義氏。この男、意外にもトランプ政権に強いパイプを持つ。しかもカジノ経由でだ。

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●カジノ王とトランプ氏
タネをあかそう。トランプ氏の大スポンサーこそ世界一のカジノ王なのだ。米ラスベガス・サンズ社のアデルソンという人物なのである。昨年末で316億ドル(約3・6兆円)の資産を持つアデルソンは米フォーブス誌の長者番付で世界14位。自ら所有する新聞でトランプ支持を打ち出し、1億ドル(約113億円)の寄付を申し出たほど。ウォール街をバックにつけ桁違いの資金力で選挙戦を戦ったヒラリー・クリントングループへの対抗軸として資金面から必死にトランプ氏を支えた。当然、トランプ氏には絶大な影響力を持つ。
そしてこのアデルソン氏と安倍首相との異常な緊急会見を取り持った人物がソフトバンクの孫氏なのだ。孫氏自身、昨年12月6日、米ニューヨークのトランプタワーでトランプ氏と会談しており、この時、間に入ったのがやはりアデルソン氏。トランプ氏は孫氏を「業界で最も素晴らしい男」と持ち上げており、メキシコでの工場建設を批判されたトヨタ自動車とは雲泥の差である。
 さて、ではトランプ氏と孫氏の間を取り持ったアデルソン氏と孫氏はどこでつながったのか。結局は金である。こういうことだ。1970年代後半、アデルソン氏はコンピューター関連の展示場「コムデックス」を設立したものの業績は伸び悩んでいた。これをちょうど米国での事業拡大のチャンスをうかがっていた孫氏が買い取ったのだ。金額にして970億円。1995年のことである。この資金を元手にアデルソン氏はカジノ王への階段を駆け上っていった。

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●カジノ法案は手土産 
「孫→アデルソン→トランプ→安倍」。この連関図を完結させるためには、カジノ法案の成立を手土産にするしかなかった。トランプ氏の盟友、カジノ王アデルソンが日本でもビジネスを展開する環境を整え、どうぞおいでくださいという「OMOTENASI」の証しをぶら下げていくしかなかったのだ。またしても国は安倍氏によって売られた。
 もともと推進派がカジノ解禁のメドとしてきたのは、東京オリンピックが開催される2020年。外国人観光客向けのアミューズメントが不足しているというものだったが、今となってはとても間に合わない。
 辻つまを合わせるかのように出てきたのが、経済効果だ。カジノ法案が国会に初めて提出された2013年、米投資銀行シティーグループは東京、大阪、沖縄の3カ所にカジノができた場合、約1・5兆円の年間収入が見込めるとのリポートを発表した。まるで外国人が1・5兆円を日本に落とすような錯覚をしてしまうが、リポートを読み込んでみればこのうち8割のお金は日本人が落とす。
ただ仮に全額を外国人が全額を落としてくれるにしても、たかだか1・5兆円である。日本が抱える債務1000兆円と比べてみれば焼け石に水だろう。もう一度、日本のもの作りの力を復活させ、地道に財政再建に取り組むべき時に、裏の世界とのつながりを持つ遊興施設を呼び込むことは警備費などのコストを考えてみても割に合わない。そればかりか、最も肝心な日本人のもの作りの精神を腐らせる。
100害あって1利なしのカジノを「朝見外交」の道具につかった安倍政権の浅薄な政治感覚は万死に値する。「アメリカンファースト」を声高に叫ぶトランプ氏に国を売り、こびへつらってみても意味はない。それが分からない安倍政権に未来は託せない。(了)

ジャパニーズ・トランプはいないのか

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「想定外」――。2016年を象徴する言葉を1つ挙げるとするなら、この言葉になるだろう。英国の欧州連合(EU)離脱、米大統領選でのヒラリーの敗北など今年は想定を覆す事件が勃発し続けた。しかし、目立たないが決して見過ごしてはならないのが日本が引き起こした「想定外」。戦後70年間、日本が担ってきた核兵器拡散の「楔」の役割を日本が放棄してしまったことだ。
 
●日本が世界を裏切った


その歴史的な瞬間は10月27日に起こった。国連総会で軍縮を話し合う第1委員会。核兵器使用を禁じる核兵器禁止条約の交渉入りに日本が異を唱えたのだ。「核兵器の使用がもたらす破滅的な結末を深く懸念する」とし、核兵器の使用を禁じるための法的拘束力のある禁止条約の必要性を議論することに「反対」する側に回ったのだ。
 安倍晋三首相は「今回の判断は簡単ではなかった」とコメントしたが、何のことはない。米国の恫喝に屈しただけのこと。実は米国は国連総会の前に密かに水面下で各国に圧力をかけている。北大西洋条約機構NATO)諸国に「核兵器禁止条約の防衛上の影響」なる文書を送りつけ、暗に採決時に反対票を投じるように求めていたのだ。当然、日本や韓国にも同様の圧力をかけきており、それに日本があっさり屈した。
 米国がそう言ってくる理由は要はこういうことだ。「誰のおかげで日本は平和を維持できているのか」。米国の核の傘の下に逃げ込んでいるから日本の平和は保たれているのに、その核を否定する「核なき世界」を推進する側に回るなどとんでもないというわけだ。
 主張はそれぞれあろう。しかし、日本は戦争被爆国である。一般市民が核兵器の犠牲にさらされた世界で唯一無二の国である。その立場と役回りを忘れてはならない。人々の日常を一瞬にして地獄絵図に変えた原爆の非人道性と酷さを身を持って体験した国が、その核兵器を肯定するなどあってはならないことだ。世界は日本に失望した。
 国際社会においてそんな当然の振る舞いができない国をだれが信用するというのか。自国の子供や老人、家族を殺した国にひざまずき、圧力に屈し媚びを売るような国をいったい誰が評価するというのか。

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●二流政治家はいらない


核兵器禁止条約の交渉入り決議に「反対」と唱えた国は、米国、英国などたった38カ国(日本を含む)。これに対して「賛成」は123カ国だ。安倍首相の十八番である「グローバル化」という観点で論じたとしても世界の趨勢は「核兵器反対」なのだ。世界主要列強国に日本が名前を連ねる心地よさに身をゆだねてはならない。
ここで日本は方向を転換するべきだ。核兵器廃絶に向けた議論は来年3月から国連で始まるが日本は正々堂々、被爆国としての論を展開しなければならない。岸田文雄外相は「現実的で実践的な取り組みをしなければならない」と発言、「現実的」で「実践的」な判断を優先する意向だが、それではいけない。二流の政治家にありがちな「リアリズム」志向、「長いものに巻かれろ」式で米国の意向を忖度(そんたく)しながら事を進めるということではあってはならない。

 

●卑しき「長いもの」


日本は是非、その「長いもの」の正体をよく見て欲しい。12月に起きた普天間基地沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイ名護市沖で不時着・大破した事故はそれを考えるうえで、有力な材料の1つだ。事故原因は空中給油の訓練中の乱気流などによるトラブルということだが、米海兵隊の主力輸送機オスプレイは導入当初から操作性の難解さからその安全性が疑問視されてきた。今回の事故はその懸念が単なる憂慮ではなかったことの証しにほかならない。
万が一、事故現場が今回のような海岸ではなく住宅街であったならその被害は計り知れなかった。当然、徹底検証されその結果が日本側に提供されてしかるべきだが、日米地位協定があるために日本は事故現場に近づくことすら許されない。せめて事故の原因が本当に気象条件によるものだったか、かねてから指摘されてきたようにオスプレイという機体そのものにあるのか、徹底検証されるべきだ。
しかし現実は違う。「安全性が確認できるまで運用を一時停止する」としていた在日米軍は日本側の意向を完全に無視、事故からたった6日後に飛行を再開してしまった。この対応に沖縄県側の怒りはいまだおさまっていないが、その神経を逆なでするように国は2017年度予算案でオスプレイの取得費391億円を計上している。
この顚末で分かるのは、米国が日本という国に対する最低限の礼節を失ってしまっているという事実だ。日本国の住民の安全など全く眼中に入っていない。その米国に日本が卑しいまでに尾を振っている。

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オスプレイの機体の残骸を回収する米軍関係者=15日午後、沖縄県名護市安部 

●GDP2位国のプライドはないのか


背景にあるのはトランプ次期大統領が言う通り「日本をただで守ってやっている」という意識だ。「守ってやっているのに何の文句があるんだ」という考えだ。この強弁に日本は怯えている。「米国が撤退したら日本は丸腰になる」と震えている。
本当にそうか。日本はそれほど弱い国なのか。GDP(国内総生産)で世界2位の国が自国を自分で守れないはずはないだろう。発想を変える時だ。ここまで卑屈になる必要がどこにある。ジャパニーズ・トランプはいないのか。でてきて欲しい。そしてこう言って欲しい。「米国よ出て行け。自分の国は自分で守る」            (了)

プライドはないのか

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 世界が驚いた。国連総会第1委員会(軍縮)で核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」について、日本がこれを議論することに反対したのだ。非核三原則を国是とし平和国家としての地歩を固めてきた日本。その日本が核兵器保有を認めたことで日本は完全に信頼を失った。核兵器の保有を否定しない「平和国家」など誰も相手にしない。プライドはどこにいった。

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●大切なのは米国の顔色だけ


 「米国の核抑止力(核の傘)に依存する安全保障政策と相いれない」。核兵器保有を擁護する側に回ったことについて日本政府はこうコメントした。悲しいではないか。「米国の核で守ってもらっているのだから、その核を否定するわけにはいかない」というのだ。いつから日本はこんな卑屈な国になったのか。
 「相いれない」というならむしろ非核三原則の方だ。核兵器を「製造せず」「持たず」「持込みませず」とする この国是と核兵器の保有は全く整合性がとれない。1967年 12月,佐藤栄作首相も国会答弁で正式に表明しているこの国是を真っ向から否定し、米国の顔色を伺うためだけに国連という最大の公の場でみせた日本の態度。もはや「醜態」としか表現のしようがない。

 

ヒロシマが泣いている


 いったい日本はこの核兵器で何万人の人が亡くなってしまったのか。無差別に人を殺す核という特殊な兵器の残酷さは日本人しかしらない。その日本人が核兵器を認めてどうするのだ。世界にあの悲劇を伝え続けるのが、日本の役割ではないか。日本だからこそ説得力を持つのではないか。ヒロシマナガサキが泣いている。

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●コケにされる日本


 その役割を放棄するということはプライドの放擲(ほうてき)である。プライドなき国はもはや米国の番犬でしかない。その証拠に最近、米バイデン副大統領が習近平氏にある発言をして物議をかもしている。「日本は一夜で核武装可能」だと。
 この国はチェック機能を喪失してしまったのだろうか。野党は死に体のTPP法案の成立に抵抗するポーズをどうとるかだけに腐心、第4の権力とまでマスコミは沈黙を続ける。いったいこの国の良心はどうなった。(了)

ソロスが間違えた

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 天才投資家ジョージ・ソロスアジア通貨危機を演出し、イングランド銀行を打ち負かしたその男が読み間違えた。米大統領選でだ。もちろん読み間違えたのはソロスだけではない。世界が間違えた。100%クリントン――。その予想が外れた瞬間は「富裕層富裕層による富裕層のための政治」に小さいが歴史的な穴があいた瞬間でもある。

 

ウォール街が負けた


一国の中央銀行との戦いにすら負けなかった投資家ソロス。249億円(約2兆5900億円)もの個人資産を持ち「ソロスがどこにはるか」で株価は乱高下し、世界のマネーの流れは決まった。そんな伝説の投資家が米大統領選で「はった」のがクリントンだ。今回の大統領選でもクリントン絡みのスーパーPACに700万ドル(約7億2900万円)を献金を行っていた。
 ウオール街や富裕層との蜜月ぶりをクリントンも隠すことはなかった。ソロスと同じ巨大ファンドを操る投資家であるウォーレン・バフェットは2015年12月、ネブラスカ州オマハで行われた集会でクリントン支持を表明、フェイスブックシェリル・サンドバーグCOOも「ヒラリー・クリントンが大統領になってほしい」と語った。大物シンガー、レディーガガも応援集会に駆けつけた。
 米国のトップ層の誰もがヒラリーを応援し、勝利を疑わなかった。あからさまにヒラリー側につき、そして負けた。これまで政治の舞台からこぼれ落ちてきた大衆が、特権階級の資本主義に「ノー」を突きつけたのだ。大衆が勝利した。これは英国のEU離脱に次ぐ「革命」と言っていい。
 さて、日本。トランプ勝利を受け、円が高騰、日本の市場(マーケット)は暴落し一時、1000円以上値を下げた。今後の世界経済が一気に不透明感を増したとの見方が日本を覆った。

 

●危機は「ヒラリ」とかわされた


 しかし、日本は救われた。トランプ勝利で危機はヒラリとかわされた。ウオール街のしたたかな世界戦略の魔の手はこれでいったん動きを封じられた。そのことを日本人は知るべきである。
 トランプは確かに保護主義であり米国の利益の露骨な代弁者である。そこに「世界の警察官」の品格はない。それでいい。それが現在の等身大の米国なのだ。「もっと金を出さないなら米軍を日本から撤退させる」。大いに結構。そこから日本はどうするか考えればいい。核の傘をちらつかされながら、ODAへの支出や米国債の購入など巧妙に形を変えて巨額のマネーをかすめ取られるよりずっといい。

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●日本よ、ここで変われ


 トランプ勝利は日本にとっては願ってもない僥倖(ぎょうこう)だ。ここで日本の立ち位置を考える。世界でどう振る舞うのか、もう一度白紙に戻して考えるチャンスを得たのだ。そこを見誤ると日本もソロスのように読み違える。 (了)

文殊読みの「もんじゅ」知らず

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高速増殖炉原型炉」――。これ戒名ではない。プルトニウムウランを混ぜ合わせたMOX燃料を使用した発電プラントのことだ。日本では福井県敦賀市で研究が進む。原発何基分もの威力を持つ増殖炉に、つけられた名前は「もんじゅ」。獅子を乗りこなす文殊菩薩もんじゅぼさつ)のように、原子力という巨獣を飼いならしたいという思いがこもるという。しかし、気をつけて欲しい。人は知恵を司る文殊菩薩ではない。


●荒唐無稽な夢


ノーベル賞受賞者のコメントを聞いて毎年、痛感させられるのが真摯さだ。2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工業大学栄誉教授も「生命の現象の数%を解明しただけ」と述べたが、本物の知恵者は決して傲らない。しかし、日本の原子力関係者の傲慢さと来たらどうだろう。福島第1発電所の事故で分かったように原子力発電ですらいったん「臨界」に突入すれば制御不能に陥るというのに、その何倍もの威力を持つ巨獣「もんじゅ」を飼いならそうというのだ。発電で消費した量以上の燃料を生み出すという荒唐無稽な「夢」は、人の分際を大きく踏み越えてしまっている。


カネゴン化するもんじゅ


日本はこの「もんじゅ」に過去20年の間に1・2兆円もの資金を投じ、カネゴンのようにモンスター化させてしまった。冷却のためのナトリウム漏れ事故やそのトラブルの隠蔽、1万カ所もの点検漏れなどトラブルを次々と引き起こすだけで、ほとんどまともに動かぬままの巨獣なのだが、飼っておくだけで年間200億円のお金がかかるという。本気で飼いならすなら今後10年で耐震補強などで6000億円が必要だ。

では、もんじゅ廃炉にすればすべて終わるのか。これまた簡単ではない。30年の時間と3000億円のお金がかかる。通常の原発なら850億円の廃炉費用も、モンスターになるとその3倍以上に膨れあがる。引くもお金、進むもお金――。実に原発にはお金がかかる。
しかしつくってしまったものは仕方がない。「存続か」「廃炉か」。政府はようやく「もんじゅ」をどうするか、年内に決着をつける方針で、原子力規制委員会の頑張りもあって年内に廃炉が決定、早ければ2020年にも廃炉を開始する計画だ。途方もない授業料を払ったが、日本が原発の手ごわさを学んだのなら仕方のない支出でもある。


●終わらない悪夢


ところが終わらないのである。確かに政府は原子力関係閣僚会議で高速増殖炉原型もんじゅ廃炉の方針は決めた。官房長官菅義偉氏も「もんじゅは今年中に廃炉を含めて抜本的な見直しを行う」ことは宣言した。ただ、高速炉の開発は別の方向で続けるというのだ。フランスが現在、研究を進めている「ASTRID(アストリッド)」を高速炉時代の先駆けと位置づけ、共同研究などの方式で再び開発を進めるという。
おかしいではないか。もんじゅでこれだけの代償を払っておきながらまだ懲りない。ずるずると「夢」に引きずられ巨費を垂れ流ししていく。フランスの原発技術に限界があることなど福島第1原発の事故処理でフランスにお金だけとられて何もできなかったことで確認済みではないか。

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●漂うプルトニウム


しかもこの高速炉で万が一にも「消費した以上の燃料を生み出す」発電が現実のものとなったとすると、日本は解決不能な新たな課題を背負いこむことになる。増え続けるプルトニウムを消費するためにさらに猛烈ないきおいで原発にのめり込んでいくしかない。
なぜなら国際的な取り決めで「原子力発電により発生する使用済み核燃料から取り出したプルトニウムは、自国で使い切らなければならない」という一種「国際協約」があるからだ。ただでさえ日本は現在、国内外に48トンのプルトニウムを抱え立ち往生している。例え国内の原発16~18基でプルサーマル発電でプルトニウムを消費したとしても年間5・5~6・5トンでしかない。すでに消費しきれないほどのプルトニウムを抱えているにもかかわらずさらに高速炉でプルトニウムを増やしていくなら、「日本も核武装を検討しているのではないか」との嫌疑がかかっても仕方がないだろう。

 

●フランスは「罠」


ここはいったん原発から手をひくべきだ。少なくとも高速炉はリスクが大きすぎる。とりわけ海外、フランスとの共同開発など体よく巨額な資金をくすねとられるだけである。海外との連携に落とし込めば、何か高尚なプロジェクトに昇華させた気になるのは日本の霞が関の官僚の癖であり、陥りやすい罠でもある。

空想を空想でつなぐ新技術への野望は無意味であるだけでなく、膨大なコストを伴う。時の権力者たちが目の前の帳尻を合わせるために、非現実な絵を描いているうちに、国民は戸惑い、国はやせ衰えていく。ことは急を要する。(了)

島は2つで歯車を回せ

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    北方領土問題が解決に向け動きだそうとしている。安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が今秋から年末にかけ会談するのを機に、日ロの政府が落としどころを探る動きを活発化させているからだ。ここは日本も分別をわきまえ歯舞、色丹の2島で合意し、両国の新しい時代を引き寄せるべきだ。日本のソケットの穴は2つ、4つのコンセントのピンは刺さらない。

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※読売新聞記事より

 

●米国の間隙(かんげき)をつけ


日ロ急接近の理由はプーチン氏と安倍氏の個人的な信頼関係。これまで両氏は14回の会談を行っており、気脈は通じてきている。実際、柔道家でもあるプーチン氏は親日家で知られ、安倍氏プーチン氏を「ウラジミール」とファーストネームで呼ぶほど。その2人が11月にペルー、そのわずか1カ月後の12月には安倍氏の地元である山口県で会談することが決まったわけだから、「両国の間で何か劇的な進展があるかもしれない」との期待が高まるのも当然だ。
確かにそのサインはある。23日にまでロシア大統領府が明かにしたところによると、ロシアのプーチン氏が日本との経済協力を担当するポストの新設を決め、10月15日までに人選と権限について提案するようメドベージェフ首相に指示したというのだ。これは日本政府が対ロ経済協力の担当相を新設したことに対応した措置ではあるが、両国がまず経済から歩み寄ろうという意思を明確にしたものといえよう。

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●整う環境


まずは経済、次に領土問題、そして平和条約締結と日ロの関係が進展することを期待したいところだが幸いその環境は整っている。最たるものが米国だ。米国はちょうどオバマ大統領の任期切れが迫り11月には大統領選もある。いわば外交の空白期間に入っており、日ロが急接近することに横やりを入れる余裕がない。一方、交渉相手のロシアも原油安と欧米の制裁により経済状況はかなり厳しく、日本との関係強化を急ぎたいところだ。
しかし、何よりも重要なのは日本である。アベノミクスの生命線である株価は伸び悩み、銀行の収益悪化などマイナス金利の副作用も顕在化し始めている。頼みの中国は不安材料満載で、とても日本の経済をけん引するどころではない。袋小路に差し掛かっていることは明白で、ここは一気に北に進路をとり、ロシアとの連携で苦境を脱したいところだ。

 

●御稜威(みいつ)※は北から


御稜威は北から下りる。ロシアとの交渉をまとめ平和条約締結によりロシアという巨大なニューマーケットが本格的に開かれるとともに、北方領土周辺の石油をはじめとした資源開発にも目鼻がつく。単なる心理的効果ではなく、構造的なプラスの材料が北にはいくつも埋まっているのだ。
その北の御稜威を手中に収めるため、日本は正々堂々、4島返還の主張を放棄すべきだ。1956年の日ソ共同宣言にそって歯舞、色丹の2島を返還してもらい、択捉、国後の2島は譲る。これが正解だ。ロシアも2島なら「ダー」※となる。

 

●ソケットの穴は2つ


よく考えて欲しい。日本のソケットの穴は2つ。これで証明しているではないか。4島にこだわることは、交渉をまとめないための方便だ。2つに絞る。ここにこそロシアとの交渉のツボがある。肝心なのは領土を増やすことではない。電源を入れること。ソケットの穴2つにピンを差し、金龍国ニッポンにスイッチを入れることだ。そうすれば、歯車が回りだす。 (了)

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※御稜威(みいつ)…「厳 (いつ) 」を敬っていう語。天皇や神などの威光。「―津々浦々に及ぶ」

※ダー【Да】(ロシア語)…日本語で「はい 」の意。

○関連記事『北北北に進路をとれ』

http://mitsu369.hatenablog.com/entry/2016/05/02/%E5%8C%97%E5%8C%97%E5%8C%97%E3%81%AB%E9%80%B2%E8%B7%AF%E3%82%92%E3%81%A8%E3%82%8C

 

築地問題、解は『2つ』


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    築地市場(東京・中央)からの移転が延期された豊洲市場(東京・江東)。建物の下にポッカリと空洞が空き、水がたまっていることが判明、建設工事の談合の疑いも出てきた。迷走ぶりが際立つなかで、小池百合子知事はいったいどう決着をつけるのか。正解は「築地も豊洲も両方生かす」だ。

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●建物の下に空洞

 

築地の移転先として整備が進む豊洲市場の用地はもともと東京ガスの工場跡地。当然、土壌は汚染されており、有害物質であるベンゼンが環境基準の4万3000倍という高いレベルで検出された。この対策として東京都は表土を削りとり、新たに奇麗な土地を盛ることで安全を担保する手はずだった。
ところが、違った。確かに厚さ2メートル近くの表土はけずりとられていたものの、その後に盛られるはずの土壌が、建物の下の部分にはなかったのだ。結果的に建物の下には深さ4・5メートル近くの穴があき、そこに不審な汚水がたまってしまっていた。

 

●わざと穴はつくられた

 

いったいなぜこのような事態となったのか。実はこの建物の下の穴は、決して「うっかり埋め忘れた」わけではない。それはそうだろう。これだけ反対者の多い豊洲移転である。工事を担当するゼネコンは1㍉の狂いもないよう工事を進めたはすだ。
となるとなぜ建物の下に穴があるのか。調査を重ねて判明したのだが、「周到に、そしてあえて空洞にした」(工事関係者)という事実だ。表面は削り取ったとはいえ、汚染が残っている可能性のある土壌と、食べ物を扱う市場の床が直接、触れ合うことを避けたのだ。このことは誰にも知られず、極秘のまま闇に葬られるはずだった。
しかし、その計画は小池氏の登場で狂ってしまう。工事関係者から都議の一部に「秘密の穴」の存在が漏れ、マスコミを通じて世間の知るところとなってしまった。
庶民の食べ物が有害物質を懸命に遮断した建物の中で取り扱われること自体、無理がある。極めてセンスのない移転計画だったわけで、建物の下にあいた穴は、如実にこの計画がいかに「無理筋」だったかを象徴する1つの証左でもある。

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●築地を生かせば豊洲も生きる

 

ただ、事ここ至っては、豊洲市場がいかに問題であるかをあげつらっていても問題は解決はしない。5000億円を投じた世界最大の市場は出来上がってしまったのである。都民の血税を投じたこの施設をどう生かすかを検討するのが筋だ。
そして、そこで出てくるのが「豊洲」も生かし、「築地」も残す選択肢だ。両市場を機能分担し、連携させながら両方、使うのだ。例えば築地市場は国内消費者向け、そして豊洲市場は海外への輸出品、または海外からの輸入品をさばく市場として利用する。豊洲には築地になかった船着き場も整備されている。ここを使って生鮮品を出し入れすればいい。

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●食の輸出大国へ

 

農林水産省がまとめた2015年の農林水産物・食品の輸出額は7452億円。前年比で21・8%増、3年連続で過去最高を更新している。世界的な和食ブームを追い風に安倍政権も「2020年には1兆円にまで引き上げる」との目標を掲げており、場合によっては「前倒しで実現させたい」(政府関係者)という。
 日本の食が世界に開かれていくとするなら、築地だけでは足りない。オリンピックロードは迂回させ、築地は残すべきだ。老朽化の問題はリニューアルでなんとでもなる。そのうえでブランドが失墜した豊洲と連携、豊洲は海外との取引の拠点として使えばいい。
 1つつくれば、1つ壊さねばならない。そう考えるのは人間の頭のかたいところである。 (了)  

f:id:mitsu369:20160915091756j:imagef:id:mitsu369:20160915091819j:image      

どう(銅)でもよくない、オリンピック

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 夏季五輪リオデジャネイロ大会が閉幕した。日本のメダル総数は41個で前回(2012年)のロンドン大会の38個を上回り史上最多。メダルラッシュと国は沸くが、内訳を見ると銅メダルが21個と半分以上を占め、金メダルは12個と全体の3割だ。つまりリオで日本国の国歌「君が代」が鳴り響いたのはわずか12回でしかない。あえて言おう。銅では意味がない。
 
●思い出づくりもいいけれど……。


「楽しみました」「いい思い出ができました」。最近の五輪選手に多い試合後の言葉だ。確かにそうだろう。あれだけの大舞台で世界の注目のなかでプレーできたのである。良い経験になったであろう。これからの人生に生かして欲しいのはもちろんのことだ。
 ただ、それで終わってはならないのがオリンピックである。もともとギリシャで始まった古代オリンピックギリシャ全土から競技者や観客が参加したが、いくらポリス同士で戦争をしていても、いったん中断してオリンピックに参加しなければならなかった。つまりオリンピックは戦争の代わりだったのである。日本選手にその覚悟が見えない。

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●国費はどうする


そもそも選手1人にどれだけの国費を投じているのか、考えて欲しい。今回のリオには300人を超える選手団を日本は派遣したが、その一人ひとりに国費が投じられているのである。それだけ選手には国の威信を託しているのだ。
それには金メダルをとってもらうことが肝心だ。日の丸を1番高いところにあげ、日本国の国歌を鳴り響かせなければ、国の威信は示せない。
銅も結構。銀ならなおいい。個人の良い思い出になるだろう。しかし、国の威信ということになれば話は別だ。金でなければなんの意味もない。銀でも銅でも1度は試合に負けたという事実は揺らがない。
日本は今、最も負けてはならない時期だ。尖閣諸島沖に中国の船団が押し寄せる領海を侵犯され続けているのである。いわば国難。寸分も国の弱みは見せられない。それほど国が危うい時期に個人の思い出づくりに国が付き合っている余裕はない。金龍国ニッポンには金メダルこそよく似合うのだ。(了)

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タラちゃんが危ない

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政府の税制調査会が9月から所得税改革の議論を始める。最大の目玉は配偶者控除。専業主婦や年収が一定額以下の配偶者がいる世帯を抱える大黒柱の税金を軽くする制度で、安倍政権はこれを見直す方針。専業主婦がいる世帯だけを税制面で優遇する制度をやめ、主婦が働く世帯と平等に課税するという。一見、正論。しかし、サザエさんはタラちゃんを家に残し、働きにでなければならなくなる。

 

●狙われた配偶者控除


8日に開かれた政府の経済財政諮問会議では第3次安倍再改造内閣の重点課題について、議論がなされた。議題は「高額医薬品の価格算定手法の見直し」や「労働力人口の減少など経済構造の変化を見据えた成長力強化」などもっともらしいものが並んだが、このなかに混ぜ込まれたのが、配偶者控除の見直しだ。
経済財政諮問会議という、厳めしい名前の会議の目的は煎じ詰めれば国の歳出のカット。この会議で配偶者控除の「見直し」を議論するということは、国の支出を減らす方向で検討を進めることを意味する。すなわち配偶者控除の事実上の撤廃だ。実現すれば、専業主婦を抱えるサラリーンマン世帯への支援を打ち切るわけだから、そのままでは家計は苦しくなる。主婦は家事に専業していることは許されず、労働市場に追い立てられてしまう。

サザエさんは怠け者?


安倍政権ではこれを「女性活用」という。このまま専業主婦がいる世帯を税制面で優遇し続けることは社会の女性活用に反し、「女性の働く意欲を損なうことにつながる」と主張する。
しかしだ。サザエさんは「働く意欲がない」から家庭にいるのだろうか。マスオさんが国に支払う税額を圧縮するためにあえて家にいるのだろうか。それはけしからん、「1億総活躍社会なんだから、サザエさんも外に出て働け」というのか。ならば、タラちゃんはどうなる、タマのごはんは……。


●子供は2年は自分で育てろ 


こう考えると増税を盾に専業主婦を労働の場に駆り立てるのには無理がある。「いや、託児所がある。幼稚園がある」という見方もあるだろう。確かに今はゼロ歳から子供を預かる施設が都心にもある。しかし、簡単に考えてはいけない。子供はやはり少なくとも2年は母親が育てなければいけない。成人してからの人間性に欠損が生じる。人間性が固まる前に安易に外に放り出してはならない。たかだか1時間800円~900円を得るために、主婦が家や子供を犠牲にしてはならないのだ。
大切なのは庶民が一家の大黒柱をきちんと立てられることだ。中流階級であっても暖かい家庭生活を享受できる社会をつくるべきだ。もちろん高額所得者なら税制面の支援は不要だ。しかし、そうでない中流階級には、きちんと政府が税制面で生活を支援し、家を立てられるように応援してやらねばならない。

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●家が壊れる、国が壊れる


DODAのデータをみると20歳代の平均年収は349万円、30歳代で456万円。40歳代になってようやく572万円だ。どの世代も東京なら食べていくのがやっとだろう。妻が専業主婦で配偶者控除を撤廃されたなら、とても生活は成り立たず、子供をおいてパートに出るしかない。それを「1億総活躍」というなら、何とも浅薄な「活躍」だ。
安倍政権はいったい何を目指しているのか。このままだと家が壊れ、国が壊れる。(了)

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散るぞ悲しき 


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東京都知事選が大詰めに差し掛かっている。核武装もやむなしと公言する小池百合子氏が頭一つ抜けだし、これを元建設省官僚で岩手県知事時代は借金を2倍にした増田寛也氏が追う展開。つくづくこの国は「人がいない」と思うのだが、それにしても残念なのはジャーナリストの鳥越俊太郎氏。最大の「売り」が聞く耳を持っていることとは……。都民は話を聞いて欲しいのではない。聞かせて欲しいのだ。あなたの見識を。

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[※平成28年7月27日 産経新聞より]


●鳥越さん、あなたはジャーナリストですか?
 今、世はジャーナリス流行りである。とりあえず「ジャーナリスト」と言っておけばなんとか格好がつく。「こういう条件がジャーナリストには必要」といった確たるものがないせいかもしれないが、猫も杓子も自称、ジャーナリストである。ただ、この人は本物だと確信していた。都知事選が始まる前までは……。
 鳥越氏は1940年、福岡県に生まれる。1965年、京大文卒後は毎日新聞社に入社、週刊誌「サンデー毎日」の編集長も務めた。宇野宗佑首相の愛人問題を追及、退陣に追い込んだ敏腕ぶりは当時、確かに異彩を放っていた。権力と決然と対峙、間違いなくジャーナリストとして生きてきた人物であったはずだ。
 ところがだ。権力と戦う立場から一転、権力を追う立場に変わったとたん、口をつぐんでしまった。自分のポリシーを隠してしまった。驚くべき、そして悲しき変節である。
小池氏も増田氏もある意味、この程度の人物である。もともと差しある見識も持ち合わせていないのは分かっているし、その分期待もない。しかし、鳥越氏は違う。参院選で大勝、改憲を手中におさめた与党に対して、きちんとものを言い、牽制する役割を担っている。だから、民進、共産、社民、生活が団結しおした。その役割を果たさなければならない。口をつくんではならないのだ。


●ポリシーをなぜ隠す
本来、鳥越氏は反原発であったし、護憲、そして反アベノミクスであったはずだ。なぜ、それを声高に主張しない。野党の微妙な政策の違いを気にして、自分の主張を引っ込めたのか。神輿は軽いほうがいいと割り切ったのか。
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●散り際の美学を知れ
ジャーナリストなら主張して欲しい。なぜ原発なのか。護憲なのか、アベノミクスのどこに欠陥があるのか、論陣を張って欲しい。それで負けたっていいでないか。権力と正々堂々戦って敗れたならそれはそれでジャーナリストらしい。権力を牽制し、都民を啓蒙し、そして散るならよいではないか。
 勝つことに汲々として、言うべきことも言わない。それは鳥越氏の役割ではない。鳥越氏に対する都民の期待は「勝つ」ことではなく「有意義に負ける」ことである。状況に応じて自分に何が託されているのか、その役回りをきちんと察し、全力を尽くす。それが大人というものだ。鳥越さん、今のあなたは子供です。(了)

 

バングラデシュ事件が暴いたJICAの闇


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 バングラデシュの首都ダッカでのテロ事件から1カ月がたとうとしている。外務省は国際協力機構(JICA)などと共同で、政府開発援助(ODA)事業に関する安全対策会議を開き、日本の海外援助を行う上での安全強化策を検討していくという。だが、どうもこの動き、腑に落ちない。表層的な動きのように思えてならない。まるでバングラデシュ事件を手じまう口実づくりのようだ。そう、JICAは外務省が隠してしまいたい巨大な闇を抱えていたのだ。
 

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●JICAの裏で金が動く


バングラデシュの飲食店襲撃事件で犠牲になった日本人は7人。すべて国際協力機構(JICA)が支援する交通インフラ事業に従事していた。バングラデシュの発展にために尽くそうとしていたにもかかわらず問答無用で惨殺するテロの非道さには改めて憤りを感じるが、ここで我々が学ばなければならないのは、「なぜ、犠牲者が国際協力機構(JICA)の関係者だったか」ということだ。よくよく突き詰めると、これは偶然ではない。日本の誤ったODAが引き起こした必然的な結末だったのだ。どういうことか見ていこう。
 テロ事件が勃発したのは7月1日。実はこの直前の6月29日に国際協力機構(JICA)はバングラデシュ政府との間である契約を結んでいる。それは日本の国際協力機構(JICA)がバングラデシュに対しての巨額の円借款を貸し付けるというものだ。金額にして1735億3800万円。円借款の規模としては過去最大で、この巨額の資金を借り受けたバングラデシュ政府は、自国の都市の交通網の整備などインフラ投資に振り向ける計画だという。
 確かにバングラデシュは南アジアと東南アジアの結節点に位置する地政学的には極めて重要な国であることは間違いない。「世界の繊維工場」とも呼ばれ、繊維産業を中心に経済活動も活発になりつつあり、都市部の交通渋滞は激しさを増している。それを解消するために巨額の資金が必要で経済大国である日本が支援するということは自然なことのように思える。にもかかわらず「発展しつつある国を支援していた人を犠牲にするなんてテロはなんて卑劣なんだ」と言えば、片は付く。「テロに負けずに安全に気をつけ世界を助けよう」と言えば聞こえもいい。

●7人の奇妙な共通点


 しかし、それで終わってしまえば本質を見逃してしまう。さらに検証を重ねてみよう。
まず、精査しなければならないのが、今回、テロ事件に巻き込まれた7人がどういう人たちだったかということだ。いずれも交通インフラ事業の支援に従事していたことは先に述べた通りだが、実はこの7人には共通点がある。全員が建設会社の社員であるということだ。オリエンタルコンサルタンツグローバル(東京・渋谷=3人)、アルメックVPI(東京・新宿=3人)、そして片平エンジニアリング・インターナショナル(東京・中央=1人)で、3社はJV(共同事業体)を組み、共同で「ダッカの交通渋滞を解消する」という名目で、交通システム改善事業の実現可能性調査をしていたのだ。
 日本人の美徳として死者にむち打つことはしない。このため今回の事件でも「途上国の発展のためにだダッカに入った。なのに……」という美談仕立ての報道ばかりだった。その影響で一般国民はあたかも7人が無償で、途上国発展のために尽力していたかのような印象を受けたかもしれないが、実はそうではない。全員が社員として現地に入り、それぞれの会社のビジネスを担ったところで事件に巻き込まれたのだ。

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●ODAは誰のため


 さらに重要なのはこれからだ。そのビジネスの正体とは何なのかということだ。結局は日本のODA絡みの仕事なのである。6月末に日本がバングラデシュ政府に対し巨額の円借款契約を結んだがこれも狙いの一つ。こうしたODA絡みの契約が形になりバングラデシュ政府を経由し、交通インフラ整備事業として落ちてきたところをすくう仕事だったのだ。要はODAに群がる建設会社の先兵としてバングラデシュに派遣され、そこで犠牲になったというわけだ。
例えば3人の犠牲者を出したオリエンタルコンサルタンツグローバル(東京・渋谷)という会社を見てみよう。
このオリエンタルコンサルタンツグローバルという舌を噛みそうな長い名前の会社はいったいどういった会社なのか。実はこの会社、2014年10月1日に創業したばかりの建設コンサルタント会社に過ぎない。ただ、もともとは同じく東京・渋谷に本社を置くオリエンタルコンサルタンツという建設コンサルタント会社の海外部門で、こちらは歴史のある会社だ。これを切り離し、別動隊の会社の形態としたのが、異常なのはこの2年間の成長ぶりである。決算公告を拾ってみると2014年9月末時点での資産合計は4億8285万円。これが1年後には85億6818万円にまで急拡大している。この急成長の原動力が、国際協力機構(JICA)を軸としたODA案件だということは想像に難くない。これを見逃してはならない。

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バングラデシュはお腹いっぱい


ODAは経済大国、日本の責務として続けられ、武力を持たない日本の外交の要を担ってきた。しかし、そのお金の使われ方は極めてグレーで、行き先も合理性を欠く。
バングラデシュなども日本の国土の4割程度のところに、1億6000万人もの人が住む。わざわざ、日本がでていかなくても人的資源は事欠かない。それでも日本はこれまで1168人もの人を派遣し、経済協力を進めてきた。その数はフィリピン、マレーシアに次ぐ第3位の規模で、いったいなぜ、人的資源が潤沢なバングラデシュにこれほど日本人を派遣しなければならないのか、説明はつきにくい。
さらにそこにお金を注ぎ込み、バングラデシュ政府を経由する形で、無名の企業が甘い汁を吸ってきていたとするなら、どうだろう。美名に隠れた悪事はたちが悪い。今回のバングラデシュ事件が意味するところを日本人はもう一度、考え直すことが必要だ。(了)

あなたはコーランを唱えられますか

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       バングラデシュの首都ダッカで日本人7人が犠牲になった人質テロ事件。事件が起きて1週間以上が経過、伝えられる凄惨さには耳を覆いたくなる。亡くなった方には心から哀悼の意を表したいが、その死を無駄にしないためにもここで指摘しておきたい。日本人は狙われた。そして狙わせた。

 

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●日本人犠牲、シナリオ通り


イスラム教徒か。バングラデシュ人か」。実行犯はこう問いかけ、イスラム教徒の聖典コーランの一節について公用語であるベンガル語で尋ねたという。イスラム教徒だと分かれば、見逃し一部は開放したが、その逆であるとわかれば刃物や銃で殺害していった。そのやり口の卑劣さは狂気の沙汰としか思えないが、実はそうではない。計画は練りに練られ、外国人たちは計画通り殺されていった。実行犯たちは終始、クールだった。
ここで押さえておきたいのは、事件を実行したイスラム過激派のメンバーたちが、かなりの知識層だった点だ。有名大学な私立大学で学んでいた若者たちで、家庭も比較的、裕福なものたちだった。つまり、人質が日本人であることをきちんと理解し、日本人であるがために殺した。
 実際、現場にいた人の証言から亡くなった日本人の1人は「私は日本人だ」と叫んだことがわかっているが、その言葉に実行犯たちは耳も貸さずに刃物を振り下ろした。この現実をどう見るかだ。少なくとも10年前なら結果は違った。日本人だと言えば、命までとられることはなかった。ましてやバングラデシュの社会的インフラを整備するために、やってきた日本人たちである。救われたはずだ

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●日本は敵国


いったい何が変わったのか。日本は敵国になったのだ。IS(イスラム国)の敵として明確にリスト入りを果たしたのだ。その転機となったのが昨年の安保安全保障関連法案(安保法案)の可決。集団的自衛権を認め、世界のどこへでも自衛隊が出かけて戦争ができる体制を整えてしまったのだ。日本はISを脅かす国になった。だから狙われた。
安倍政権は日本をそういう国にした。テロと戦う国、テロに狙われる国にしたのだ。今回の選挙で与党が勝てばさらに日本の右傾化が進む。それを国民は望むのか。選択を見守りたい。(了)