琴言譚[きんげんたん]

今、救世主なら語る

老後の面倒は外国人にみてもらおう

   ついにやった。これだけのことを。政府は単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定したのだ。来年4月の制度創設を待って続々と単純労働者が日本に流入してくる。経済成長もインバウンド(訪日外国人)、それを御世話するのも外国人。なぜ、そんなに外国人に頼るのだ。

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●これは移民政策だ
政府が今回、決めたのは一定の技能を持つ人を対象に新たな在留資格「特定技能」を創設すること。「経済界の要望に応じた」とはいうが、これは単にニーズに応えたという程度の軽い問題ではない。これまで決して認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切ったのだ。日本の入国管理政策の時代的な大きな転換と言っていい。
 政府は「移民政策ではない」とするが、どう言いつくろっても立派な移民政策だ。山下貴司法相も「人手不足が深刻で、今回の法改正は重要かつ急務だ」と弁明、「成立に向け丁寧にご説明したい」と述べたが、どう丁寧に説明してもらっても納得はできない。
 今のところ入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける計画。まず「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与え、最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。
 そしてもう1つ、高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人には「特定技能2号」の資格を与える。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はなく、配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。10年の滞在で永住権の取得要件の一つを満たし、将来の永住にも道が開ける。
 この決定は極めて重い。単純労働者として日本に入国、時間をかけて一定程度の技能を持てば在留資格を取得できるわけだ。労働力を日本に提供する代わりに、日本から行政サービスを受けられる。単純労働の外国人でも保険にも入ることができ日本の高度な医療を受けられる。

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●日本人こそ活用すべし 
政府はこのバランスをどう考えるのだろうか。外国人が提供する単純労働とその見返りに日本が差し出す高度で品質の高い行政サービスや医療サービス。どちらのコストが大きいのか。簡単だ。日本の負担の方が断然、重い。
 しかも、単純労働で人手不足を解消、稼ぐ力を底上げできメリットが得られるのは企業に限られるのに、そうした外国人へのサービスにかかるお金は国民全体の税金で賄う。全く不公平。これもまた極論すれば企業の金もうけのために、庶民が犠牲になる構図だ。
 いったい今の政治、どうなっているのだろう。「決められない政治」から「決める政治」へ。それはいい。けれど国を危うく導く政策を決めるのはお断りだ。
 今、必要なのは外国人を入れることではない。良質な労働力を確保すること。それはまず日本人を有効に活用することだ。特に高齢者。元気で働く意欲のある高齢者はまだまだ多い。そんな人たちにもっともっと活躍してもらえばいいではないか。IT技術が不足しているなら、研修で補足すればいい。補助金など外国人も含めた皆保険制度の維持に比べれば安いものだ。言語の面でハンディがある外国人を無理に使うより、よっぽど生産的だ。日本の税金は日本人のために使うのが当たり前だろう。
 政治家も経済界もまったくどうかしている。君、国を売りたまうことなかれ。(了)

あっぱれ国税庁

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    久しぶりの快挙である。国税庁が約50カ国・地域の金融機関にある日本人の口座情報約40万件を入手したという。租税回避地タックスヘイブン)の情報も含まれており、国境をまたぐ資産隠しなどの解明につながる可能性がある。税金の支払いは国民の三大義務の1つ。財政逼迫(ひっぱく)の国難の時に、そんな輩(やから)を野放しにしておいていいはずはない。


 ●国税庁が租税回避情報を把握
今回、国税庁が日本人の口座情報の捕捉に成功した背景には経済協力開発機構OECD)が情報開示の新制度を立ち上げたことがある。国際的な脱税や租税回避を防ぐための新制度をOECDが最近になって整備、これを日本の国税庁が見逃さずに素早く動いて情報を入手した。「新しく制度ができれば、使ってみたい」というのは官僚の習い性ではあるが、それがいい方に転んだ格好だ。海外に資産を「疎開」させている顧客の氏名、住所、口座残高、利子・配当の年間受取総額などの情報が含まれているもよう。
 日本に居住しておきながら日本に税金を払わないのは不届きなことこの上ない。ただ、2016年に公表された「パナマ文書」のなかにはかなりの数の日本の経済人や著名人の名前が含まれていた。タックスヘイブンを利用し課税を逃れ、自分だけはぬくぬくと暮らすという芸当は一般のサラリーマンにはのぞむべきもないが、海外投資が増え、一国だけで富裕層の資産を把握するのが難しくなるなか、その数は着実に増えつつある。
日本では国外に5千万円超の財産を持つ場合、財産内容を記す「国外財産調書」の提出が義務付けられている。16年分の調書は約9千件にとどまっており、国税庁はCRSの情報と照合するなどして海外の「隠し資産」の発見に取り組むという。闇に消えていたお金が少しでも日本に戻り国の財政が潤えば、庶民の暮らしも少しは改善していくかもしれない。

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●偏る資産 
ただ租税回避と同時に、ここで問題なのは富の偏在だ。わざわざタックスヘイブンまで利用して隠したくなるほどの莫大な資産を手にできる人間がいったいなぜ存在するのだろうか。国際NGO「オックスファム」によると世界で1年間に生み出された富のうち82%を、世界で最も豊かな上位1%が独占しているという。経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかったが、上位1%の資産総額は株価の上昇などによって7625億㌦(約84兆円)も増えた。
 何千億円、何兆円もの資産を手にすれば、その半分を国にもっていかれるとすれば確かに腹立たしいかもしれない。隠したくなるのは人情というものか。それよりもおかしいのは、1年間、ただ寝転がっているだけで、それだけのお金が懐に転がりこんでくる富裕層が存在するシステムだ。もちろん頭を使っただろうし、リスクをとっただろう。だとしても何か間違っている。
 要は一定の層だけに富が集中して流れ込むしくみを野放しにしている国の首脳陣たちにも責任があるということだ。庶民にお金が流れるしくみを徴税と再分配という以外に考えていくべきだ。もっともその国の首脳陣たちと富裕層が一枚岩ならのぞむべきもないが……。    (了)

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どこか変だよ、九州電力

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 九州電力が奇妙な発表をした。週末の13日と14日、九州7県の太陽光と風力の再生可能エネルギー発電事業者に一時的な発電停止を求める可能性が高いと発表したのだ。つまり太陽光と風力を使って発電した電気が「いらなくなる」というわけだ。再稼働を目指していた九電の原発4基すべてが営業運転の状態になったこともあり「電気は原発でもう十分」と言いたげ。なんだかおかしくないか。

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九州電力本社

●誠意のかけらもない
 10月2日、九州電力で事件が起きた。「玄海原発対策住民会議」(成冨忠良会長)が九電に猛烈に抗議したのだ。九州電力玄海原子力発電所に関する15項目の質問を九電が「1年以上答えていない」というのがその理由。同原発環境広報担当の柳川敏彦課長は「3、4号機の再稼働に向けて全社一丸となって対応していた」といい、一部の質問に答えた上で、成冨会長らが新に求めた30項目の質問について「可能な限り早く回答する」と述べたが、全く人をバカにした話だ。
そもそも住民たちは原発の再稼働が安全かどうかを九州電力に問うていた。ところがその住民たちに対し九電は「再稼働に向け対応していた」ために解答できなかったというのだ。住民会議側は「私たちは再稼働を前に、原発が安全かどうか不安だから質問している。それに真面目に答えることが地域住民との信頼関係を大事にするということではないか」などと怒り心頭だが、柳川課長は「答えは変わらない。再稼働が始まって落ち着いたから説明できる環境になった」。これほど酷い対応を聞いたこともない。
 つまり、九電が言っているのは「お前らが原発再稼働で質問してきたのは分かっているが、こっちは再稼働の準備で忙しくてそれどころじゃなかった。とりあえず再稼働できたので、対応してやっている」ということ。誠意のかけらもないではないか。
冒頭の太陽光など再生可能エネルギー発電事業者に対する発電停止要請もこれと同じだ。「原発が動いていない時は、おつき合いで買ってやっていたが今や原発はフル稼働。自然エネルギーは高くつくし、余っている時はもう買わない」ということ。「最初は自然エネルギーは大切だから、つくってくれれば高くかうよ」と言っていたのに「やっぱり、もういらない」。これでは住民も九電を信用することはできない。
 東京電力関西電力など都市部の電力会社に比べても、九電の特殊性は際立っている。九州という島国で、対抗勢力はゼロ。地元ではやりたい放題、言いたい放題がまかり通る点では東電や関電をしのぐ。時としてあきれるほどの傍若無人さだ。
その一方で極めて無責任、都合が悪くなればさっさとケツをまくるのもこの電力会社の特徴だ。例えば、先の「玄海原発対策住民会議」とのやり取りなどはその典型例だろう。再稼働に関する自治体の同意権への考え方について問われた九電は「当社は事業者であり、言及する立場にないと考えている」とほおかむり。「原発を稼働する時に地元の住民がそれを認める必要があるのでは」と聞かれても「それは国が考えること。1民間会社は関係のないこと」というわけだ。公益事業を担う気概も矜持もない。さもしいとしか言いようがない。
実はこれは九電だけではない。こうした電力会社の身勝手な性質は当然、他の電力会社も共通してあわせ持っている。たまたま無防備な九電がありのまま醜態をさらしているだけだ。
ただ、問題の本質は九電の対応のひどさではない。結局はこうした電力会社を野放しにし、のさばらせている国であり政治家の怠慢だ。「太陽光よりも原発だ」というような電力会社を「何を言うか」としかり飛ばすのが仕事だろう。とりわけ反原発を旗印に当選した地元の知事はなぜ沈黙している。いったい何をしているか。 (了)

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岐阜県土岐市出身のイラストレーター・柚木ミサトさんが描いた「あかいつぶつぶの絵」

 

 

 

ローマは休日で滅んだ 2

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   2019年の5月1日が祝日となる。天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位がかさなる重要な日であるというのがその理由。おかげで来春のゴールデンウィークは10連休となる。「さすが安倍首相。働きバチの日本人も公式に休日となれば、大手を振って休むことができる。新天皇の即位を祝うというなら誰も反対する人はいまい」と歓迎する向きは多いかもしれない。しかし、ちょっと待った。日本は世界で1番の祝日大国なのだ。経済力は落ちる一方、それなのにさらに休みを増やして大丈夫なのか。「ローマは休日で滅んだ」のですぞ。


●来年は10連休
5月1日を祝日とする方針は2018年4月12日、安倍首相が正式に発表、来年の大型連休は10連休とする方針も表明した。5月1日のほかに新天皇の即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が行われる2019年10月22日も同様に休日とする。いずれも来年限りの措置で、政府提出法案を臨時国会に提出する見通し。「休日の大盤振る舞い」といったところだ。
しかし、ここで気をつけて欲しい。実は日本の祝祭日の日数は、諸外国と比べて群を抜いて多い。サガンの『悲しみよ こんにちは』よろしく、バカンス大国のイメージの強いフランスだが、実際は年間9日。米国ですら10日だ。これに対して日本は欧米勢より1週間以上長い17日。同じアジア勢の香港が13日、シンガポールが11日と続く。
もちろん休みは祝日だけでなく有給休暇がある。こうなると事情は異なる。フランスでは有休付与数、消化数とも30日で100%消化している。スペイン、ブラジル、オーストリア、イタリアも取得率は高く、日本は付与数20日、消化数10日。取得率50%だ。 
これらの祝祭日と有給休暇を合わせた休暇日数合計を見ると、やはりフランスやスペインが39日と長く、「何だそういうことか」と合点がいくが、それなら日本が極端に短いかというとそうでもない。日本は27日。中位で米国の24日、シンガポール25日、韓国17日と比べると相当、長い。
こう考えていくとこれ以上、休日が増えるのは危険だ。ついこの間までは「勤労は美徳」だったはずなのに今はすっかり「働き方改革」で長時間労働は悪。遅くまで残っている社員は「無能」「手際が悪い」といった目で見られかねない。日本はいったん軸が振れると国全体の雰囲気が一気に変わる。「休め」「休もう」「休むべき」はそろそろ終わり。生真面目な日本人に回帰すべきだ。

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●借金大国がなぜ休む
それでなくてもGDP(国内総生産)は中国に抜かれ世界3位。電機も自動車も、世界で断トツだったものづくりの力が弱りつつある。そして何よりも世界に冠たる借金大国ではないか。ライバル関係にある韓国よりも10日も多く休んでいる場合ではない。足をとめてはいけないのだ。
「日が沈まぬ大国」とされたローマも結局は慢心で滅んだ。人々は働かず、享楽にふけり、贅を楽しみ、そして滅んだ。日本もその轍にはまりつつあるのではないか。そもそも新天皇の即位を祝するとは言うが、この国を新しい船出を見届けようと日本にとどまる人はどれだけいるだろう。10日も連休ともなれば海外脱出組みがまた増えることは確実だ。休日を増やし、国民をレジャーに駆り立て、消費を増やす。一見、国は勢いを取り戻すかのように思えるかもしれない。しかし、怖いのはその先だ。休日はもう要らない。(了)

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コロッセオ(イタリア)…ローマ帝政期に造られた円形闘技場。イタリアの首都ローマを代表する観光地。

 

1%か2%か。それが問題だ。

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    日銀があれほど上げたがっていた物価はなかなか上がらないのに青天井で上がっているものがある。防衛費だ。2019年度予算の概算要求では防衛費は5兆2986億円。防衛省の言い値ベースというものの5年連続で過去最大(概算時)。背景には自民党が防衛費拡大を後押ししていることがあるが、悩ましいのはお金をかけたからといって日本の防衛力があがるわけではないということだ。イージス艦はその典型。米国の言い値で買わされ、しかも100%日本を守る保証はない。それでもなぜ日本は兵器を買う。


●防衛力増強「歯止め」から「目標」へ
1%――。かつてはそれが問題だった。国内総生産(GDP)に比べた防衛費の比率は1%が「歯止め」とされた。ところが今は2%。しかもそれが「歯止め」ではなく「目標」になっているという。恐ろしい豹変(ひょうへん)ぶりではないか。日本は大東亜共栄圏を標榜し近隣諸国を軍靴で踏みにじっていったあの悲しい歴史を2度と繰り返さないために、防衛費を慎重に絞り込んできた。それが今は反対に拡大に舵を切っている。いったいどうしたというのだ。
後押ししているのは安倍政権に他ならない。「安全保障環境の悪化」を理由に、防衛予算の膨張に旗を振る。5月にまとめた中期防見直しに向けた提言では、北大西洋条約機構NATO)がGDP比2%を目標としていることを引き合いに出し、日本もそれを参考にしながら、十分な予算を確保すべきだという。戦争放棄の日本国はいったいどこにいったのだ。
だいたい「安全保障環境の悪化」とは何なのだ。仮にそれが北朝鮮情勢なのだとしたら、責任は日本にある。対話を求める北朝鮮を袖にして、ただただ「圧力」と連呼する。そこには外交努力の片りんもない。あえて北朝鮮を追い込んでおきながら、「関係が悪くなったから武器を増やし防衛力を強化する」というなら、まるで子供だ。


●地上イージスは必要か
しかも、問題なのはそうやってお金を使って武器を輸入しても日本の防衛力がそのまま高まることにならないことだ。地上イージスとて当初の2倍の4000億円もの予算を投じてとしても、打ち込まれたミサイルを完全に打ち落とせるのか、保証の限りではない。だいたいいつ配備してもらえるか分からないものを言い値で買って、どうする。今、ミサイルを打ち込まれたら、それはどうなるのか。
考えてみて欲しい。日本にミサイルが撃ち込まれたなら、もうそれで外交は敗北なのだ。考えるべきは撃ち込まれたミサイルをどう迎撃するかではないのだ。ミサイルが撃ち込まれないようにすることこそ永世中立国を標榜する日本の生き様なのだ。
いつからその基本路線が変わったのだ。安倍政権は勇ましく力んでみせるばかりだが、「万が一」の事態が発生した場合、どんな責任がとれるのだ。
確かに貿易不均衡でトランプが騒ぎ、関税障壁をかさ上げされれば、自動車を始めとする日本の輸出産業がひとたまりもないのは分かる。しかし、それを避けるために不必要な兵器を国民の血税で購入し、その揚げ句に近隣諸国との緊張感をいたずらに高めてしまうのは愚の骨頂だといえる。 (了)f:id:mitsu369:20180908070912p:image

貧乏人救済銀行が日本にやってくる

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    スルガ銀行の闇はどこまで深いのか。不適切融資を調べてきた第三者委員会は9月7日、預金残高の改ざんなど書類の偽装が「全般にまん延していた」と指摘、これを受ける格好で創業家の岡野光喜会長、米山明広社長など計5人の役員が辞任した。異常事態だがおそらくこれで終わりとは、ならないだろう。膿(うみ)はこれからまだまだ出る。ただ、ここで重要なのはスルガ銀行の放漫経営を糾弾することではない。考えるべきは、さして食うに困っているわけでもない人に無理に投機用の金を貸し付ける銀行がのさばる一方で、本当に困っている人にお金を貸す銀行がないことだ。そしてついにあの貧乏人救済銀行が日本にやってくる。

 

ノーベル賞の「グラミン銀行」日本上陸
貧乏人救済銀行の名前は「グラミン銀行」。あのノーベル平和賞を受賞したバングラデシュムハマド・ユヌス博士が発案した有名な銀行だ。「名前は聞いたことがある」という人も多いだろう。
この銀行の特徴は本当に食べるのに困っている人を対象にお金を貸してくれること。「晴れた日に傘を貸し雨の日に傘を取り上げる」日本の銀行のようなマネはしない。マイクロファイナンス(小規模金融)という手法で、本当に小額だが無担保でお金を貸す。
ただ、お金を借りる人は小額だからといっていい加減にお金を借りて使っていいわけではない。「たまには贅沢するか」と御馳走を食べて使ってしまってはダメ。生きた使い方をするよう求められる。例えば、ものをつくるための生産設備を購入したり、ビジネスをするための資格をとるなど現状の「貧乏」から抜け出すためにお金を使わなければならない。それなら気前よくお金を貸してくれるのだ。
しかし、不思議だ。日本は世界第3位の経済大国、そもそも貧乏人がいるのだろうか。テレビをつければグルメとダイエット。飽食の末、だらしなく膨らんだ体を金をかけて引き締め、再び飽食する。まるで夜な夜な吐いては食べ、吐いては飲むを繰り返すローマ貴族の生活を彷彿とさせるこの日本で、バングラデシュ発の貧乏人救済銀行に助けてもらわなければならない人が本当にいるのだろうか。

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●日本は貧乏人国
答えはイエス。実はいるのである。厚生労働省の「生活保護の被保護者調査」(2018年3月)によると日本における生活保護世帯は163万世帯、人数にして211万人。しかし、これはほんの氷山の一角で、年収120万円以下、つまり月の収入が10万円以下のいわゆるワーキングプアの人たちを入れればこの2~3倍の数の人が世界的にみて「貧困」の部類に入るのだという。
しかも、たちが悪いのはこの「貧困」は親から子、子から孫へと遺伝すること。貧乏人の子は親が貧乏なため十分な教育が受けられず学歴が低いまま。高収入を得られる仕事にはつかずやはりその子供にも十分な教育機会を提供することは難しい。貧乏人は貧乏人を「生産」し続ける。格差は世代をまたぎ連鎖し、実質的な階級となる。そして貧乏人は貧乏から抜け出せなくなる。これが今の日本の実態、病理なのである。
実際、グラミン銀行の進出に今のところ否定的な声はあまり聞こえてこない。むしろ歓迎の声が強い。金融庁の首脳は不正融資が発覚する前のスルガ銀行の経営を「積極的」と高く評価していたが、こんな出鱈目(でたらめ)な銀行を放置するどころか褒めそやし、本当に人を助ける金融機関の創造を考えもしなかった世間とのズレを猛省すべきだ。いやただちに改善して欲しい。
日本が実は激しい格差社会であることを突きつけたグラミン銀行はそういった意味でも、さすがノーベル賞である (了)

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高級寿司店よりも怖い、陸上イージス

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 銀座の寿司屋の暖簾をくぐり「さて、何を握ってもらおうか」とメニューを見ると「時価」。これで尻込みしない庶民はいないだろう。しかし、日本は平気だという。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(陸上イージス)を実質「時価」で米国から買い入れる方針なのだ。こんな不思議な借金大国、あるだろうか。
 日本が配備を計画している陸上イージスとは1000㌔超の範囲内に入ったミサイルを探知、打ち落とすミサイルシステム。小野寺五典防衛相は、配備により「我が国の弾道ミサイル防衛能力は飛躍的に向上する」という。確かにそうだ。無いよりはあった方がいい。
 しかし、費用対効果を考えて欲しい。現在、配備候補地となっているのは秋田市山口市だが、この2カ所に配備するだけで4664億円だという。高すぎはしないか。
 陸上イージスの導入を決めたのは昨年の12月。ほんの半年あまり前だが、この時点と比べて1・7倍に膨らんだ。値段が膨らんだ理由は、レーダーが高性能化したからだというが、いくら米国の軍事技術が優れているからといってもたった半年で、1・7倍もの価格の高騰を許容するほどの技術革新が進むはずがない。
 仮に真実ならそれはそれで大変な事態だ。陸上イージスの運用開始が予定されているのは2023年度以降。実際には2025年度にまでずれ込むというから今、2018年度だとして半年で1・7倍、維持運営を含めて計算するとさらに後半年で……。青天井だ。要は銀座のぼったくり寿司と同じなのである。
 いったい日本は何を買ったのだろうか。購入を決めた半年前といえば北朝鮮の核攻撃の現実味が増していた時期。その脅威を理由に性能や価格の詳細な検討を後回しにして導入方針を閣議決定してしまった。衝動買いだ。そもそも北朝鮮を刺激し、核攻戦争が現実味を帯びるほどまでに追い込んだのは米国ではなかったか。その米国を儲けさせる商談をどさくさ紛れで成立させてしまうとは安倍政権も無責任きわまりない。

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 とはいえ問題の本質は実は別のところにある。結局は米国が怖いのだ。トランプ政権に貿易赤字の解消を正面切って突きつけられるのが怖いのである。「日本は経済大国、米国に関税障壁でも設けられればたまったものではない。それなら陸上イージスを高値買いしてご機嫌をとっておくか」というのが本音なのだ。要はトヨタ自動車はじめ日本の大企業が米国市場で稼ぎまくった分を、陸上イージスで穴埋めしているに過ぎない。
 しかし、それでいいのか。陸上イージスの購入は庶民の血税なのだ。日本の外交が機能不全に陥っているのも、安倍氏がお金抜きでは米国と渡り合えないのも、日本の領域に飛来したミサイル1つ、自国の力で打ち落とせないのも、本来は国を担う者たちの責任だろう。自分たちの怠慢や無策を、庶民の血税であがなう。それはもはや許されない。
 庶民はいつまでも黙ってはいない。国の統治者たちは国民を守るふりをしながら実は強いものの利益を守り、自分たちを守っている。そして庶民はそれを見抜いている。それを自覚しなければならない。(了)

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「共同開発」の罠にまた日本がはまる

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   どこまで日本は米国にかしづくのか。日本は米国と共同で弾道ミサイル防衛を担うイージス艦向けの次世代レーダーを共同開発するという。しかも現在の2倍以上の半径1000キロ超の探知能力を持つ高性能なレーダーをだ。それを日本が持つ世界最高水準の半導体技術を使って開発するというのだ。「俺のものは俺のもの。お前のものは俺のもの」。日本の技術がまたまんまと米国に横取りされる。
 この話、発端は米国側だ。次世代レーダー開発を探る米側から「さらに高性能なレーダーを共同で開発したい」との打診が6月に開いた日米防衛当局の次官級協議であったのだ。高性能レーダー開発の鍵を握るのが「ガリウムナイトライド(窒化ガリウム)」と呼ばれる半導体素子を使った技術。実はこれは三菱電機が持つ世界最高水準の技術で、従来の「ガリウムヒ素半導体に比べ出力が大幅に高まり、より広範囲の探索が可能になる。いわば日本の虎の子の技術を「レーダーの共同開発するから」という理由で米国側に流せという。
 レーダーは北朝鮮や軍備を増強する中国を念頭に置いたミサイル防衛網の根幹で、迎撃システムの肝となる。日本の安全保障が日米安保を基本に成り立っている以上、「日本の安全を守るレーダーの精度を上げる」と米国から言われれば断ることは難しい。米国はそこを見透かしてきた。
 しかも、安倍政権は2014年、武器輸出三原則を緩和し「防衛装備移転三原則」を定めている。これまで個別に例外的に技術の流出を認めてきたのだが、この新三原則ができて以降は「共同開発」という名目がたち、日本の安全保障に役立つなどの条件を満たせば、原則日本の最高技術を使った武器の開発が可能になった。米国側はどんどん「共同」という名目をかざしながら、実質的な技術供与を迫ることができるようになったわけだ。

 それにしても日本はここまで米国依存でいいのか。単に米国にむしり取られているだけではないか。システムの核心ともいえるレーダーに日本が関わるのは米国との安全保障協力の深化を意味し、「米国から信頼されている証」との見方もあるというが、仮に本気で言っているのだとしたら何とおめでたいことか。
 何も米国とケンカをしろと言っているのではない。狡猾さに気づけと言っているだけだ。国民を守る外交はまずそこから。単に米国になびいてるだけなら、誰でもできる。(了)

銀行潤い、国民泣く

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日銀が危ない。市場に回るお金の量を増やすため、民間の銀行が持つ国債を日銀が買い取り、お金に換えてきたのだが、それが日銀の重荷になっているのだ。日銀から民間銀行に回したはずのお金は、庶民に回されることなく再び日銀に逆流、これが日銀の経営を痛めるという負のスパイラルが生まれる可能性が出てきた。


●国民に回さず日銀に貯金
どういうことか。政府は国民にお金を回すため、このところ民間銀行の国債を日銀が買い取るという方法を多用している。簡単に言うと民間銀行が持っている国債という紙切れを、日銀が引き取り、その代わりにお金を民間銀行に渡しているのである。つまり「紙切れ」と「お金」の交換である。
 紙切れを引き取ってもらい、その代わりにお金をもらった民間銀行は、そのお金を本来なら国民に回せばいい。国民は楽になるし、銀行だって利子を稼ぐことができる。
 ところが民間銀行はそうはしない。国民に回さずに、日銀に戻しているのだ。せっかく国債を引き取る代わりに、お金を渡してくれた日銀に対して、「いやいや。こちらでは使いませんから、そちらで預かって下さい」と再び預け直している。
 こうやって民間の銀行から日銀に返ってきたお金は378兆円(2018年3月末)。これが日銀の当座預金に眠っているのだが、問題はただ眠っているだけでないことだ。利子がつく。もともと日銀が民間銀行に回してくれたお金だとはいえ、それを民間銀行は日銀に預け直しているわけだから当然、利息が発生するわけだ。これが日銀にとって重荷になっている。

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●日銀の重荷は国民の重荷 
日銀の重荷になっているというなら、それは国の重荷。つまり国民の負担である。国民に負担を強いながら民間銀行に利息を払っているのだ。どこかおかしくはないか。
 政府は今後、物価を引き上げ、金利も引き上げていく方針。そうなれば日銀が民間銀行に支払う利息も増える。国民の負担をどんどん増やしながら、民間銀行の稼ぎを増やす。どうなっているのか。
 金融緩和は国民を豊かにするために始まったのではなかったか。緩和で生まれたお金が国民に回らず、それが負債として水膨れし、民間銀行を太らせていくなら本末転倒もいいところだ。(了)

日本は米国の植民地です

    行く意味があったのだろうか。安倍晋三首相の訪米である。北朝鮮問題では従来通りの「圧力の維持」で進展なし、その一方で18日に米国が発動した「鉄鋼・アルミ製品の輸入制限を外すように」という日本の要求は突っぱねられた。まったく成果ゼロ。今後、日本の市場開放を議論することになる閣僚級会合の設置もねじ込まれ、むしろマイナス。国内での支持率低下を外交で取り戻す腹づもりだったのだろうが、今回もまた「国を売る」結果となった。

 

●目的は支持率アップ
いったい安倍氏は何をしに行ったのだろう。国内で財務省事務次官のスキャンダルで大揺れに揺れているというのに。ここはじっくり腰を据え、国政に専念すべきところだった。トランプ氏とゴルフ場で渡り合い、「森友学園問題」や「加計学園問題」で低下した支持率をこれで回復させようとでも思ったか。もはや国民はそこまでバカではない。
北朝鮮を巡る一連の動きを見ても日本が全く蚊帳の外に置かれ、軽視されていることはどうみても明らかだ。「米国と100%一致」を繰り返す日本などトランプ大統領が相手にするわけはないではないか。「日本は米国の植民地です」と宣言しているようなものだ。何をしても何を決めても従順で「100%一致」というような国など交渉する必要はないではないか。
それでも女々しく追いすがる安倍。トランプ氏とのゴルフで、安倍氏は数字やキーワードを書いた英語のカンニングペーパーをポケットにしのばせ、時折をそれを見ながら談笑してみせたというが、大丈夫か。いったい何を決めてきたのだ。


●成果はマイナス
今回、最も大きな安倍の失敗は鉄鋼・アルミの輸入制限を米国から突っぱねられたことだ。EUも韓国も除外されているのに、なぜ、日本だけ輸入制限をかけられのか。何時間かけてゴルフをしても、そんなことですら譲歩を引き出さなければわざわざ行った意味がない。これが安倍の実力だ。
しかも、今後の通商問題を議論する閣僚級の会合の設置が決まった。これは日本の貿易を考えるうえで極めて重要だ。今後、この会合が開かれる度に日本は米国に譲歩を迫られるだろう。そんな負のシステムの設置を安倍はねじ込まれてきたのだ。つまり、また国を売ったのだ。
考えれば当然だ。政権の足元が揺らいでいるのに、米国のような強国と台頭にやり合えるはずはない。国を売り、虚飾の「日米蜜月」を演出してみせただけ。とんだ茶番に今回も国民の税金が投入されただけのことだ。 (了)

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18日、米南部フロリダ州パームビーチのトランプ・インターナショナル・ゴルフ・クラブでゴルフを楽しむ安倍晋三首相とトランプ米大統領(内閣広報室提供)

 

ジャパンファーストとなぜ言えぬ(5)〜罪状は国を売った罪だ~

「私が全責任をとります」。政治家や官僚がよく口にする言葉だ。しかしこの「責任をとる」という言葉、実はかなりくせ者だ。「責任をとる」って何?いったいどうやってとるつもりなのか。まさか、辞任をもって責任をとったと言うつもりじゃないだろうな。
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●「モリトモ」の国税庁長官辞任
9日、財務省の前理財局長の佐川宣寿国税庁長官(60)が辞任した。学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる混乱の責任をとったという。佐川氏は売却契約を結んだ際の理財局長。売却手続きに問題はなく、交渉記録も廃棄したと国会で答弁し、批判を受けていた。疑惑が解明されないなかでの辞任は、安倍政権への打撃となるとの見方も強い。
   森友問題は国有地が8億円強値引きされて売却された経緯が国会で問われた。佐川氏は2017年に国会で「(交渉記録は)全て廃棄した」と説明。売却手続きにも問題はなかったと繰り返した。その後、財務省の内部文書が多数見つかり、野党から虚偽答弁との批判を受けた。

こうした騒動を巻き起こしながらも安倍政権を守り抜いた論功行賞で、佐川氏は2017年7月、国税庁長官に就任した。しかし、この国税庁長官の就任は相当の波乱ぶくみだった。国税庁長官の場合、そのポストにつく新長官は代々、就任記者会見を開くのが決まり。ところが佐川氏はそれを開かなかった。

    国税庁長官という徴税業務を担う国の最高機関のトップが、マスコミの前に顔すら出さず、国民への説明責任も果たさない傍若無人さは前代未聞。批判は渦巻いていたが、ついにここに来てこらえ切れず辞任となった。


●要は「国を売った」
それにしても、一般の人はよくわからないだろう。いったいこの問題の本質はどこにあるのか。事件が劇場型に展開していくためにマスコミはやたら「モリトモ」「モリトモ」と騒ぐが、何がそんなに問題なのかよくわからない。要するにこうだ。「国を売る」行為が問題なのである。
   安倍首相は自分のお友達である籠池泰典氏に国の財産を格安で払い下げたのだ。財務省の理財局というのは国の財産を管理するのが仕事。そのトップである佐川氏は安倍氏が国の財産を不正にお友達に安く譲る手伝いをし、その事実を隠蔽し、その見返りに国税庁長官のポストを手に入れた。最近、都内に1億円の自宅を建てたという。
   卑しいではないか。安倍氏にしても佐川氏にしても。国を守る立場の人間が反対に国を売る。そして私腹を肥やす。佐川氏は「丁寧な説明が足りなかった」というが、どう「丁寧に」説明してもらっても、国民は納得すまい。「時間をつくして丁寧に説明」すれば、国民は安倍政権の詐欺を「理解」するとでも思っているのか。

  9日、この問題を巡り近畿財務局の職員が自殺をした。公務員にとって上司の命令は絶対だからこの職員は安倍氏が国を売った事実の隠蔽に加担させられた。抵抗できなかった。そしてその事実が今、明るみに出ようとしている。すべてが明かになる前に命を絶ったのだ。
   しかし、重要なのはこの職員は命をかけて安倍氏を守ろうとしたのではないということだ。自分が犯罪者となり家族が辱めを受けることを良しとしなかった。守ったのは家族だ。安倍氏と佐川氏はこの末端の職員をここまで追い詰めた。
   安倍氏も佐川氏も辞任したくらいでは責任をとったとはいわせない。豚箱に入ってもらう。この自殺した職員のためにも罪を償って欲しい。罪状は「国を売った罪だ」。(この項おわり)

 

 

ジャパンファーストとなぜ言えぬ(4)~人の石垣が崩れる~

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人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり――。「人こそ城であり堀である、人を大切にしない国はやがて滅ぶ」という武田信玄の戒めの言葉だとされる。実際に信玄がそう言ったのか真偽は定かではないが、もし信玄が今の日本を見たら何というだろうか。きっとこう言うだろう。「人がこれほど貧しく捨て置かれた国は滅ぶ」と。

 

●労働者の取り分が減っている
 今、日本の企業はどこも過去最高益、株価もバブル崩壊後の最高値を更新中だ。なのに庶民の節約志向に歯止めがかからず、消費の「巣ごもり」は続く。こんなに景気はいいのに、節約だなんて、日本人はよっぽどケチな民族なのだろうか。
 その答えは「労働分配率」にある。これは企業が儲けたお金のうちの従業員の取り分の割合といった意味。今のように企業が儲かっているなら、当然、従業員の取り分、つまり労働分配率も上がっていなければならない。
 ところが、実態は違う。会社は儲かっているのに従業員の取り分は増えていない。それどころか減っているのだ。直近でデータのある2015年の労働分配率をみると74%。これは1994年以降で最低の水準だ。2000年と比べても9ポイントも低下している。会社はお金でジャブジャブになっているのに、それを実際に稼いでいる従業員には全く報いていない。庶民には使うお金が回ってきていないのだ。


●先進国でも最低水準
 では、企業はお金を従業員に還元しないでどうしているのだろうか――。ため込んでいるのである。日本企業の付加価値のうち最終的に企業に残る比率(内部留保率)は2015年のデータでなんと11%。米国は4%、ドイツも7%なのに日本はそれよりも大幅に多い2桁の水準だ。事実、日本の上場企業の現預金を積み上げてみると100兆円にも達する。
 企業を経営する側にとってみれば言い分はあるのだろう。いざとなった時の頼りはお金だと。2000年のころの小泉政権の時を思い出してほしい。あの時は政府の方針で金融機関が融資を縮小、財務状況の悪い企業からはどんどんお金をはがしていった。いつあの時代が舞い戻ってくるかもしれない。それに備えるのは分からないわけではない。
 だが、実態は違う。「アメリカンファースト」の米トランプ氏にどんどん持って行かれているではないか。ツイッターで一喝され、あわてて米国に投資し人も雇用しているではないか。日本のためになっていない。
 ならば日本人に還元すべきだ。給料として支払ってやるべきだ。
 今、日本の国民は貧しい。大企業につとめる人ですらだ。年収1000万円、共働きの4人世帯の場合、手取り収入は2011年から2017年にかけて38万円も減った。2019年に消費税があがれば、さらにまたさらに減る。「アッパー・サラリーマン」ですら苦しいのだ。
 安倍政権はその苦しさを本当に分かってくれているのだろうか。来日したトランプ氏とゴルフ三昧、その揚げ句に米国が演出した朝鮮半島危機にあおられ、天文学的な価格の武器を買わされている日本。そんな金があるなら、庶民に回して頂きたい。
 安倍さん、国を守るなら武器よりもまず人。このままでは石垣は崩れ、堀は埋まり、国は滅びますぞよ。(了)

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ジャパンファーストとなぜ言えぬ(3)〜企業なりて国民枯る〜

 

一将功成りて万骨枯る(いっしょうこうなりてばんこつかる)――。一人の将軍の輝かしい功名の陰には、戦場に命を捨てた多くの兵士があるというのがその意味。成功者・指導者ばかりが功名を得るのを嘆く言葉だが、今の日本の企業と国民の関係はこれに極めて似ている。円安を背景に海外マーケット(市場)を開拓し利益を貯め込む企業とは裏腹に、国民は貧しく生活は苦しさを増す。世界で戦う日本企業の「功」は成り潤うが、その陰で日本国民はやせ細る。それはまるで土地の滋養を一身に集め吸い尽くし、地を枯らす高麗人参のようだ。

 

●旦那様はだれだ
 「株主等分配率」という、ややいかめしい言葉がある。企業が生み出した付加価値、つまりお金を株主にどれだけ還元したか、その割合を示す指標だ。日本企業は2005年度からこの株主等分配率が急激に上昇している。2000年は2%だったのに、2015年は8%にまで急上昇している。儲ける力を増した企業が、その成果物である「お金」を株主により手厚く配分するようになっているのだ。
  それがどうしたと思われるかもしれない。確かに、企業が儲かっているんだから、その儲けを株主に還元するのは当然だ。しかし、問題は株主の正体だ。この正体こそ注意しなければならない。
お分かりだろう。外国人なのだ。例えばシャープ。2016年3月時点で、外国人の保有比率は72・6%。つまり、もはや実態は日本の企業ではない。シャープは外国人の旦那(だんな)様の持ち物なのだ。この旦那様のためにシャープは様々な支援を日本政府や日本の金融機関から受けながら、鞭(むち)を入れられ、必死で金を稼ぎ、その稼ぎを旦那様に戻しているわけだ。
 もちろんこのシャープは特殊な事例だが、ほかにも並み居る大企業のかなりの株主が外国人にすり替わっている。そして日本の企業はせっせとこの外国人の旦那様のためにお金を稼ぎ、分配しているのだ。

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※シャープ買収契約調印後に会見に臨んだ、鴻海副総裁(シャープ現社長)の戴正呉(左)、鴻海(ホンハイ)董事長の郭台銘(中央)、シャープ前社長の高橋興三(右)の各氏


●大企業の社員もまた貧しい
 安倍政権は「まず企業が元気にならないと国民が元気にならない」という。税制面で企業を優遇し、金融面で助け、円安誘導で輸出を後押しする。にもかかわらず、そうやって稼いだお金をせっせと外国の旦那に貢いでいるのだ。バカバカしいではないか。
 もし、日本国の宰相がトランプだったら、どうだろう。この状態を放っておくだろうか。そんなはずはない。「国が稼がせてやっているのに、外国の旦那に貢ぐとはなんだ。ジャパンファーストだろう」。そう怒るだろう。
 そもそも企業だけが潤う今の態勢はおかしい。ため込んだ現預金は上場企業に限定したとしても100兆円。しかも内部留保として抱え込むだけで、社員に還元するわけでもない。大企業は豊かでもそこで働く社員もまた貧しいのだ。
 結局、よくみればここでもまた日本のお金は外国にだだ流れになっている。悲しいことである。(了)

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ジャパンファーストとなぜ言えぬ(2)~トヨタが国を売る~

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おもねったかいがあったというもの。米トランプ大統領が1月30日(日本時間31日)に実施した一般教書演説でトヨタ自動車マツダの名前をあげ、米国の雇用拡大に貢献した企業として賞賛してくれたのだ。米国での新工場建設が評価された格好で、米政権との摩擦を避け、車を売りたいトヨタ自動車マツダはこれで一安心。しかし、問いたい。「おい。おまえたち。米国はいい、日本はどうする気だ」

 

●4000人雇用の工場、米より東北につくれ
トランプ大統領が評価した新工場は南東部のアラバマ州に建設する。20州近く手をあげた中で、精査に精査を重ねて決定した。北米ではトヨタにとって8つ目の完成車工場で、マツダにとってはメキシコに続く2つ目の拠点だ。
 工場はトヨタマツダの共同出資となるが、投資額は総額で約16億ドル(約1792億円)。2021年の稼働を目指すという。トヨタが小型車「カローラ」、マツダが中小型の多目的スポーツ車(SUV)の生産を計画しており、2本の生産ラインの年産能力は年30万台。そして新工場建設により新たに生まれる雇用は約4000人だ。
 何という大きな経済効果だろう。仮にこの工場が東日本大震災で被災した東北地方に建設されたと考えて欲しい。4000人もの雇用が生まれるのだ。流出した人たちが故郷に帰るきっかけとなり、どれほど復興に弾みがつくだろうか。海と陸を無残に分断するそびえ立つコンクリートの防波堤をつくるより、よほど地域を元気づける。

 

●「まずは米国」のウソ
 しかし、安倍政権はそうは考えない。「まずは米国」。こう考える。「米国のおかげで日本は守られ、平和を享受できている。その米国をまずは富まそう。日本はその次ぎ。米国が繁栄しなければ、日本の繁栄もないのだ」と。
 だから、日本のお金は米国に流れ続ける。今回のトヨタの新工場建設は単なるその前哨戦に過ぎない。これを契機にトヨタは米国にどんどんお金を振り向け、今後5年間で100億ドル(約1兆1000億円)を投資するのだという。
 しかし、それにしても悲しい話だ。トヨタが自動車を輸出しやすいよう、どれだけ日本国が米ドルを買っていることか。1000兆円を遙かに超える借金を抱える世界に冠たる貧乏国、日本が、である。「きっと国を豊かにしてくれるのだろう」と国債を発行し、そのお金でドルを買っているのである。国民に借金をしてまでドルを買い、「円安」を維持しているのだ。
 それもこれも日本の企業が海外でモノを売りやすいようにするため、トヨタが海外に自動車を輸出しやすいようにするため血税を為替市場に注ぎ込んでいるのだ。それでもひとたび、トランプに恫喝されれば、企業はさっさと日本を売る。米国になびく。血税を使い、日本国に稼がせてもらった利益を我が身かわいさに米国に流す。これを恩知らずと言わずして、何という。
 今、日本は貧しい。1%の富裕層はともかく、中間層は貧乏ぶるいをしている。その民を見捨て、仕事を与えず、米国におもねる企業など国が守る価値などない。まず、国は日本国民を守れ。企業も米国もその後だ。(了)

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ジャパンファーストとなぜ言えぬ(1)〜強い通貨の国が強い〜

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スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席した米トランプ大統領。米国の現職大統領の出席は18年ぶりというだけあって、発言に世界の注目が集まったが「期待通り」、その言葉は世界を揺るがせた。テレビのインタビューに対しトランプ大統領は「最終的には私は強いドルを望む」と発言したのだ。通貨の強さは国の強さに通ず――。さすがアメリカンファーストを標榜する米大統領らしい発言だがそれにしても、なぜ日本はトランプ大統領の真似(まね)ができないのか。

 

●大切なのは企業よりも国民
トランプ大統領の発言の効果は覿面(てきめん)だった。「強いドル発言」はたちまち世界を駆け巡り対円で1円20銭近く急上昇した。前日の1月25日、ムニューシン財務長官が「ドル安」を容認する発言をしていただけに、マーケット(市場)は機敏に反応、ドル高に一気に切り返した。
トランプ大統領は「ドル高」、ムニューシン財務長官は「ドル安」――。1国の政府要人の発言が真っ二つに割れるのは実に珍しいが、日本にとっては示唆に富む「事件」だ。少し考えてみよう。
まずムニューシン財務長官の発言の真意は「ドル安」に為替を誘導、企業が製品を輸出しやすい環境を整えることで、米国の貿易赤字を解消したいということにある。だから「弱いドルは貿易面では好ましい」となる。日本と同じだ。
一方、トランプ大統領は違う。ドルが弱くなると米国が発行する国債を世界の国々が買ってくれなくなるので米国にお金が集まらなくなる。今後10年間で1兆7000億ドルのインフラ投資を打ち出しているが、これが出来なく可能性がある。ドル安は望ましくないというわけだ。
さて、ドル高とドル安、つまり自国通貨が強い場合と弱い場合、どちらが国を富ますだろうか。


●強い通貨で国を富ます
確かに日本のように自国通貨が弱くなると、モノを海外に売りやすくなる。企業の輸出は伸びる。企業は儲かり、豊かになる。しかし、国や国民は豊かになるだろうか。少なくとも米大統領であるトランプは企業が富んでも国は富まないと判断している。自国通貨を強くすることで、世界中からお金を集め、道路や鉄道、病院や学校をつくろうという考えなのだ。
日本もこのトランプ氏を少し見習ったらどうか。国民の税金を投入し、円安に誘導、トヨタ自動車の車を世界で売りまくれるようにしても、儲かるのはトヨタ自動車とその社員くらいで、庶民は豊かにはならない。そればかりか、個人のお金を、「ドル買い(つまり円安)」に使われればその分、富は少なくなる。車は売れるが庶民はやせ細っていくばかりなのだ。
身勝手な振る舞いの象徴のように取り扱われる「アメリカンファースト」だが、視点を変えてみれば、これほど国や国民のことを考えている言葉はない。日本にも「ジャパンファースト」を唱える政治家がでてきてもいいのだが。大和魂はどこにある。   (了)

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