琴言譚®︎[きんげんたん]

今、救世主なら語る

猫に小判、下戸に10万円のボルドーワイン

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この日の赤ワインは1996年ボルドー産のシャトー・ラフィット・ロートシルト。5月27日、即位後初の国賓となるトランプ米大統領夫妻を歓迎する宮中晩餐会で、アルコールを口にしないトランプ大統領に出されたワインは1本市価10万円を超えるものだった。宮内庁ができるだけ通訳を介するよう依頼していたにもかかわらず、陛下は英語で直接やり取りされる場面も多く、皇后さまは終始、英語で話されたという。

    陛下は1974年にオーストラリアでホームステイし、1983~1985年に英オックスフォード大に留学された。皇后さまは20代前半までの一時期を米国で過ごし、ハーバード大を卒業した後、1987年から外務省で外交官を務められていた。お二人とも英語はご堪能でいらっしゃる。
だからこそだろうか。宮内庁はお二人に依頼していたのだという。「通訳を介されますように」。宮内庁の依頼の理由を「意味が正しく伝わりますよう」としているが、「外国賓客の接遇は他国との友好関係を深める目的で行われ、相手国の大小にかかわらず平等にもてなすことが、重要な公務の一つである」とされていることから考えると、宮内庁がなぜ、そのような依頼をしたのかが見えてくる。 

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⚫︎千秋楽は大騒動
大相撲夏場所千秋楽の観戦も大騒動だった。正面最前列、16人分の升席を潰し、椅子に腰掛けての観戦。正面最前列の升席は席を仕切る鉄枠が取り外され、ソファが据えられた。一見すると、客で埋まった正面に、大統領と首相の両夫妻が着席しているように見えるが、実はその周囲は広く確保され、シークレットサービスや日本のSPらが固めていた。大相撲は、江戸時代から庶民の娯楽だが、江戸時代とて庶民を押しのけて最上等の席から観戦した将軍は、記録にない。令和の相撲観戦は「将軍様もびっくり」の庶民そっちのけの大観戦だった。

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 それにしても日本は、言葉でも譲り、国技でも譲り――。そして最後は金でも譲った。いつものことではあるが、実にみっともない。象徴的なのが5月28日、トランプ大統領は「日本は(米ステルス戦闘機の)F35を105機買う。日米両国の危機への対応力は増すだろう」と発言したのだ。何と一方的な話なのか。
実はこれ、米政府の提示額や納期を日本側が受け入れる「対外有償軍事援助(FMS)」に基づくもので、2018年12月に公表された取り決めだ。つまり日本は「援助」という理由で、米国の言いなりにものを買わされる決まりなのだ。2019年度のFMSによる調達額は予算ベースで7013億円と18年度から7割増える見通しだという。気を遣い、1本10万円のワインまで出してもてなした日本に対する見返りがこれ。あまりにバカバカしくはないか。

   仮に海外調達を増やしても日本企業がライセンス生産するなら問題無い。しかしFMSでは米国製を買うわけだから、日本企業の出番は無い。日本がお金を使うのに、そのお金は日本の企業には回らないのだ。
トランプ大統領は満面の笑みで帰国の途に就いた。今回も残ったのは日米の「蜜月」という言葉と、日本から米国に対する多額の支払いの約束だけだ。いったいいつまで続けるつもりなのか。(了)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺野古移設反対で進まぬ海兵隊撤収

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国益」か「県益」か――。それが問題なのである。米軍普天間基地辺野古移設は反対派の運動もあって遅々として進まないが、これは国益を大きく損なう問題だと言っていい。なぜなら辺野古の基地建設が遅れれば遅れるほど、米海兵隊のグアム移転が遅れてしまうからだ。海兵隊が撤収すれば基地産業は縮小、沖縄県は一時的に経済的ダメージを受けるかもしれない。しかし、日本国全体を考えて欲しい。ここは速やかに米軍撤退を優先、まずは早々にお引き取り願う方が賢明なのだ。
 いったい沖縄県玉城デニー知事は本当に意味が分かっているのだろうか。辺野古移設反対で知事選に勝利した玉城氏は「基地の7割をしめる沖縄県の苦しみを知れ」という。そうだ。その通りだ。日本の基地の7割が沖縄に集中する現実は問題である。その苦しみを本土の人間は知らなければならない。そこは否定できない。
 だからこそ沖縄の基地負担を軽減するというなら沖縄の基地は縮小しなければならない。当然だ。その際、気をつけなければならないのは「辺野古での基地建設は何にも沖縄に基地を増やそうとしているわけではない」ということだ。一見、辺野古移設反対は米国に反旗を翻しているように見えるが違う。実態は逆だ。反対運動を盛り上げ、移設が遅れれば、米軍撤収のタイミングもその分、遅くなる。

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・「海兵隊撤収と辺野古移設はセット」

 思い出さなければならないのは2012年4月だ。この時、日本と米国の両政府は沖縄にいる海兵隊約1万9千人のうち約9000人をグアムやワハイなどに移転させることで合意した。これがどれだけ画期的なことだったのか。戦後、長らく居座り続け少女への暴行事件など不祥事を繰り返してきた米軍が半分近い兵力を日本から引き上げることで合意したのだ。もろ手をあげて「どうぞ、どうぞ」といったところだ。
 問題は米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が、海兵隊の撤退とセットになっていることだ。海兵隊の撤収と辺野古移設は2012年に日米両政府が修正合意した米軍再編計画にセットになって一緒に盛り込まれている。つまり辺野古移設が進まないと米海兵隊の撤収も進まない構造になっているということだ。このことを玉城知事は理解しているのだろうか。反対するほど沖縄県民を苦しめてきた基地は沖縄に居座り続ける。
 玉城知事は、沖縄県中頭郡与那城村(現・うるま市)で生まれた玉城知事は沖縄米軍基地に駐留していた米兵を父に持ち、伊江島出身のアメラジアンを母に持つ。若い頃は「俳優」だったというが、調べてみてもこれといった作品に華々しく登場した形跡はない。政治家としてもその手腕は未知数だ。
 玉城氏始め沖縄県民が考えなければならないのは米軍基地の縮小とともに、その米軍撤退後の沖縄をどうするかということだ。今では米軍基地関連の経済規模は小さくなったとはいえ5%台。まずこの穴をどう埋めるか考えることが重要だ。
 そして国。米軍撤退で低下するような防衛力なら極めて問題だ。中国や北朝鮮に脅かされるというなら、毅然として自衛できる力を身に付けるべきだ。米軍という虎の威を借りなければ国を守ることはできないという考え方は決してリアリズムなどではない。ただの幻想だ。米軍は日本を決して助けない。
 米軍など必要ない。反対運動は米軍に居座る理由を与えているだけ。そんな単純な図式も分からないようでは情けないし、もし分かって反対しているなら恐ろしい。  (了)

東京五輪どころじゃない

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これが世界の現実だ。韓国による福島など8県産の水産物輸入禁止は不当として日本が提訴していた問題で、世界貿易機関WTO)は2019年4月11日、韓国の措置を妥当とする最終判決を下した。つまり「日本の食材は放射能に汚染されているから危険だ」という主張を「正当」と認めたのだ。日本側が被る打撃は尋常ではないが、たったひとかけらの核燃料デブリも回収できない状況はでは致し方ない。日本の原発事故は終わっていない。東京五輪など夢のまた夢なのだ。

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●「日本の魚は危ない」
そもそものことの発端は2018年2月。第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)が韓国側に対して日本の食材が危険だとして輸入を禁止するのは「不当な差別」だとして是正するよう勧告したことが始まりだ。
当然、韓国は収まらない。「日本はまだ東京電力福島第1原子力発電所事故の処理が何も終わっていない」とし判決の2カ月後、「判決は不当」として上訴した。汚染水処理や廃炉など原発の事故処理がなお続く状況の日本から食材を輸入しないのは当たり前だというわけだが、WTOは今回、その韓国の主張を認めた。日本は放射能汚染国との烙印(らくいん)を世界から押された。
WTOが「日本の食材が危ない」ことを正式に認めたとなると、今後、「日本外(はず)し」の動きが世界に広がる可能性が出てくる。すでに韓国の流通・外食業界は原発事故後、日本から調達していたサンマやサケをノルウェー産、タラはロシア産、ホヤは国産にそれぞれ変更しているが、これが他のアジア諸国にも広がっていけば、日本の経済的な打撃は計り知れない。
 ただ、日本が今からやるべきはWTOで韓国と争うことではない。原発事故と真摯に向き合うことだ。日本はこの瞬間にも放射能が混じった汚染水を海に垂れ流している。その日本の海で獲れた水産物を韓国が怖がるのは当然なのだ。いくら日本がWTOで韓国に勝訴したとしても、海に流れ出る放射能汚染水が止まりはしない。
実際、韓国の流通関係者は「仮に日本が上級委員会でも勝っていたとしても『販売を再開する計画はなかった』」と証言する。WTOがどう判断しようが日本の魚など世界の誰も好きこのんで買ってはくれない。重要なのは韓国の消費者の不安をどうすれば払拭できるのかなのだ。

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●「アンダーコントロール」って何? 
 韓国をとがめ立てする暇があるくらいなら、日本は原発事故の処理を真剣に考えなければならない。安倍首相は「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。……」。こう言ってはばからないが、世界から見ればとんだ笑いもの。何の科学的な根拠も数字も示さず、ただ強弁しているだけ。安倍氏にはこの手の発言が実に多いが、「原発はアンダーコントロール」の認識から改めていただきたい。
 東京五輪で使うはずのお金を事故処理の研究費に回したっていい。本来なら原発がこのような状況で何が東京五輪だ。被災地でまだまだ泣いている人はたくさんいるのにお祭りどころではない。今回の出来事はそれを思い起こさせてくれた。日本には良い薬だ。(了)

1億円のランチはもう売れない

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ウォーレン・バフェット氏〉

1億円のお金を払っても、ステーキランチをともにしたい人などこの世の中にいるのだろうか。実は1人いる。米国の天才投資家ウォーレン・バフェット氏(88歳)だ。毎年、バフェット氏とのランチ券が1億円以上で落札されるという。ただ、今年はどうか。ひょっとして、もうランチ券は売れないかもしれない。なぜならバフェット氏が天才ではなくなったからだ。「そろそろ投資で、お金は儲けられなくなってきた」。そういってお金を預けてくれた人に返還するという。

 投資家とはいったいどういった種類の人々なのか。簡単に言えば富裕層からお金を預かり、それを増やして返す。いわゆるお金持ちのお金の運用を任される人びとだ。バフェット氏もその1人。米投資会社バークシャー・ハザウェイをバックに持ち、この会社に集まってきたざっと12兆円のお金を独特の嗅覚と才覚で儲かるビジネスに投資する。50年間にわたって勝ち続け、複利計算で約20%を上回るリターンを出した。まさに天才だ。

 

●バフェット敗北

しかし、ここに来てそんなバフェット氏も音を上げた。「もう儲かる対象がない」と。12兆円にまで膨らんだ投資資金の一部は、株主に返還する方針であることを毎年恒例の「株主への手紙」で明らかにした。
投資家としては事実上の敗北宣言だ。すべてが高くなり仮に今、企業を買収しても、投資したお金に見合うだけのリターンが期待できないのだという。現に過去に投資した加工食品大手クラフト・ハインツなども2019年10~12月期決算で想定外の減損を出し、バークシャーは30億ドル(3000億円強)の損失計上を余儀なくされた。
金持ちの金を預かり、弱った企業をM&A(合併・買収)で傘下に収める。そのうえでリストラなど経営効率化を断行、収益力を高めて株価が高値になったところで売りさばく。そのサイクルが回らなくなった。

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●今、ここにある危機
そんな投資家の仕事が回らなくなったところで、「そらみたことか」というだけのことかもしれない。ただ、ここで見逃してならないことがある。「金余り」と「経済成長の鈍化」だ。このふたつの危機が今、同時進行で世界を覆い始めている。それが天才の名を欲しいままにしたバフェット氏すら、戸惑わせている。誰もいったい世界のどこに成長の芽があるのか分からないのだ。
いったいなぜこうなってしまったのか。振り返るべきは2000年頃。米国を始めとした先進国は地道なもの作りの道を捨てた。代わりの傾倒したのが金融緩和だ。もの作りを捨てれば国の成長はとまる。なのに必要もないお金を刷り続け、架空の経済取引で刹那的に儲けようとしたツケがここに来て表面化してきた。
翻って日本。日本はまさに世界の縮図だ。構造改革という美名のもとにもの作りを破壊し、それを外資にたたき売った。そのうえで金融を緩め「リスクをとったものにこそリターンがある」と金融緩和にひた走った。当然、日本も行き詰まった。
世界も日本も人々は息苦しさを感じはじめている。さあ、ここでどうするか。吹きたまった鬱憤(うっぷん)が3回目の世界大戦に人類を駆り立てなければいいのだが……。(了)

 

「人」に「良」と書いて「食」

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ようやくだ。4月から鯨肉のインターネット販売が始まる。7月には商業捕鯨が再開、事業者が自分でとった鯨肉の販売価格を自由に決められるようになる。鯨肉は鯨肉。しかし、これからは価値が違う。調査捕鯨と銘打ちながら、こそこそ売る鯨肉ではなく、堂々と商業捕鯨といい我が国の領海内でとった鯨肉を売る。誰に遠慮がいろうか。


●IWC脱会は英断
 昨年の国際捕鯨委員会(IWC)脱退の決定は久々の英断だった。捕鯨国の意見を全く認めず、一方的に反捕鯨を押しつけてくる組織に営々と居続けることの愚をよやく日本政府は悟った。脱会はむしろ遅すぎたくらいである。
 おかげで日本は自由に鯨をとることができるようになる。もちろんそれは日本の領海内での話ではあるが、幸いなことに日本の海は広い。陸地となると確かに日本は小さいが、しかし海となると話は違ってくる。排他的経済水域EEZ)では世界で上から6番目。この広い海がもたらす恩恵は計り知れない。反捕鯨を掲げる日本人の意見のなかにはIWC脱会により南極海での捕鯨ができなくなることを理由にする場合があるが、何のことはない。EEZがある。
 しかも、重要なのは調査捕鯨ではなく、商業捕鯨だということだ。表向き「調査」と言いながら、そこで捕った鯨を結局最後は食べる、しかも本来はそれが目的だとするなら、どうも日本らしくない。堂々と「食べるために捕る商業捕鯨でございっ!」と宣言し、捕鯨を続けるべきだ。7月からはそれができる。実に日本らしい、結構なことである。何を恐れる必要があろうか。
 実際、IWC脱会を決めた当初はオーストラリアなど海外からあれこれ批判する声もあがったが、今はすっかり下火になった。捕鯨は日本国の文化、食生活そのものであり、食糧安全保障そのものなのである。とやかく言われる筋合いではないし、言えるものでもない。仮に言われても言わせておけばよいのだ。


国際連盟脱会と混同するな
 にもかかわらず「国際的に協調性を欠く」「日本が孤立する」などといった声がいまだに国内でくすぶっているのは残念だ。「国際機関からの離脱は戦前の国際連盟以来。満州事変は侵略だとして撤兵を迫られ、松岡洋右(ようすけ)首席全権が連盟総会を退席した一件とも重なる」との意見も消えない。日本の食文化を守る問題と隣国への侵略の正当化の問題を混同し悦に入っているとしか思えない。
 そのせいか政府もおかしい。農林水産省はせっかく商業捕鯨が再開するというのにわざわざ鯨種ごとに年間の上限を設けるという。ミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラなど鯨の種類ごとに捕獲頭数を決めるのだ。大きな御世話である。鯨など掃いて捨てるほどいる。エサに困り間違って浜辺に上がってくるほどなのだ。
 さらにIWCは脱退しても日本が締約する国連海洋法条約の縛りを主張する向きもある。65条で捕鯨は「管理や研究のために適当な国際機関を通じて行う」ことを規定しているために「IWCと連携しなければ捕鯨はできない」。全くの亡国論だ。
 これまで自動車や電機などに比べ「食」は軽んじられる傾向が強かった。しかし、腹が減っては車は造れないし、クーラーだって組み立てられない。まずは国民が飢えないことだ。戦時中じゃ、あるまいしとの意見もあるだろうが、それは分からない。いつそんな状態になるか分からないではないか。食こそ国を成り立たせる重要な要素、その政策を他国の顔色を伺いながら決めるものではない。
 「食」という字をよく見て欲しい。「人」の下に「良い」と書く。食が良くなければ国も人も良くならない。そこを良く考えて欲しいのである。(了)

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さよならアベノミクス

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2018年最後の取引となった12月28日の東京株式市場の日経平均株価が下落に転じた。年間の株価が下落するのは7年ぶりのこととで、安倍晋三政権が発足して以来6年間続いた上昇記録が途絶えた。このことの意味は決して小さくない。なぜなら株価高こそ安倍晋三政権が存続する意味だったからだ。その意味が揺らいでいるのだ。金看板の「儲かる内閣」が「儲からなくなった」となれば、もはやお払い箱と言いたいところだが「ちょっと待った」。湯水のように株に突っ込んだ国民のお金、どうしてくれる。
 28日の日経平均株価は前日比62円85銭(0・31%)安の2万0014円77銭。17年末比で2750円(12%)も低くひけた。米中貿易摩戦争などで世界経済の先行きに懸念が広がるなか日本経済に対しても不安が広がり、海外投資家などが売りに動き、これが株価の押し下げ要因となった。
 ただ、そのこと自体は問題ではない。経済は生き物だ。株価だって上がりもすれば下がりもする。株価下落の責任を政権に押しつける気はない。しかし、国や庶民のお金の問題はどうする。株価が上がる前提で株式市場に突っ込んできた国や庶民のお金の目減りはどうするのだ。

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●株式市場に6兆5000億円
ETF(上場投資信託)はその典型だ。ETFは複数の大企業の株式を組み合わせ、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価に連動する商品が代表的だが、日銀は金融緩和の一環としてこのETFの買い入れを積極的に行ってきた。株価が下がればその分、日銀が「買い」を入れ株価をテコ入れしてきたが、その買い入れ額が2018年は合計6兆5040億円。過去最高だ。政府は年間の買い入れ額のメドを6兆円としていたのに、それを大きく上回ってしまった。
結局は国や庶民のお金で株を買いまくっていたのだ。アベノミクスに伴いETFの買い入れを積極化した5年前の2013年はせいぜい1兆円超。これが6倍以上に達しているのがその証拠。事情通によれば午前中に株価が0・5%前後下がれば午後に日銀が自動的に買うというのだから随分、無茶な話だが、安倍政権はその無茶を6年もまかり通してきた。アベノミクスだ、何だと言ってみても何の中身もない。ただ自分で株を買っていただけのこと。
とはいえ、これから大変だ。ETFで6兆5000億円もの大金を投じながらそれでも株価が上がらないのだ。年明け以降、市場は大荒れに荒れる。どうする。安倍政権。上がるまで国民のお金で株を買い増していくなど、悪い冗談ですぞ。(了)

サンタが2島をしょってくる

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歯舞、色丹の2島が日本に返ってくる――。絵空事ではない。事実だ。日本の安倍晋三首相は来年1月にロシアのプーチン大統領を訪問、日露平和条約締結交渉を加速させる予定だが今回は単なるパフォーマンスではない。本気でやるつもりだ。恐らく成功するだろう。ついに時節が来た。北のサンタクロースが島を背負って日本にやってくる。それはすなわち日本国、立ち上がりの時でもある。
 「ハボマイ」、「シコタン」そして「エトロフ、クナシリ」。音を聞けば前者のグループと後者のグループが、明らかに違うことがお分かりになるはずだ。前者はアイヌ語の響きにそのもの、つまり日本的。一方で後者はロシア語の音とピタリ重なる。歯舞、色丹は日本の領土、択捉、国後はロシアの領土。この整理の仕方で問題はないことが音からも分かる。つまり2島返還こそ北方領土交渉の正解なのである。
 歯舞、色丹の広さは4島全体のわずか7%。「たったそれだけでいいのか」。「9割を放棄し、その代わりに日本は何を得るのか」。4島返還論者は必ずそういう。しかし、それだけでいいのである。この本来、日本の領土である7%を返してもらうことこそ、日本立国の秘儀だからだ。歯舞、色丹は二股コンセントであり、日本がそのコンセントを得ることが極めて重要なのだ。

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北方領土、今やらずしていつやる
もしそれがかなえば日本は北の世界と正式につながる。日本に電流が流れ、経済は活性化、政治は力を取り戻す。北からの御稜威が流れ込むのだ。3島でも4島でもいけない。日本のコンセントの足の数である2、2島でなければコンセントは北の世界に刺さらない。
 それをなぜ今、やらなければならないのか。経済学者や政治学者は訝(いぶか)るが、「今」でなければ、次はいつなのか。安倍政権もプーチン政権も今が権力の絶頂。領土問題は、どう解決したとしても多くの反対派が出てくる。これを押さえ込むには相当の腕力が必要だ。それを考えた時、今はチャンスだ。良い悪いはさておき、日露両国にこれだけの高支持率で、しかも、領土問題解決に向け方向性を同じくするトップが並び立つ確率というのは、「天文学的」と言っても良いほど低い。その恐ろしく低い確率で訪れる、世紀の瞬間がまさに「今」。あと100年待ってもこれだけのタイミングは巡ってこないだろう。今やらずしていつやるというのだ。
政治家は口を開けば「国を開け」と言う。ならば今、北に向かって開くべきだ。縦に開くのだ。これまで日本は横(西)に向かって国を開きその結果、いったい何が起こったのか。日本の頭脳は流出し、技術は盗まれ、中国の台頭を招いた。食物はもちろん繊維、鉄鋼、電機、通信・ネットとドミノ式に日本は駆逐され、経済戦争は日本の完敗。2014年には中国の国内総生産(GDP)は日本の2倍となり、2018年には3倍となる見通しだ。中国の経済成長のスピードは減速しつつもそれでも2018年は6・6%で、日本が太刀打ちできる状況にはない。ベトナムを退け南シナ海を制圧したように、いずれ今度は経済力を背景に、日本の尖閣諸島周辺を侵略してくるだろう。


●ロシアと組んで中国に備えよ
日本はこの中国侵略に備えなければならない。ロシアとの提携は中国への有効な牽制となる。米国と異なり領土を接するロシアにとって中国問題の重要度は極めて高い。パワーバランス上、日本と組み中国を押さえこみたいはず。「敵の敵は友」――。友敵関係の活用は政治の鉄則だ。日本はロシアの力を活用、中国封じに力を入れるべきだ。
日本は今後、ますますロシアに向かう。すなわち北。御稜威は上から下、北から南へ下りる。とりわけロシアはムルマンスク(人口325,100人)など北極圏に大都市を抱え、北極とのつながりが強い。北極の共同開発に乗り出せば、資源開発はもちろん鉄道や道路のようなインフラ整備など今、日本がアジアや中東で無理無理やろうとしているビジネスが、すんなり落ちてくる。ロシアが持つ北極こそが日本飛躍のためのブルーオーシャンなのだ。
12月。街はそろそろクリスマスモード。あちこちに巨大なクリスマスツリーが登場、華やぎを増す。ところで、いったいサンタクロースの着物はなぜ赤なのか。実は赤とは地の熱、地熱の色。つまりサンタクロースは地の神様であることを意味する。北から地熱を運ぶ神様だ。
翻って日本。日本では北は子(ね)の国、大黒様の地とされる。大黒様は地の神、サンタクロースも地の神様……。お分かりだろう。サンタクロースは大黒様なのだ。北からサンタクロースがやってくる12月に、北の2島返還の交渉が進む。これはすなわち日本が大黒経済につながっていくことを示す証左である。今、サンタクロースが2島をしょってやってこようとしている。(了)f:id:mitsu369:20181208060723p:image


 


 

老後の面倒は外国人にみてもらおう

   ついにやった。これだけのことを。政府は単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定したのだ。来年4月の制度創設を待って続々と単純労働者が日本に流入してくる。経済成長もインバウンド(訪日外国人)、それを御世話するのも外国人。なぜ、そんなに外国人に頼るのだ。

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●これは移民政策だ
政府が今回、決めたのは一定の技能を持つ人を対象に新たな在留資格「特定技能」を創設すること。「経済界の要望に応じた」とはいうが、これは単にニーズに応えたという程度の軽い問題ではない。これまで決して認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切ったのだ。日本の入国管理政策の時代的な大きな転換と言っていい。
 政府は「移民政策ではない」とするが、どう言いつくろっても立派な移民政策だ。山下貴司法相も「人手不足が深刻で、今回の法改正は重要かつ急務だ」と弁明、「成立に向け丁寧にご説明したい」と述べたが、どう丁寧に説明してもらっても納得はできない。
 今のところ入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける計画。まず「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与え、最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。
 そしてもう1つ、高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人には「特定技能2号」の資格を与える。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はなく、配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。10年の滞在で永住権の取得要件の一つを満たし、将来の永住にも道が開ける。
 この決定は極めて重い。単純労働者として日本に入国、時間をかけて一定程度の技能を持てば在留資格を取得できるわけだ。労働力を日本に提供する代わりに、日本から行政サービスを受けられる。単純労働の外国人でも保険にも入ることができ日本の高度な医療を受けられる。

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●日本人こそ活用すべし 
政府はこのバランスをどう考えるのだろうか。外国人が提供する単純労働とその見返りに日本が差し出す高度で品質の高い行政サービスや医療サービス。どちらのコストが大きいのか。簡単だ。日本の負担の方が断然、重い。
 しかも、単純労働で人手不足を解消、稼ぐ力を底上げできメリットが得られるのは企業に限られるのに、そうした外国人へのサービスにかかるお金は国民全体の税金で賄う。全く不公平。これもまた極論すれば企業の金もうけのために、庶民が犠牲になる構図だ。
 いったい今の政治、どうなっているのだろう。「決められない政治」から「決める政治」へ。それはいい。けれど国を危うく導く政策を決めるのはお断りだ。
 今、必要なのは外国人を入れることではない。良質な労働力を確保すること。それはまず日本人を有効に活用することだ。特に高齢者。元気で働く意欲のある高齢者はまだまだ多い。そんな人たちにもっともっと活躍してもらえばいいではないか。IT技術が不足しているなら、研修で補足すればいい。補助金など外国人も含めた皆保険制度の維持に比べれば安いものだ。言語の面でハンディがある外国人を無理に使うより、よっぽど生産的だ。日本の税金は日本人のために使うのが当たり前だろう。
 政治家も経済界もまったくどうかしている。君、国を売りたまうことなかれ。(了)

あっぱれ国税庁

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    久しぶりの快挙である。国税庁が約50カ国・地域の金融機関にある日本人の口座情報約40万件を入手したという。租税回避地タックスヘイブン)の情報も含まれており、国境をまたぐ資産隠しなどの解明につながる可能性がある。税金の支払いは国民の三大義務の1つ。財政逼迫(ひっぱく)の国難の時に、そんな輩(やから)を野放しにしておいていいはずはない。


 ●国税庁が租税回避情報を把握
今回、国税庁が日本人の口座情報の捕捉に成功した背景には経済協力開発機構OECD)が情報開示の新制度を立ち上げたことがある。国際的な脱税や租税回避を防ぐための新制度をOECDが最近になって整備、これを日本の国税庁が見逃さずに素早く動いて情報を入手した。「新しく制度ができれば、使ってみたい」というのは官僚の習い性ではあるが、それがいい方に転んだ格好だ。海外に資産を「疎開」させている顧客の氏名、住所、口座残高、利子・配当の年間受取総額などの情報が含まれているもよう。
 日本に居住しておきながら日本に税金を払わないのは不届きなことこの上ない。ただ、2016年に公表された「パナマ文書」のなかにはかなりの数の日本の経済人や著名人の名前が含まれていた。タックスヘイブンを利用し課税を逃れ、自分だけはぬくぬくと暮らすという芸当は一般のサラリーマンにはのぞむべきもないが、海外投資が増え、一国だけで富裕層の資産を把握するのが難しくなるなか、その数は着実に増えつつある。
日本では国外に5千万円超の財産を持つ場合、財産内容を記す「国外財産調書」の提出が義務付けられている。16年分の調書は約9千件にとどまっており、国税庁はCRSの情報と照合するなどして海外の「隠し資産」の発見に取り組むという。闇に消えていたお金が少しでも日本に戻り国の財政が潤えば、庶民の暮らしも少しは改善していくかもしれない。

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●偏る資産 
ただ租税回避と同時に、ここで問題なのは富の偏在だ。わざわざタックスヘイブンまで利用して隠したくなるほどの莫大な資産を手にできる人間がいったいなぜ存在するのだろうか。国際NGO「オックスファム」によると世界で1年間に生み出された富のうち82%を、世界で最も豊かな上位1%が独占しているという。経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかったが、上位1%の資産総額は株価の上昇などによって7625億㌦(約84兆円)も増えた。
 何千億円、何兆円もの資産を手にすれば、その半分を国にもっていかれるとすれば確かに腹立たしいかもしれない。隠したくなるのは人情というものか。それよりもおかしいのは、1年間、ただ寝転がっているだけで、それだけのお金が懐に転がりこんでくる富裕層が存在するシステムだ。もちろん頭を使っただろうし、リスクをとっただろう。だとしても何か間違っている。
 要は一定の層だけに富が集中して流れ込むしくみを野放しにしている国の首脳陣たちにも責任があるということだ。庶民にお金が流れるしくみを徴税と再分配という以外に考えていくべきだ。もっともその国の首脳陣たちと富裕層が一枚岩ならのぞむべきもないが……。    (了)

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どこか変だよ、九州電力

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 九州電力が奇妙な発表をした。週末の13日と14日、九州7県の太陽光と風力の再生可能エネルギー発電事業者に一時的な発電停止を求める可能性が高いと発表したのだ。つまり太陽光と風力を使って発電した電気が「いらなくなる」というわけだ。再稼働を目指していた九電の原発4基すべてが営業運転の状態になったこともあり「電気は原発でもう十分」と言いたげ。なんだかおかしくないか。

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九州電力本社

●誠意のかけらもない
 10月2日、九州電力で事件が起きた。「玄海原発対策住民会議」(成冨忠良会長)が九電に猛烈に抗議したのだ。九州電力玄海原子力発電所に関する15項目の質問を九電が「1年以上答えていない」というのがその理由。同原発環境広報担当の柳川敏彦課長は「3、4号機の再稼働に向けて全社一丸となって対応していた」といい、一部の質問に答えた上で、成冨会長らが新に求めた30項目の質問について「可能な限り早く回答する」と述べたが、全く人をバカにした話だ。
そもそも住民たちは原発の再稼働が安全かどうかを九州電力に問うていた。ところがその住民たちに対し九電は「再稼働に向け対応していた」ために解答できなかったというのだ。住民会議側は「私たちは再稼働を前に、原発が安全かどうか不安だから質問している。それに真面目に答えることが地域住民との信頼関係を大事にするということではないか」などと怒り心頭だが、柳川課長は「答えは変わらない。再稼働が始まって落ち着いたから説明できる環境になった」。これほど酷い対応を聞いたこともない。
 つまり、九電が言っているのは「お前らが原発再稼働で質問してきたのは分かっているが、こっちは再稼働の準備で忙しくてそれどころじゃなかった。とりあえず再稼働できたので、対応してやっている」ということ。誠意のかけらもないではないか。
冒頭の太陽光など再生可能エネルギー発電事業者に対する発電停止要請もこれと同じだ。「原発が動いていない時は、おつき合いで買ってやっていたが今や原発はフル稼働。自然エネルギーは高くつくし、余っている時はもう買わない」ということ。「最初は自然エネルギーは大切だから、つくってくれれば高くかうよ」と言っていたのに「やっぱり、もういらない」。これでは住民も九電を信用することはできない。
 東京電力関西電力など都市部の電力会社に比べても、九電の特殊性は際立っている。九州という島国で、対抗勢力はゼロ。地元ではやりたい放題、言いたい放題がまかり通る点では東電や関電をしのぐ。時としてあきれるほどの傍若無人さだ。
その一方で極めて無責任、都合が悪くなればさっさとケツをまくるのもこの電力会社の特徴だ。例えば、先の「玄海原発対策住民会議」とのやり取りなどはその典型例だろう。再稼働に関する自治体の同意権への考え方について問われた九電は「当社は事業者であり、言及する立場にないと考えている」とほおかむり。「原発を稼働する時に地元の住民がそれを認める必要があるのでは」と聞かれても「それは国が考えること。1民間会社は関係のないこと」というわけだ。公益事業を担う気概も矜持もない。さもしいとしか言いようがない。
実はこれは九電だけではない。こうした電力会社の身勝手な性質は当然、他の電力会社も共通してあわせ持っている。たまたま無防備な九電がありのまま醜態をさらしているだけだ。
ただ、問題の本質は九電の対応のひどさではない。結局はこうした電力会社を野放しにし、のさばらせている国であり政治家の怠慢だ。「太陽光よりも原発だ」というような電力会社を「何を言うか」としかり飛ばすのが仕事だろう。とりわけ反原発を旗印に当選した地元の知事はなぜ沈黙している。いったい何をしているか。 (了)

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岐阜県土岐市出身のイラストレーター・柚木ミサトさんが描いた「あかいつぶつぶの絵」

 

 

 

ローマは休日で滅んだ 2

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   2019年の5月1日が祝日となる。天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位がかさなる重要な日であるというのがその理由。おかげで来春のゴールデンウィークは10連休となる。「さすが安倍首相。働きバチの日本人も公式に休日となれば、大手を振って休むことができる。新天皇の即位を祝うというなら誰も反対する人はいまい」と歓迎する向きは多いかもしれない。しかし、ちょっと待った。日本は世界で1番の祝日大国なのだ。経済力は落ちる一方、それなのにさらに休みを増やして大丈夫なのか。「ローマは休日で滅んだ」のですぞ。


●来年は10連休
5月1日を祝日とする方針は2018年4月12日、安倍首相が正式に発表、来年の大型連休は10連休とする方針も表明した。5月1日のほかに新天皇の即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が行われる2019年10月22日も同様に休日とする。いずれも来年限りの措置で、政府提出法案を臨時国会に提出する見通し。「休日の大盤振る舞い」といったところだ。
しかし、ここで気をつけて欲しい。実は日本の祝祭日の日数は、諸外国と比べて群を抜いて多い。サガンの『悲しみよ こんにちは』よろしく、バカンス大国のイメージの強いフランスだが、実際は年間9日。米国ですら10日だ。これに対して日本は欧米勢より1週間以上長い17日。同じアジア勢の香港が13日、シンガポールが11日と続く。
もちろん休みは祝日だけでなく有給休暇がある。こうなると事情は異なる。フランスでは有休付与数、消化数とも30日で100%消化している。スペイン、ブラジル、オーストリア、イタリアも取得率は高く、日本は付与数20日、消化数10日。取得率50%だ。 
これらの祝祭日と有給休暇を合わせた休暇日数合計を見ると、やはりフランスやスペインが39日と長く、「何だそういうことか」と合点がいくが、それなら日本が極端に短いかというとそうでもない。日本は27日。中位で米国の24日、シンガポール25日、韓国17日と比べると相当、長い。
こう考えていくとこれ以上、休日が増えるのは危険だ。ついこの間までは「勤労は美徳」だったはずなのに今はすっかり「働き方改革」で長時間労働は悪。遅くまで残っている社員は「無能」「手際が悪い」といった目で見られかねない。日本はいったん軸が振れると国全体の雰囲気が一気に変わる。「休め」「休もう」「休むべき」はそろそろ終わり。生真面目な日本人に回帰すべきだ。

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●借金大国がなぜ休む
それでなくてもGDP(国内総生産)は中国に抜かれ世界3位。電機も自動車も、世界で断トツだったものづくりの力が弱りつつある。そして何よりも世界に冠たる借金大国ではないか。ライバル関係にある韓国よりも10日も多く休んでいる場合ではない。足をとめてはいけないのだ。
「日が沈まぬ大国」とされたローマも結局は慢心で滅んだ。人々は働かず、享楽にふけり、贅を楽しみ、そして滅んだ。日本もその轍にはまりつつあるのではないか。そもそも新天皇の即位を祝するとは言うが、この国を新しい船出を見届けようと日本にとどまる人はどれだけいるだろう。10日も連休ともなれば海外脱出組みがまた増えることは確実だ。休日を増やし、国民をレジャーに駆り立て、消費を増やす。一見、国は勢いを取り戻すかのように思えるかもしれない。しかし、怖いのはその先だ。休日はもう要らない。(了)

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コロッセオ(イタリア)…ローマ帝政期に造られた円形闘技場。イタリアの首都ローマを代表する観光地。

 

1%か2%か。それが問題だ。

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    日銀があれほど上げたがっていた物価はなかなか上がらないのに青天井で上がっているものがある。防衛費だ。2019年度予算の概算要求では防衛費は5兆2986億円。防衛省の言い値ベースというものの5年連続で過去最大(概算時)。背景には自民党が防衛費拡大を後押ししていることがあるが、悩ましいのはお金をかけたからといって日本の防衛力があがるわけではないということだ。イージス艦はその典型。米国の言い値で買わされ、しかも100%日本を守る保証はない。それでもなぜ日本は兵器を買う。


●防衛力増強「歯止め」から「目標」へ
1%――。かつてはそれが問題だった。国内総生産(GDP)に比べた防衛費の比率は1%が「歯止め」とされた。ところが今は2%。しかもそれが「歯止め」ではなく「目標」になっているという。恐ろしい豹変(ひょうへん)ぶりではないか。日本は大東亜共栄圏を標榜し近隣諸国を軍靴で踏みにじっていったあの悲しい歴史を2度と繰り返さないために、防衛費を慎重に絞り込んできた。それが今は反対に拡大に舵を切っている。いったいどうしたというのだ。
後押ししているのは安倍政権に他ならない。「安全保障環境の悪化」を理由に、防衛予算の膨張に旗を振る。5月にまとめた中期防見直しに向けた提言では、北大西洋条約機構NATO)がGDP比2%を目標としていることを引き合いに出し、日本もそれを参考にしながら、十分な予算を確保すべきだという。戦争放棄の日本国はいったいどこにいったのだ。
だいたい「安全保障環境の悪化」とは何なのだ。仮にそれが北朝鮮情勢なのだとしたら、責任は日本にある。対話を求める北朝鮮を袖にして、ただただ「圧力」と連呼する。そこには外交努力の片りんもない。あえて北朝鮮を追い込んでおきながら、「関係が悪くなったから武器を増やし防衛力を強化する」というなら、まるで子供だ。


●地上イージスは必要か
しかも、問題なのはそうやってお金を使って武器を輸入しても日本の防衛力がそのまま高まることにならないことだ。地上イージスとて当初の2倍の4000億円もの予算を投じてとしても、打ち込まれたミサイルを完全に打ち落とせるのか、保証の限りではない。だいたいいつ配備してもらえるか分からないものを言い値で買って、どうする。今、ミサイルを打ち込まれたら、それはどうなるのか。
考えてみて欲しい。日本にミサイルが撃ち込まれたなら、もうそれで外交は敗北なのだ。考えるべきは撃ち込まれたミサイルをどう迎撃するかではないのだ。ミサイルが撃ち込まれないようにすることこそ永世中立国を標榜する日本の生き様なのだ。
いつからその基本路線が変わったのだ。安倍政権は勇ましく力んでみせるばかりだが、「万が一」の事態が発生した場合、どんな責任がとれるのだ。
確かに貿易不均衡でトランプが騒ぎ、関税障壁をかさ上げされれば、自動車を始めとする日本の輸出産業がひとたまりもないのは分かる。しかし、それを避けるために不必要な兵器を国民の血税で購入し、その揚げ句に近隣諸国との緊張感をいたずらに高めてしまうのは愚の骨頂だといえる。 (了)f:id:mitsu369:20180908070912p:image

貧乏人救済銀行が日本にやってくる

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    スルガ銀行の闇はどこまで深いのか。不適切融資を調べてきた第三者委員会は9月7日、預金残高の改ざんなど書類の偽装が「全般にまん延していた」と指摘、これを受ける格好で創業家の岡野光喜会長、米山明広社長など計5人の役員が辞任した。異常事態だがおそらくこれで終わりとは、ならないだろう。膿(うみ)はこれからまだまだ出る。ただ、ここで重要なのはスルガ銀行の放漫経営を糾弾することではない。考えるべきは、さして食うに困っているわけでもない人に無理に投機用の金を貸し付ける銀行がのさばる一方で、本当に困っている人にお金を貸す銀行がないことだ。そしてついにあの貧乏人救済銀行が日本にやってくる。

 

ノーベル賞の「グラミン銀行」日本上陸
貧乏人救済銀行の名前は「グラミン銀行」。あのノーベル平和賞を受賞したバングラデシュムハマド・ユヌス博士が発案した有名な銀行だ。「名前は聞いたことがある」という人も多いだろう。
この銀行の特徴は本当に食べるのに困っている人を対象にお金を貸してくれること。「晴れた日に傘を貸し雨の日に傘を取り上げる」日本の銀行のようなマネはしない。マイクロファイナンス(小規模金融)という手法で、本当に小額だが無担保でお金を貸す。
ただ、お金を借りる人は小額だからといっていい加減にお金を借りて使っていいわけではない。「たまには贅沢するか」と御馳走を食べて使ってしまってはダメ。生きた使い方をするよう求められる。例えば、ものをつくるための生産設備を購入したり、ビジネスをするための資格をとるなど現状の「貧乏」から抜け出すためにお金を使わなければならない。それなら気前よくお金を貸してくれるのだ。
しかし、不思議だ。日本は世界第3位の経済大国、そもそも貧乏人がいるのだろうか。テレビをつければグルメとダイエット。飽食の末、だらしなく膨らんだ体を金をかけて引き締め、再び飽食する。まるで夜な夜な吐いては食べ、吐いては飲むを繰り返すローマ貴族の生活を彷彿とさせるこの日本で、バングラデシュ発の貧乏人救済銀行に助けてもらわなければならない人が本当にいるのだろうか。

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●日本は貧乏人国
答えはイエス。実はいるのである。厚生労働省の「生活保護の被保護者調査」(2018年3月)によると日本における生活保護世帯は163万世帯、人数にして211万人。しかし、これはほんの氷山の一角で、年収120万円以下、つまり月の収入が10万円以下のいわゆるワーキングプアの人たちを入れればこの2~3倍の数の人が世界的にみて「貧困」の部類に入るのだという。
しかも、たちが悪いのはこの「貧困」は親から子、子から孫へと遺伝すること。貧乏人の子は親が貧乏なため十分な教育が受けられず学歴が低いまま。高収入を得られる仕事にはつかずやはりその子供にも十分な教育機会を提供することは難しい。貧乏人は貧乏人を「生産」し続ける。格差は世代をまたぎ連鎖し、実質的な階級となる。そして貧乏人は貧乏から抜け出せなくなる。これが今の日本の実態、病理なのである。
実際、グラミン銀行の進出に今のところ否定的な声はあまり聞こえてこない。むしろ歓迎の声が強い。金融庁の首脳は不正融資が発覚する前のスルガ銀行の経営を「積極的」と高く評価していたが、こんな出鱈目(でたらめ)な銀行を放置するどころか褒めそやし、本当に人を助ける金融機関の創造を考えもしなかった世間とのズレを猛省すべきだ。いやただちに改善して欲しい。
日本が実は激しい格差社会であることを突きつけたグラミン銀行はそういった意味でも、さすがノーベル賞である (了)

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高級寿司店よりも怖い、陸上イージス

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 銀座の寿司屋の暖簾をくぐり「さて、何を握ってもらおうか」とメニューを見ると「時価」。これで尻込みしない庶民はいないだろう。しかし、日本は平気だという。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(陸上イージス)を実質「時価」で米国から買い入れる方針なのだ。こんな不思議な借金大国、あるだろうか。
 日本が配備を計画している陸上イージスとは1000㌔超の範囲内に入ったミサイルを探知、打ち落とすミサイルシステム。小野寺五典防衛相は、配備により「我が国の弾道ミサイル防衛能力は飛躍的に向上する」という。確かにそうだ。無いよりはあった方がいい。
 しかし、費用対効果を考えて欲しい。現在、配備候補地となっているのは秋田市山口市だが、この2カ所に配備するだけで4664億円だという。高すぎはしないか。
 陸上イージスの導入を決めたのは昨年の12月。ほんの半年あまり前だが、この時点と比べて1・7倍に膨らんだ。値段が膨らんだ理由は、レーダーが高性能化したからだというが、いくら米国の軍事技術が優れているからといってもたった半年で、1・7倍もの価格の高騰を許容するほどの技術革新が進むはずがない。
 仮に真実ならそれはそれで大変な事態だ。陸上イージスの運用開始が予定されているのは2023年度以降。実際には2025年度にまでずれ込むというから今、2018年度だとして半年で1・7倍、維持運営を含めて計算するとさらに後半年で……。青天井だ。要は銀座のぼったくり寿司と同じなのである。
 いったい日本は何を買ったのだろうか。購入を決めた半年前といえば北朝鮮の核攻撃の現実味が増していた時期。その脅威を理由に性能や価格の詳細な検討を後回しにして導入方針を閣議決定してしまった。衝動買いだ。そもそも北朝鮮を刺激し、核攻戦争が現実味を帯びるほどまでに追い込んだのは米国ではなかったか。その米国を儲けさせる商談をどさくさ紛れで成立させてしまうとは安倍政権も無責任きわまりない。

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 とはいえ問題の本質は実は別のところにある。結局は米国が怖いのだ。トランプ政権に貿易赤字の解消を正面切って突きつけられるのが怖いのである。「日本は経済大国、米国に関税障壁でも設けられればたまったものではない。それなら陸上イージスを高値買いしてご機嫌をとっておくか」というのが本音なのだ。要はトヨタ自動車はじめ日本の大企業が米国市場で稼ぎまくった分を、陸上イージスで穴埋めしているに過ぎない。
 しかし、それでいいのか。陸上イージスの購入は庶民の血税なのだ。日本の外交が機能不全に陥っているのも、安倍氏がお金抜きでは米国と渡り合えないのも、日本の領域に飛来したミサイル1つ、自国の力で打ち落とせないのも、本来は国を担う者たちの責任だろう。自分たちの怠慢や無策を、庶民の血税であがなう。それはもはや許されない。
 庶民はいつまでも黙ってはいない。国の統治者たちは国民を守るふりをしながら実は強いものの利益を守り、自分たちを守っている。そして庶民はそれを見抜いている。それを自覚しなければならない。(了)

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「共同開発」の罠にまた日本がはまる

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   どこまで日本は米国にかしづくのか。日本は米国と共同で弾道ミサイル防衛を担うイージス艦向けの次世代レーダーを共同開発するという。しかも現在の2倍以上の半径1000キロ超の探知能力を持つ高性能なレーダーをだ。それを日本が持つ世界最高水準の半導体技術を使って開発するというのだ。「俺のものは俺のもの。お前のものは俺のもの」。日本の技術がまたまんまと米国に横取りされる。
 この話、発端は米国側だ。次世代レーダー開発を探る米側から「さらに高性能なレーダーを共同で開発したい」との打診が6月に開いた日米防衛当局の次官級協議であったのだ。高性能レーダー開発の鍵を握るのが「ガリウムナイトライド(窒化ガリウム)」と呼ばれる半導体素子を使った技術。実はこれは三菱電機が持つ世界最高水準の技術で、従来の「ガリウムヒ素半導体に比べ出力が大幅に高まり、より広範囲の探索が可能になる。いわば日本の虎の子の技術を「レーダーの共同開発するから」という理由で米国側に流せという。
 レーダーは北朝鮮や軍備を増強する中国を念頭に置いたミサイル防衛網の根幹で、迎撃システムの肝となる。日本の安全保障が日米安保を基本に成り立っている以上、「日本の安全を守るレーダーの精度を上げる」と米国から言われれば断ることは難しい。米国はそこを見透かしてきた。
 しかも、安倍政権は2014年、武器輸出三原則を緩和し「防衛装備移転三原則」を定めている。これまで個別に例外的に技術の流出を認めてきたのだが、この新三原則ができて以降は「共同開発」という名目がたち、日本の安全保障に役立つなどの条件を満たせば、原則日本の最高技術を使った武器の開発が可能になった。米国側はどんどん「共同」という名目をかざしながら、実質的な技術供与を迫ることができるようになったわけだ。

 それにしても日本はここまで米国依存でいいのか。単に米国にむしり取られているだけではないか。システムの核心ともいえるレーダーに日本が関わるのは米国との安全保障協力の深化を意味し、「米国から信頼されている証」との見方もあるというが、仮に本気で言っているのだとしたら何とおめでたいことか。
 何も米国とケンカをしろと言っているのではない。狡猾さに気づけと言っているだけだ。国民を守る外交はまずそこから。単に米国になびいてるだけなら、誰でもできる。(了)